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第3話 雷雨 シュザンヌ視点
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「っっ! この役立たずが!!」
「役立たず!!」
「役立たずがぁっ!!」
案の定でした。わたしが生まれ育ったお屋敷に入ると、コランタンお父様、シビルお母様、ベルナールお兄様が、顔を真っ赤にして怒鳴ってきました。
お父様達が激昂している理由、それは――
自分達への優遇がなくなってしまうから。
聖女となった者の家には毎月お金が支払われる決まりになっていますし、なにより――『聖女の家族』という大きな称号が手に入ります。
それによって貴族界でも一目置かれるようになり、特に我が家(いえ)ことモファクーナ男爵家は新興貴族でした。一瞬にして最弱という立場を抜け出し、それどころか非常に良い地位を確立できていたのに、それらを再び一瞬にして失ってしまった。
自分達の『楽しい日常』が崩壊してしまったも同然なため、烈火のごとく怒っているのです。
「シュザンヌっっ! お前のせいで公爵家とのパイプがなくなってしまうじゃないか!!」
「目をつけていたものがあったのに!! 貴女のせいで宝石を自由に買えなくなったじゃないの!!」
「最高で最大の武器を持っていたのに!! もうデカい顔をできなくなるじゃないか!!」
「「「どうしてくれるんだ!!」」」
大絶叫と共にコップやソーサーが飛んで来て、それらはわたしの顔や腹部に直撃しました。
この身体の中にある聖女の力を使えば、防御壁を展開して防ぐことができました。
でもこういったことを自由にさせてしまったのは、わたしの責任。家族だからと注意しかできず、結局支払いを止めるなど厳しい判断をくだせなかった――甘やかしてしまった自分にも非があるため、その罰として痛みを受けました。
「痛いか!? 痛いだろう!? だがなあ! こちらはもっと『痛い』のだ!!」
「とてつもなく痛いわ!! だってっ、すべてを失ってしまったのだからね!!」
「あっという間に0だぞ0!? こんなのおかしいじゃないか!! どうしてくれるんだよっ!!」
「お父様、お母様、お兄様。わたしは何度も申し上げたはずですよ。わたしの名に頼らないで生きていかないと、いつか必ず苦労すると――」
「五月蠅い黙れ!!」
「そうよ! 黙りなさい!!」
「お前の声なんて聞きたくない!! 不快になるだけだ!! 消えろ!! 今すぐにな!!」
わたしの声は遮られ、3人はわたしの後方を――今潜ってきたばかりの扉を指差しました。
「ここにはもうお前の居場所はない!! 貴様なんて家族ではない!! この瞬間っ、家族の縁を切るっ、切った!! 赤の他人はさっさと出ていけ!!」
「顔を見たくないし声も聞きたくない!! 二度と目の前に現れないで頂戴!!」
「この汚物めっ、ささっと消えろ!! そもそもよく戻って来れたなっ、この恥知らずが!!」
「……こうなると思っておりましたが、ご挨拶はしなければならないと考えたのです。お父様、お母様、お兄様、およそ14年間お世話になりました。失礼致します」
目的を果しましたので、こちらとしてもこれ以上居るつもりはありません。わたしは変装用のメガネと帽子をかぶってから踵を返して馬車の寄り合い所へと向かい、何度か乗り継いで次の目的を目指します。
わたしが向かう先は、隣国『ザッカールス』。
あの国には、会いたい人が――3年前からずっと会いたかった人がいて、これからその方に会いに行きます。
「役立たず!!」
「役立たずがぁっ!!」
案の定でした。わたしが生まれ育ったお屋敷に入ると、コランタンお父様、シビルお母様、ベルナールお兄様が、顔を真っ赤にして怒鳴ってきました。
お父様達が激昂している理由、それは――
自分達への優遇がなくなってしまうから。
聖女となった者の家には毎月お金が支払われる決まりになっていますし、なにより――『聖女の家族』という大きな称号が手に入ります。
それによって貴族界でも一目置かれるようになり、特に我が家(いえ)ことモファクーナ男爵家は新興貴族でした。一瞬にして最弱という立場を抜け出し、それどころか非常に良い地位を確立できていたのに、それらを再び一瞬にして失ってしまった。
自分達の『楽しい日常』が崩壊してしまったも同然なため、烈火のごとく怒っているのです。
「シュザンヌっっ! お前のせいで公爵家とのパイプがなくなってしまうじゃないか!!」
「目をつけていたものがあったのに!! 貴女のせいで宝石を自由に買えなくなったじゃないの!!」
「最高で最大の武器を持っていたのに!! もうデカい顔をできなくなるじゃないか!!」
「「「どうしてくれるんだ!!」」」
大絶叫と共にコップやソーサーが飛んで来て、それらはわたしの顔や腹部に直撃しました。
この身体の中にある聖女の力を使えば、防御壁を展開して防ぐことができました。
でもこういったことを自由にさせてしまったのは、わたしの責任。家族だからと注意しかできず、結局支払いを止めるなど厳しい判断をくだせなかった――甘やかしてしまった自分にも非があるため、その罰として痛みを受けました。
「痛いか!? 痛いだろう!? だがなあ! こちらはもっと『痛い』のだ!!」
「とてつもなく痛いわ!! だってっ、すべてを失ってしまったのだからね!!」
「あっという間に0だぞ0!? こんなのおかしいじゃないか!! どうしてくれるんだよっ!!」
「お父様、お母様、お兄様。わたしは何度も申し上げたはずですよ。わたしの名に頼らないで生きていかないと、いつか必ず苦労すると――」
「五月蠅い黙れ!!」
「そうよ! 黙りなさい!!」
「お前の声なんて聞きたくない!! 不快になるだけだ!! 消えろ!! 今すぐにな!!」
わたしの声は遮られ、3人はわたしの後方を――今潜ってきたばかりの扉を指差しました。
「ここにはもうお前の居場所はない!! 貴様なんて家族ではない!! この瞬間っ、家族の縁を切るっ、切った!! 赤の他人はさっさと出ていけ!!」
「顔を見たくないし声も聞きたくない!! 二度と目の前に現れないで頂戴!!」
「この汚物めっ、ささっと消えろ!! そもそもよく戻って来れたなっ、この恥知らずが!!」
「……こうなると思っておりましたが、ご挨拶はしなければならないと考えたのです。お父様、お母様、お兄様、およそ14年間お世話になりました。失礼致します」
目的を果しましたので、こちらとしてもこれ以上居るつもりはありません。わたしは変装用のメガネと帽子をかぶってから踵を返して馬車の寄り合い所へと向かい、何度か乗り継いで次の目的を目指します。
わたしが向かう先は、隣国『ザッカールス』。
あの国には、会いたい人が――3年前からずっと会いたかった人がいて、これからその方に会いに行きます。
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