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第5話 出会い シュザンヌ視点(2)
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「……なるほど。事情は分かりました」
ナーリスル侯爵家と――ナーリスル侯爵家が所有する商会と取り引きを行っているため『お家』を代表して出席されていて、別の場所で当主様とお話しをされていたクロヴィスさん。騒ぎに気付き介入してくれたクロヴィスさんだけは、ちゃんとわたしの声を聞いてくださったのです。
「信じて……。いただけ、ます、でしょうか……?」
「その表情に演技の色は見えませんし、その説明にも言い訳の影を感じません。以上の理由では僕は、貴方様は犯人ではないと考えています」
「! あっ、ありがとうござ――」
「わたくし共は嘘を吐いてはおりません!」
「この紋章――我が家の紋章に誓って、お約束します!」
「私(わたくし)もっ、事実のみ申し上げております!」
ローレルック様達はすぐさま大声で否定をして、周囲からもローレルック様達に同調する声が聞こえてきます。
ですがそんなお声を聞いても、クロヴィスさんは変わりませんでした。
最初の頃のように、わたしに――圧倒的格下の男爵令嬢に、優しい目線と(僕に任せておいてください。無実を証明しますよ)というお言葉をコッソリかけてくださり、ストロベリーブロンドの女性を――このパーティーの主役である、ミリアス様へと身体を向けました。
「ミリアス嬢、こちらのお三方の言い分を聞いてみたい。独りずつ別室に呼んでもらえますか?」
「??? ひとりずつ? 別室で……?」
「そうすることで、きっと見えてくるものがあるのですよ。ちゃんと言質を取ってもらいたいので、ご面倒ではありますが、第三者としてミリアス嬢にも同席していただきたく思います」
「ええ、分かりました。参りましょう」
そうして急遽、個別の取り調べが始まって――およそ1時間後のこと。取り調べが終わるとすぐに、真犯人が明らかとなりました。
「ミリアス嬢も、納得していただけましたね?」
「はい、納得しましたわ。異論ありません。シュザンヌ・モファクーナさんは無実。真犯人は、ナリア・ローレルックさんですわ」
個別に当時の状況などを事細かに語ってもらったら、3人で一緒にその場に居たはずなのに、まるで一致しないバラバラな部分がある説明が返って来た。
クロヴィスさんは『矛盾』を見つけるために3人を隔離させ、そこを問い詰めて自白させていたのです。
「モファクーナ様、もう心配は要りませんよ。貴方様の無実は証明されました」
「あ、ありがとうございます……! もう無理だと、諦めかけていて……。ありがとう、ございます……! ありがとう、ございます……!」
「どういたしまして。困った時はお互い様ですよ」
ただ一人だけ身分で判断をせず、親身になってくださった。何度も安心できる微笑みと言葉をかけてくださった。
――恋をしないはずが、ありませんでした――。
わたしはその日クロヴィスさんに生まれ初めての恋をして、でも、それだけはありません。
この出来事には、まだ続きがあって――
ナーリスル侯爵家と――ナーリスル侯爵家が所有する商会と取り引きを行っているため『お家』を代表して出席されていて、別の場所で当主様とお話しをされていたクロヴィスさん。騒ぎに気付き介入してくれたクロヴィスさんだけは、ちゃんとわたしの声を聞いてくださったのです。
「信じて……。いただけ、ます、でしょうか……?」
「その表情に演技の色は見えませんし、その説明にも言い訳の影を感じません。以上の理由では僕は、貴方様は犯人ではないと考えています」
「! あっ、ありがとうござ――」
「わたくし共は嘘を吐いてはおりません!」
「この紋章――我が家の紋章に誓って、お約束します!」
「私(わたくし)もっ、事実のみ申し上げております!」
ローレルック様達はすぐさま大声で否定をして、周囲からもローレルック様達に同調する声が聞こえてきます。
ですがそんなお声を聞いても、クロヴィスさんは変わりませんでした。
最初の頃のように、わたしに――圧倒的格下の男爵令嬢に、優しい目線と(僕に任せておいてください。無実を証明しますよ)というお言葉をコッソリかけてくださり、ストロベリーブロンドの女性を――このパーティーの主役である、ミリアス様へと身体を向けました。
「ミリアス嬢、こちらのお三方の言い分を聞いてみたい。独りずつ別室に呼んでもらえますか?」
「??? ひとりずつ? 別室で……?」
「そうすることで、きっと見えてくるものがあるのですよ。ちゃんと言質を取ってもらいたいので、ご面倒ではありますが、第三者としてミリアス嬢にも同席していただきたく思います」
「ええ、分かりました。参りましょう」
そうして急遽、個別の取り調べが始まって――およそ1時間後のこと。取り調べが終わるとすぐに、真犯人が明らかとなりました。
「ミリアス嬢も、納得していただけましたね?」
「はい、納得しましたわ。異論ありません。シュザンヌ・モファクーナさんは無実。真犯人は、ナリア・ローレルックさんですわ」
個別に当時の状況などを事細かに語ってもらったら、3人で一緒にその場に居たはずなのに、まるで一致しないバラバラな部分がある説明が返って来た。
クロヴィスさんは『矛盾』を見つけるために3人を隔離させ、そこを問い詰めて自白させていたのです。
「モファクーナ様、もう心配は要りませんよ。貴方様の無実は証明されました」
「あ、ありがとうございます……! もう無理だと、諦めかけていて……。ありがとう、ございます……! ありがとう、ございます……!」
「どういたしまして。困った時はお互い様ですよ」
ただ一人だけ身分で判断をせず、親身になってくださった。何度も安心できる微笑みと言葉をかけてくださった。
――恋をしないはずが、ありませんでした――。
わたしはその日クロヴィスさんに生まれ初めての恋をして、でも、それだけはありません。
この出来事には、まだ続きがあって――
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