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第3話 7年前の出会いと、気持ちの変化 マティアス視点(6)
しおりを挟む「? 私が今、望んでいたり叶えたいと思っている事?」
次の日。いつもの時間、いつものベンチで。他愛もない話に混ぜて、聞いてみた。
『どうすれば、イリスを救える?』
その答えとなる選択肢は、いくつか用意した。あとはその中から、最も希望に沿えるモノを選ぶだけだ。
「ここに来る途中に誕生日のヤツを見掛けて、ちょっと気になったんだよ。何かある?」
「うん、あるよ。ランドラの森に、行ってみたい」
それは、即答。その速さで、どれほど願っているかは簡単に把握できた。
「ランドラって………………南の方にある、今は立ち入り禁止になってる森だよな? どうしてそこに行きたいんだ?」
「ランドラの森は、フィルお母様――私の本当のお母様とよく遊んだ場所でね、最後に遊んだ場所なの。魔物が増えて、行きたいけど行けなくなっちゃって……。それがね、私の叶えたいこと」
「ふーん。そっか」
彼女が望むことは、『思い出の場所に行く』。そして、『あんな生活から抜け出す』。
そいつを俺が実現するには魔物を消し去り、少なくとも中級貴族張りの権力を手にしないといけない。
だとしたら――。そうするには、アレしかない。
魔王・ワオズを討つ。
倒しても倒しても、魔物は湧いてくるらしい。だったら、発生源を潰すしかない。
今の俺は姓も戸籍もない、平民以下の存在。そんなガキが力を得るには、英雄になるしかない。
これから取るべき行動であり目的は、あっさりと決まった。
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