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第13話 逆監視5日目 監視前(リュシアンの発表) (1)

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「これまでずっと頑張ってくださったことへの、ささやかなお礼っス。ミウヴァ様には、思い出のひまわり畑への旅をプレゼントするっスよっ!」

 ラズフ様はミーシャ様達と共に、映鏡の左右に――お父様とお母様の隣に並び、大きな音で拍手をしてくださいました。
 え……? ひまわり、ばたけ……?

「お父さん達は俺が伺った後で、お二人はミウヴァ様がブリオッシュの話をした後でっスね。ミウヴァ様に何かできないかって思ったみたいで、密かに計画を練ってたみたいなんスよ」
「……そ、そうだったのですね……」
「そうだったんス! そんで、超短時間の慌ただしいスケジュールになっちゃうんスけどね。お四方が考案した素敵な旅を――」
《ラズフさん。嘘はいけませんよ?》
《何かできないかと御相談をしたのは事実ですが、ひまわり畑のお話を出したのは貴男ですよね?》

 お父様とお母様が声を遮り、悪戯っぽさを含んで口元を緩めました。

《『それでしたら、丁度考えてたことがあるんスよっ!』。あたし達に告げてくださった言葉は、忘れていませんよ?》
「我々も、同様ですね。サニアさん達と何かしたいと考えていたら、『それでしたら――』とお声をかけていただきました」
「自分だけコッソリ外れるのは、卑怯でございますよ? ちゃんとラズフ殿も、企画者に名を連ねてください」
「いやいやっ。近道を教えてもらったりスケジュールを調整してもらったり、実現したのは皆さんのおかげっス。俺は四人さんほど活躍してないんで、名乗るつもりはない――って、もう手遅れっスねえ……」
「はい、手遅れです。ラズフ様、ありがとうございます」

 今回ばかりは全員が、ラズフ様の御意思を尊重できません。私のために計画してくださり、持ち掛けてくださり、感謝致します。

「……仕方ないっスね、どういたしましてっス。んで、話を戻しますっスね。日程は翌日の午前3時に出発で、午前5時40分前後に現地に到着。そこで40分ほど滞在して、8時40分ごろ神殿に到着になりますっスよ」
「ラズフ殿が睡眠時間や日の出、満開の時期や天気などを考慮して、日程を組んでくださったのですよ。出来ればもう少しスケジュールを楽にしたかったのですが、すみません。職務の調整はこれが限界でした」
「いや充分っス。充分すぎるっスよっ」
「ですよね。ミーシャ様サニア様、お手数をおかけしました」

 聖女は365日予定が入っていて、その9割近くが国内外の要人が関わるもの。本来は急な時間の変更は難しく、これはすごい事なのです。

「おかげ様で、私は明日――あれ? そういえば……」

 ふと、とある事に気が付きました。
 これは……。不自然といいますか、少々おかしいです。




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