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幕間 レイジSideその3(1)
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「えっ……。エルサ・ナルマさんは、従者をお辞めになられたのですか……?」
あれから、二十数分後。ワール家に用意された控室を訪れていたレイジは、おもわず驚きを口にした。
そうなるのは、無理からぬこと。近親者用の部屋で待機していると思っていた人物が、この城にいなかったのだから。
「エルサ・ナルマさんは、アリスの親友であり姉でもある方でした。なぜこの場にいらっしゃらないのでしょうか……?」
「『アリスを一人前にするのが自分の使命。もうその使命は終わりましたから』。この日が決まった一か月前から儂にそう言っていて、昨夜ウチを去ったのでございます……」
アリスの父である現当主・ヨルグが、多量の寂しさを孕んで返事をした。
エルサは、狡猾な女。自分の不在を怪しまれぬよう、策を用意していたのだ。
「私も、全然知らなくって……。今朝、馬車で泣いてしまいました……」
「この子との別れは寂しくて、喜びの席で悲しみの涙を流してしまいそうだから。エルサは妹に気を遣って、一人発ったのですよ……」
アリスに成りすましたエルサは目頭を押さえ、今なお騙されてるヨルグはエルサに対して親愛を込めた敬意を払った。
「ですがエルサは、レイジ様とアリスの婚約、御結婚を心から喜んでおりました。彼女のためにもどうか、どうか娘をよろしくお願い致します」
「はい、勿論です。アリス・ワールさんは、僕が命をかけて一生涯幸せにします」
レイジは背筋を伸ばし、父親の手を両手で握って誓いを立てる。そしてその後は少しばかり雑談を交わす――フリをしながら、黙考する。
(エルサ・ナルマさんが、この場にいない……。その理由は真っ当で、不自然な部分はないように思える……。だが……)
その判断は、解せない。アリスからよく聞いていたエルサ・ナルマが、する行動とは思えない。
(アリスの話だと彼女は、何よりもアリスの幸せを願ってくれるお姉さん。自分よりもアリスを優先してくれる、素敵なお姉さんだった。……ならばどんなに別れが辛くても、本心を隠して祝福するはず……)
エルサは従者なためレイジは頻繁に言葉を交わしてはいないが、代わりにアリスから何度も何度も話を聞いている。誰よりも傍にいた妹目線での、彼女を知っている。
その為この不在は、腑に落ちなかった。
(だとしたら十中八九、これはこの場にいない事を誤魔化す嘘。彼女の足取りを調べたら――)
「失礼致します。レイジ様、式の件で少々お話がございます」
丁寧なノックと共に、中性的な容姿の美少年が少しばかり扉を開けた。
彼はレイジの従者、テオ。自然と依頼をできるようココへと向かう途中、レイジは廊下ですれ違った彼に『あとで呼びに来てくれ』と目線で伝えていたのだった。
「ああ、分かった。ヨルグ殿、アリス、少々席を外します」
レイジはエルサを残し――盗み聞きされないようエルサをここに閉じ込め、廊下に出て静かに一度息を吐く。
犯人は分かった。あとは、調べるだけ。
あれから、二十数分後。ワール家に用意された控室を訪れていたレイジは、おもわず驚きを口にした。
そうなるのは、無理からぬこと。近親者用の部屋で待機していると思っていた人物が、この城にいなかったのだから。
「エルサ・ナルマさんは、アリスの親友であり姉でもある方でした。なぜこの場にいらっしゃらないのでしょうか……?」
「『アリスを一人前にするのが自分の使命。もうその使命は終わりましたから』。この日が決まった一か月前から儂にそう言っていて、昨夜ウチを去ったのでございます……」
アリスの父である現当主・ヨルグが、多量の寂しさを孕んで返事をした。
エルサは、狡猾な女。自分の不在を怪しまれぬよう、策を用意していたのだ。
「私も、全然知らなくって……。今朝、馬車で泣いてしまいました……」
「この子との別れは寂しくて、喜びの席で悲しみの涙を流してしまいそうだから。エルサは妹に気を遣って、一人発ったのですよ……」
アリスに成りすましたエルサは目頭を押さえ、今なお騙されてるヨルグはエルサに対して親愛を込めた敬意を払った。
「ですがエルサは、レイジ様とアリスの婚約、御結婚を心から喜んでおりました。彼女のためにもどうか、どうか娘をよろしくお願い致します」
「はい、勿論です。アリス・ワールさんは、僕が命をかけて一生涯幸せにします」
レイジは背筋を伸ばし、父親の手を両手で握って誓いを立てる。そしてその後は少しばかり雑談を交わす――フリをしながら、黙考する。
(エルサ・ナルマさんが、この場にいない……。その理由は真っ当で、不自然な部分はないように思える……。だが……)
その判断は、解せない。アリスからよく聞いていたエルサ・ナルマが、する行動とは思えない。
(アリスの話だと彼女は、何よりもアリスの幸せを願ってくれるお姉さん。自分よりもアリスを優先してくれる、素敵なお姉さんだった。……ならばどんなに別れが辛くても、本心を隠して祝福するはず……)
エルサは従者なためレイジは頻繁に言葉を交わしてはいないが、代わりにアリスから何度も何度も話を聞いている。誰よりも傍にいた妹目線での、彼女を知っている。
その為この不在は、腑に落ちなかった。
(だとしたら十中八九、これはこの場にいない事を誤魔化す嘘。彼女の足取りを調べたら――)
「失礼致します。レイジ様、式の件で少々お話がございます」
丁寧なノックと共に、中性的な容姿の美少年が少しばかり扉を開けた。
彼はレイジの従者、テオ。自然と依頼をできるようココへと向かう途中、レイジは廊下ですれ違った彼に『あとで呼びに来てくれ』と目線で伝えていたのだった。
「ああ、分かった。ヨルグ殿、アリス、少々席を外します」
レイジはエルサを残し――盗み聞きされないようエルサをここに閉じ込め、廊下に出て静かに一度息を吐く。
犯人は分かった。あとは、調べるだけ。
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☆読者様の御親切に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
ご心配頂きました件について『お礼とご報告』を近況ボードにてお伝えさせて頂きます。
引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです♡ (百谷シカ・拝)
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