Our place ~転生乙女のジュラーレ魔法学院の日常~

龍希

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第1章

スターシップ・リュシオル

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「ねぇ。ラピス、ラグナリア星ってどんなトコロなの?」

 今私がいる所は、宇宙船、スターシップとも呼ばれている。その中にある操舵室、通称メインブリッジにいる。

 メインスクリーンの前にあるパネルと椅子に陣取って、映し出される宇宙空間を眺めていた。
 その中央に位置する場所(船長席)には、床から伸びる接続端子を後頭部、首筋、手等に接続し椅子に座っているのがラピス。

 出産の時、私を取り上げた、瞳と長い髪は瑠璃色の中性的な美人は、人工知能AIを搭載したアンドロイドなのだ。
 ただのアンドロイドではない!
 なんと、このスターシップ、リュシオルのメイン知能でもあり、宇宙船そのものでもある。

『一言で言えば、魔法惑星ですね』
 メインスクリーンは宇宙空間を映し出しながら、別枠で右端にラピスが映る。

『詳しく知りたいのでしたら、資料がありますから出しましょうか?』
「う~~ん、詳しく言われてもわからないかも」
 椅子に腰掛けながら、足をぶらぶらさせて答える。

 私が今日着ているのは、淡いピンク色のワンピースで、足をぶらぶらさせる度に裾のヒラヒラのレースが揺れる。
『それでは、ざっとお教えしますね』
「うん」

『ラグナリア星は、おう制度によって統治されています。現ラグナリア星皇陛下は、セリティア・ラグナリア女王陛下で、我がマスターでありナツキ様のお母様の親友でもあります』

 ぱっと画面が切り替わる。
 映し出されたのは、髪は銀茶色、紫の瞳、肌は真珠のような白で、美しいルビー色のドレスを纏い、王杓を手に持ち、頭には王冠を被り威風堂堂とした姿の女性だった。

「この人がセリティア女王陛下?」
『そうです。このフォトは5年前の戴冠の時のものです』
「カッコイイね~」

『次に、大陸についてですが。大きな都市は、東西南北中央に分かれてます。東は王立聖騎士団があります。西が宇宙科学工業都市で、宇宙港もここにあります。南が魔法学園都市。北が王都で王宮があります。中央が中央都市で国民の大半がここに住んでます。後は細かな地区などがありますが今回は省きます』

 5つの都市のデータ画像が、パパパパパッと画面に映る。

 それぞれの都市は、特色のある作りだった。
 王立聖騎士団のある地は田舎っぽくて、宇宙科学工業都市は未来的で、魔法学園都市は緑と学校が融合した独特な雰囲気で、王都は中世ヨーロッパの様な感じで、中央都市は住宅やビルなどが多い都市だった。

『南の魔法学園都市には、マスターユーナが学院長をされているジュラーレ学院が御座います。学院では、魔術科と宇宙科が学べます。ナツキ様もここにご入学される事になるでしょう』
「ふぅ~ん」
 あまり実感が無い為、生返事で返す。

 母様は、魔法界の女帝と言われる存在なんだけど、私の前では普通に母親でいるのでイマイチピンとこない。
 父様は、婿養子で宇宙考古学者をしてて、あっちこっちへ行っている。
 魔法も結構使える人らしい。

 二人とも私の前では魔法を殆ど使わないので、どれだけ凄い人達なのかが未だに解らない。
 兄様は良く色々見せてくれるが、私の前で使ったのがバレると母様と父様に怒られるらしい。

 どうやら、私は魔法(魔力)に関して何か問題を抱えているらしい……あくまで推測だが。
 でなければ、二人が私に魔法を使いたい時は必ず言いなさいなんて釘を刺す理由が見付からない。

 真剣に言われたので、好奇心で魔法を試そうと思っても試みた事は無い。
 ある程度、理解出来るようになったら教えてくれるのだろうとは思っている。

「そう言えば、コウ兄様、来年から学院行くって言ってたね?」
 本来なら13歳から入学するのだが、母様や他の人達に習っているから15歳から入る事にしたらしい。
 2年分のブランクは飛び級で何とかするようだ。

『コウ様はナツキ様の事が気掛かりで、出来るだけ入学を延ばしてたそうですから』
「……コウ兄様は、シスコンよねぇ~」
『ええ、それはそれは、ナツキ様の事を目に入れても痛くないほどの可愛がり様ですから……ジュラーレ学院に入っても毎日欠かさず連絡が入りそうですね』

「クギ刺しておかなきゃダメかもしれないね? 毎日連絡ってイロイロとモンダイでしょ」
『それは……なさらない方が良いのではないでしょうか』
 シスコン振りを知っているラピスは提言する。

 しかし、私としては何は無くともまず私に連絡して、それから勉強や学友達との交流などと言う構図が見え過ぎてて非常に怖い!

 間違いなく「可愛い妹に連絡してから行く(する)よ!」って宣言するに違いない。
 そんな兄様見たくない!

 10歳の時の兄様は、お人形の様だったが今では美少年から美青年へと変貌を遂げる過程の真っ最中で、どちらかというと可愛い要素よりもカッコイイの要素の方が比率が大きくなっている。

 ふと見せる仕草なんかは可愛いんだけど、頼れてカッコイイ、自慢の兄様でいて欲しい。
 なので、兄様のシスコン振りをあっちこっちで露呈するのは、妹として阻止すべき重要案件だ。
 心の中で決意する私に、ラピスが言った。

『マスターから、先ほどナツキ様にお部屋に来る様にとご連絡が入りました』
「母様が?」
『はい。後、1時間程でラグナリア星系内へ入りますから、星へ降りるご準備かと思われます』
「じゃあ、お部屋に行くね。あ、星見せてくれてありがとうね!」
『喜んで頂けたら光栄です。また、見たい時は言って下さい。何時でも歓迎致します』
「うん! じゃ~ね!」
 メインモニターに向かって、バイバイと手を振る。

 部屋の真ん中にラピスの身体があってちょっと違和感があるのだが、モニターに映っている時は身体の方は抜け殻の状態なのでモニターの方が本体と言う事で認識している。
 そうして、私はメインブリッジを後にした。



 ラグナリア星に来たのは、明後日に催される、セリティア・ラグナリア女王陛下戴冠5周年を記念したパーティーに参列する為だった。

 女王陛下戴冠記念パーティーがどんなものか興味津々だが、着飾って出席するとなると色々とマナーとかあって気後れしそうだ。

 こっそり覗き見する程度なら嬉しいんだけど……。
 と、絶対無理な願いだとわかっているが、ついついそう思ってしまうのは前世の庶民癖のせいかもしれないね。

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