36 / 69
第2章
好きになるのなら命がけで! SIDE BOYS
しおりを挟む
「はあ~~~~っ。疲れた~~っ」
豪奢な二人掛けのソファーにどっかりと座り、思いっ切り息を吐き出すレーツェル。
少し前の緊迫感を削ぎ落とす様に、肩の力も抜き去ってだらっとする。
そんなレーツェルを見ながら、カグラは反対側に置いてある対のソファーに腰を下ろすと。
「自業自得だろう」
バッサリと一刀両断した。
じと目でレーツェルは、カグラを見詰める。
「ひどっ。少しは労われよ! カグラの為なのもあったんだぞ。それを……」
「そもそも、頼んでない。彼女が自分からどうこうして、婚約者になった訳でもない。過剰反応し過ぎた」
「だけど、カグラを守るのは僕の役目だ」
「それで、理事長に釘を刺されてれば意味ないだろうが」
「うっ……」
「でもって、彼女の態度から俺達に近付きたくない雰囲気が出ていた。嫌疑は晴れたろ?」
「……そうだけど」
「他に何かあるのか? それこそ、陛下に文句を言うしか無くなるぞ。何せあの人が婚約騒動の黒幕だからな。あの人の許可が無ければ、婚約を白紙撤回出来ないぞ」
カグラの言葉にレーツェルは天井を仰ぎ、不満そうな声を出した。
「う~~。解っているんだけどさー。だからこそ、どんな相手か見定めたいだろ?」
「どんな相手ねぇ……そうだな、フォトなら一応あるが見たいか?」
うだうだ言うレーツェルを仕方なさそうに見遣りながら、カグラはそう問い掛けてみる。
「え? 写真あるの!?」
目を輝かせる様な勢いで、コロッと変わってカグラを見詰める。
「……ふぅん。やっぱり、気になるんだ?」
意味深にカグラは、レーツェルから目を逸らさずに言う。
「き、気になるだろ! やっぱり!」
反射的に言い返すレーツェル。
「そうだな。お前にしては思いっ切り、気にして構う位だしな」
「……そうかなぁ?」
釈然としないという感じでレーツェルは首を捻る。
カグラは服の内ポケットから、携帯端末を取り出すと指先でちょいちょいと弄る。端末が音声を発した。
『声紋確認をします』
カグラは淡々と告げる。
「解除」
『確認完了』
ピピと言う音と共に、端末のディスプレイ上に3Dホログラムが出る。
長いふわふわの金髪、瞳はエメラルド、白い肌に華奢な体つきと、淡いピンク色のワンピースを着た笑顔の可愛らしい少女の姿。
「これが彼女、ナツキ・ルウィン・アマハだ」
カグラは、レーツェルの前に端末を差し出す。
「……っ」
食い入る様に彼女を見詰めるレーツェルを、カグラはじっと見下ろしながら観察する。
「か、可愛いな……」
レーツェルの眼が輝いている様に見える。
「ねぇ、カグラ、このフォトを僕の端末にコピーしてくれない?」
カグラにそう頼むレーツェルの視線は、ホログラムに釘付だ。
「……ダメだ。これは機密扱いのものだからな」
「そっか、残念」
あからさまにがっかりするレーツェルを見て、カグラは嫌な予感しかしなかった。
――――これは、まさか、レーツェルの初恋か?
豪奢な二人掛けのソファーにどっかりと座り、思いっ切り息を吐き出すレーツェル。
少し前の緊迫感を削ぎ落とす様に、肩の力も抜き去ってだらっとする。
そんなレーツェルを見ながら、カグラは反対側に置いてある対のソファーに腰を下ろすと。
「自業自得だろう」
バッサリと一刀両断した。
じと目でレーツェルは、カグラを見詰める。
「ひどっ。少しは労われよ! カグラの為なのもあったんだぞ。それを……」
「そもそも、頼んでない。彼女が自分からどうこうして、婚約者になった訳でもない。過剰反応し過ぎた」
「だけど、カグラを守るのは僕の役目だ」
「それで、理事長に釘を刺されてれば意味ないだろうが」
「うっ……」
「でもって、彼女の態度から俺達に近付きたくない雰囲気が出ていた。嫌疑は晴れたろ?」
「……そうだけど」
「他に何かあるのか? それこそ、陛下に文句を言うしか無くなるぞ。何せあの人が婚約騒動の黒幕だからな。あの人の許可が無ければ、婚約を白紙撤回出来ないぞ」
カグラの言葉にレーツェルは天井を仰ぎ、不満そうな声を出した。
「う~~。解っているんだけどさー。だからこそ、どんな相手か見定めたいだろ?」
「どんな相手ねぇ……そうだな、フォトなら一応あるが見たいか?」
うだうだ言うレーツェルを仕方なさそうに見遣りながら、カグラはそう問い掛けてみる。
「え? 写真あるの!?」
目を輝かせる様な勢いで、コロッと変わってカグラを見詰める。
「……ふぅん。やっぱり、気になるんだ?」
意味深にカグラは、レーツェルから目を逸らさずに言う。
「き、気になるだろ! やっぱり!」
反射的に言い返すレーツェル。
「そうだな。お前にしては思いっ切り、気にして構う位だしな」
「……そうかなぁ?」
釈然としないという感じでレーツェルは首を捻る。
カグラは服の内ポケットから、携帯端末を取り出すと指先でちょいちょいと弄る。端末が音声を発した。
『声紋確認をします』
カグラは淡々と告げる。
「解除」
『確認完了』
ピピと言う音と共に、端末のディスプレイ上に3Dホログラムが出る。
長いふわふわの金髪、瞳はエメラルド、白い肌に華奢な体つきと、淡いピンク色のワンピースを着た笑顔の可愛らしい少女の姿。
「これが彼女、ナツキ・ルウィン・アマハだ」
カグラは、レーツェルの前に端末を差し出す。
「……っ」
食い入る様に彼女を見詰めるレーツェルを、カグラはじっと見下ろしながら観察する。
「か、可愛いな……」
レーツェルの眼が輝いている様に見える。
「ねぇ、カグラ、このフォトを僕の端末にコピーしてくれない?」
カグラにそう頼むレーツェルの視線は、ホログラムに釘付だ。
「……ダメだ。これは機密扱いのものだからな」
「そっか、残念」
あからさまにがっかりするレーツェルを見て、カグラは嫌な予感しかしなかった。
――――これは、まさか、レーツェルの初恋か?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜
秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。
そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。
クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。
こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。
そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。
そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。
レベルは低いままだったが、あげればいい。
そう思っていたのに……。
一向に上がらない!?
それどころか、見た目はどう見ても女の子?
果たして、この世界で生きていけるのだろうか?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う
夜詩榮
ファンタジー
あらすじ
現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。
登場人物
主人公
名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力
リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 響ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。
アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 奏かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる