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第2章
運のつき?
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それになりに散ったが、やはり気になるのか、距離を取って遠巻きに多くの人が優雅に歩く皇位継承者&専属騎士を憧憬や羨望の眼差しで見詰めていた。
まあね、あれだけの美形は目の保養になるし、一目惚れもするだろう。
でも、大々的に婚約発表してるのに、人気は衰えないものなのかなぁ? と思う。
婚約者が居ても恋愛とは別物と考えていてもおかしい事はないけれど。
無駄に優雅に歩く二人に目をやっていたせいでマズイ事にバッチリ、レーツェルと目が合う。
「……ぅ」
背筋にぞわぞわしたものが走り、思わず小さく呻いてしまう。
慌てて目を逸らし、大講堂の中へと入口へ体を向ける。
「リョウ、早く中に入ろうと思うんだけど、どうする?」
顔だけ、リョウの方に傾けて言う。
「え? ああ、ワイも行くわ」
すんなりと承諾が取れて、そそくさとその場を後にする。
中に入ると、待合室の様な廊下みたいな空間が広がっている。更に奥の空間に大きな半円の入り口がある。
そこに長テーブルの上に30センチ間隔で小さな箱の様な物が4つちょこんと乗っていて、そのテーブルの向こう側には人が男女二人立っていた。
この学院の職員が着るお仕着せの金の縁取りがアクセントの黒のスーツを着用し、無表情で立っている。
「ご入学おめでとう御座います」
ぺこりと頭を下げ、淡々とした口調でスーツを着た二人が言う。
その単調さから、ピンとくる。
「……もしかしてアンドロイド?」
「はい、左様で御座います。私共は、この学院の雑務を引き受けております」
私の言葉に、無表情で答えるアンドロイド達。
ちなみにアンドロイドの技術は、医療にも活用されている。
アンドロイドの身体に使われている肌は、人工肌でそのまま普通の人体の皮膚にも使われるし、腕や脚なども義手や義肢にも使われる。アンドロイドやバイオロイドなどは、医療の革新を担っていたりする。
この学院は、多分、兄様や関連事業や宇宙工学科の関係上、自社生産(?)的な意味合いも含めてアンドロイド達がいるのだろう。
「どうぞ、身分証明IDと携帯端末をこの認証BOXに翳して下さい」
小さな箱を指して私たちに告げる。
私とリョウは別々に、端末とID兼部屋の鍵を箱に翳すと、端末のディスプレイに文字が浮かぶ。
「認証完了致しました。端末に記されたお席にお着き下さい」
アンドロイド達は、合唱する様に言う。
「ほな、いこか~」
「あ、うん」
私はリョウに促されるまま、奥の入り口を潜る。
入って目に飛び込むのは、高い天井へと伸びる曲線美が美しい柱達と、カラフルなステンドグラス。
お祈りも出来そうな荘厳極まりない、大聖堂だ。
中央には、一段高い祭壇の様な、舞台。
囲む様に、椅子が配置されている。
手の中の端末に表示された座席は、その一区画、入って右手(東)側の最前列の端っこの席だ。
「めっさ金掛けとるなぁ~。ものすんごいとは聞いとったけど、想像以上やわ、この講堂」
リョウはぐるりと見回し、感嘆の声を上げる。
「そうなの?」
「ああ、この学院の卒業生で、有名な建築家や芸術家達が作ったって話なんやけど、しらんかったん?」
「うん、実は、この学院の事余り知らないんだよね。魔法適正が有ったから、放り込まれた感じだし」
実際、私の意志など絶対に通る事はないけどね。
誰かの目の届く所でなければ、安心出来ないのも理解出来るけど……。
勝手に決められて、勝手に放り込まれた感は物凄くある。
それに、この学院は家業のひとつな上、入らない選択は皆無だ。
「魔法適正かぁ、そら、逃げられんわな」
リョウが苦笑しながら、私にそう言う。
魔法適正。
それは、このラグナリア星の星籍(地球的に言えば国籍だね)を持つ者に課せられた足枷の様なもの。
一定の魔法適正のある者は、ジュラーレ学院に入る事が義務付けられている。
その代り、どんなに金を積もうが『魔法適正の無い者』はジュラーレ学院に入れない。
そして、お金の無い者は学院内で一定期間無償奉仕すれば、学費や寮費を免除されると言う。
ちなみに、無償奉仕期間分以外にも希望すれば、アルバイト扱いになってお金が稼げると言う仕組みだそうだ。
更に、普通に入学試験を受けて入れるのは、宇宙工学科だけという徹底ぶり。
「あ、リョウの席はどこ?」
歩きながら、私は問い掛ける。
「いっちゃん前の席の右から2つ目や」
「え? 私の隣だ」
「へぇ~~。嬉しい偶然やな!」
そう言うと、にこにこした笑顔を私に向けてくれた。
その笑顔にほわんと、和む。
色々と不安だらけだけど、こういう瞬間に出会えると正直ほっとする。
きっと、今、私達の周囲は、ほわわ~~んな空気を醸し出しているだろう。
引き籠り生活が長かったので、本来の自分(女の子)としてここに居たら居た堪れなくなっていたか、容姿や名前のせいで取り囲まれていたかもしれない。
そう考えると、今の姿で良かったと思う。
まあね、あれだけの美形は目の保養になるし、一目惚れもするだろう。
でも、大々的に婚約発表してるのに、人気は衰えないものなのかなぁ? と思う。
婚約者が居ても恋愛とは別物と考えていてもおかしい事はないけれど。
無駄に優雅に歩く二人に目をやっていたせいでマズイ事にバッチリ、レーツェルと目が合う。
「……ぅ」
背筋にぞわぞわしたものが走り、思わず小さく呻いてしまう。
慌てて目を逸らし、大講堂の中へと入口へ体を向ける。
「リョウ、早く中に入ろうと思うんだけど、どうする?」
顔だけ、リョウの方に傾けて言う。
「え? ああ、ワイも行くわ」
すんなりと承諾が取れて、そそくさとその場を後にする。
中に入ると、待合室の様な廊下みたいな空間が広がっている。更に奥の空間に大きな半円の入り口がある。
そこに長テーブルの上に30センチ間隔で小さな箱の様な物が4つちょこんと乗っていて、そのテーブルの向こう側には人が男女二人立っていた。
この学院の職員が着るお仕着せの金の縁取りがアクセントの黒のスーツを着用し、無表情で立っている。
「ご入学おめでとう御座います」
ぺこりと頭を下げ、淡々とした口調でスーツを着た二人が言う。
その単調さから、ピンとくる。
「……もしかしてアンドロイド?」
「はい、左様で御座います。私共は、この学院の雑務を引き受けております」
私の言葉に、無表情で答えるアンドロイド達。
ちなみにアンドロイドの技術は、医療にも活用されている。
アンドロイドの身体に使われている肌は、人工肌でそのまま普通の人体の皮膚にも使われるし、腕や脚なども義手や義肢にも使われる。アンドロイドやバイオロイドなどは、医療の革新を担っていたりする。
この学院は、多分、兄様や関連事業や宇宙工学科の関係上、自社生産(?)的な意味合いも含めてアンドロイド達がいるのだろう。
「どうぞ、身分証明IDと携帯端末をこの認証BOXに翳して下さい」
小さな箱を指して私たちに告げる。
私とリョウは別々に、端末とID兼部屋の鍵を箱に翳すと、端末のディスプレイに文字が浮かぶ。
「認証完了致しました。端末に記されたお席にお着き下さい」
アンドロイド達は、合唱する様に言う。
「ほな、いこか~」
「あ、うん」
私はリョウに促されるまま、奥の入り口を潜る。
入って目に飛び込むのは、高い天井へと伸びる曲線美が美しい柱達と、カラフルなステンドグラス。
お祈りも出来そうな荘厳極まりない、大聖堂だ。
中央には、一段高い祭壇の様な、舞台。
囲む様に、椅子が配置されている。
手の中の端末に表示された座席は、その一区画、入って右手(東)側の最前列の端っこの席だ。
「めっさ金掛けとるなぁ~。ものすんごいとは聞いとったけど、想像以上やわ、この講堂」
リョウはぐるりと見回し、感嘆の声を上げる。
「そうなの?」
「ああ、この学院の卒業生で、有名な建築家や芸術家達が作ったって話なんやけど、しらんかったん?」
「うん、実は、この学院の事余り知らないんだよね。魔法適正が有ったから、放り込まれた感じだし」
実際、私の意志など絶対に通る事はないけどね。
誰かの目の届く所でなければ、安心出来ないのも理解出来るけど……。
勝手に決められて、勝手に放り込まれた感は物凄くある。
それに、この学院は家業のひとつな上、入らない選択は皆無だ。
「魔法適正かぁ、そら、逃げられんわな」
リョウが苦笑しながら、私にそう言う。
魔法適正。
それは、このラグナリア星の星籍(地球的に言えば国籍だね)を持つ者に課せられた足枷の様なもの。
一定の魔法適正のある者は、ジュラーレ学院に入る事が義務付けられている。
その代り、どんなに金を積もうが『魔法適正の無い者』はジュラーレ学院に入れない。
そして、お金の無い者は学院内で一定期間無償奉仕すれば、学費や寮費を免除されると言う。
ちなみに、無償奉仕期間分以外にも希望すれば、アルバイト扱いになってお金が稼げると言う仕組みだそうだ。
更に、普通に入学試験を受けて入れるのは、宇宙工学科だけという徹底ぶり。
「あ、リョウの席はどこ?」
歩きながら、私は問い掛ける。
「いっちゃん前の席の右から2つ目や」
「え? 私の隣だ」
「へぇ~~。嬉しい偶然やな!」
そう言うと、にこにこした笑顔を私に向けてくれた。
その笑顔にほわんと、和む。
色々と不安だらけだけど、こういう瞬間に出会えると正直ほっとする。
きっと、今、私達の周囲は、ほわわ~~んな空気を醸し出しているだろう。
引き籠り生活が長かったので、本来の自分(女の子)としてここに居たら居た堪れなくなっていたか、容姿や名前のせいで取り囲まれていたかもしれない。
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