Our place ~転生乙女のジュラーレ魔法学院の日常~

龍希

文字の大きさ
54 / 69
第2章

対抗戦を切り抜けろ! 3

しおりを挟む
 ずらりと列を成す、王立聖騎士団の灰色の騎士の制服を着た見習い達。その中の中央の二列が、足並みを揃えて左右に外側へ斜め一歩ずれる。
 割れて人が通れる道が出来上がり……その先に白い騎士服に身を包んだ女性が、堂々としかも優雅に歩いて来る。

「げぇ……」
 顔を青くして、悲鳴の様な声を上げるレーツェル。
「ちっ……」
 渋面を作りながら、舌打ちせずにはいられないカグラ。
 共通しているのは、とても嫌そうな雰囲気だった。

 そうこうしている間に、その女性は顔が分る位に近付いて来ていた。
 周囲に居た生徒の半分位が、その女性を見て息を呑んでいた。後頭部の天辺位で一つに束ねた、肩甲骨付近までの長さを持つ銀の髪が緩やかなカーブを描いている。意志の強い銀蒼色の瞳に、不敵な笑みを湛える唇、人を魅了する美貌と、鍛えられた美しい肢体を兼ね備えた人だった。
 腰には二振りの剣を佩いていた。左に細身の銀の剣、右には幅広なバスタードソードの様な黒い剣が異彩を放っていた。

 そして……その顔は似ていた。
 カグラと、レーツェルに。

「お招き感謝します。シエン先生」
 にこやかに微笑み、そう言う美女にシエンは笑顔を返して告げた。
「こちらこそ、御了承有り難う御座います。ニーナ副騎士団長殿」

「…………ぇぇと」
 思わず、カグラとレーツェルの間を行ったり来たりと目が泳ぐ。
 カグラのお母様でレーツェルの叔母様で、無双的な方ってことですか!?

 嫌そうな雰囲気の二人を無視して、ニーナ副騎士団長はシエンと会話をしていた。
「騎士団としても、見習いの修行になりますからお申し出は嬉しかったです。どこかの誰かさんに有望な騎士を盗られた上、一部の見習いは血筋でズルが出来ると勘違いしているのですよ。ですから、わたくしとしましては、明確にしておきたい案件でしたのでとても感謝しています」
 ふふふと声を出して笑う、ニーナ副騎士団長のその目は笑っていない。


 背筋が寒くなる様な微笑みに、ガチでコワイなどと思っていると。
 横ではそのチクチクとトゲがある会話を聞き、カグラとレーツェルは少し顔色が悪くなっていた。
「悪夢だ……」
「あれって僕等に対する嫌味が含まれてるよね?」
「後半はこの際だから、自分が手を下さずに叩き潰させて、反省して貰う気満々としか思えん」
「うわぁ、面倒くさー」
 溜め息を吐きつつ、レーツェルがぼやく。

 カグラとレーツェルは顔を見合わせる。
副騎士団長ははうえは確実に俺達を引きずり出すつもりだ」
「だろうね、僕が一時的に騎士団を抜けるのもお怒りの様だし」
騎士団長おじうえの許可取ってないかもな」
「あぁ、そうだね、騎士団長ちちうえは許可して無いと思う。許可してたら、僕に連絡が来るだろうし」
「せめて宰相ちちうえ付で、どっかに行ってくれれば良かったと思う」
「それは言える~」
 ぼそぼそと愚痴り合う二人。

 何と言うか……二人の苦労が垣間見える瞬間だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな
ファンタジー
伯爵家の次男坊ダニエル・エインズワース。この世界では女神様より他人より優れたスキルが1人につき1つ与えられるが、ダニエルが与えられたスキルは「素潜り」。貴族としては、はずれスキルである。家族もバラバラ、仲の悪い長男は伯爵家の恥だと騒ぎたてることに嫌気をさし、伯爵家が保有する無人島へ行くことにした。はずれスキルで活躍していくダニエルの話を聞きつけた、はずれもしくは意味不明なスキルを持つ面々が集まり無人島の開拓生活がはじまる。

処理中です...