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第2章
対抗戦を切り抜けろ! 4
しおりを挟む立ち姿も様になる、無双なニーナ副騎士団長様が生徒及び騎士達に向って声を出した。女子校で先輩に居たら、キャーお姉さまぁ! と叫んでいたかもしれない位カッコイイ。
「対抗戦は至ってシンプルだ。騎士団の見習いで入って1年の者は逃げ回るだけで、残りの者は支給されている魔法の掛かった剣で行う。魔法により、剣は肉体を傷付ける様にはなっていないから安心したまえ。その代わり、戦闘の場『方陣』から外に出される。学院側の生徒の魔法攻撃を受けた場合も同じに、戦闘の場から強制退場となります」
「そして、学院側VS騎士団側で対抗戦を行い、勝者を決めます。手抜きした者はペナルティーもしくは、魔法実践の点数が減点されますので頑張って下さい。ただ勝者を決めるだけではつまらないので、捕虜をとりましょうか。全滅させるか、捕虜を救出するかと言うのはどうでしょうか?」
笑顔で言うシエン先生は、凶悪な提案をする。
「あら、良いわね。騎士団からは、シエルを捕虜に出すわ。あの子なら、皆の気合も上がるでしょうから」
それに乗っかるニーナ副騎士団長は、思いのほか楽しそうに笑う。
「シエル! こちらにいらっしゃい!」
「はいっ!」
変声期前の独特な高い声がして、騎士達の列の中から出て来る一人の少年。
金色髪を緩い三つ編みを腰辺りで縛り、ぱっちりした紫色の瞳を持つ、身長は150センチ位の小柄で、可愛い容姿の少年だった。
普通に女子より可愛いじゃん!
やっぱりどこにでもいるよね、女の子が自信無くすくらいの可愛いコ。
これなら、騎士の皆の気合も上がるのも頷ける。
「では、こちら側からは誰にし・よ・う・か・なっ!」
ニンマリ笑って、シエンがグルリと見回す。そして、ぴたりと視線が止まる。
――――ちょ、待って待って!
シエンの溢れんばかりの笑顔が私に向けられている。恐怖に思わず顔が引き攣る。
「ひぃ……」
「ナツキ・タカマガハラ、捕虜になりなさい!」
先生に高らかに宣言された。
――――なんでええええええええええええ!?
「え、あ、あのっ」
「問答無用よ! ナツキ来なさい」
「はい……」
シエンの強制的な言葉に逆らえず、カグラとレーツェルとリョウを見遣る。
「行け」
「うん、行った方が良いよ」
「頑張って助けたる」
三人はそう言って私を送り出してくれる。
「うん」
頷いて、シエン先生の所へ駆けて行く。
「シエルはシエン先生の方へ、貴方は私の方へ」
「はい」
シエルは副騎士団長の言葉に従い、シエン先生の横へ立つ。
私は言われた通りに、ドキドキしながら副騎士団長の横へと進む。
「緊張してるのね。可愛いわ」
フフフと笑う彼女に、頷いて答える。
「はい、してます」
下手したら未来のお義母様になる方ですので、緊張して当たり前です。とは、言えないけれど……こんな前面に出されて少なからず緊張しない人っていないと思う。
「さて、カグラ・ジーノ・ラグナ! 貴方には本気を出して貰います」
「っ!!」
カグラがぎょっとした顔付きになる。そんな様子は想定済みらしく、副騎士団長は冷静な表情を崩さず、腰の黒い剣の帯びごと外し、持ち上げる。
「カグラ、貴方の得物よ。受け取りなさい」
副騎士団長の有無を言わさぬ苛烈な瞳が射ぬく。
「レーツェルと貴方が本気にならないと、勝てないわよ? 腕章をしている者は、正騎士の叙任待ちよ」
「シエン先生……」
困惑しながらカグラは、シエンを見ると。
「ええ、良いですよ。その位のハンデは頂かないと面白くないですからね。それに、その剣はカグラの物でしょう? 折角、お家から持って来て頂いたのですから、使わなくてはね」
ニッコリ微笑を浮かべて、カグラにそう告げる。
ツカツカツカと、カグラは副騎士団長に近付く。
「では、一時的に使わせて貰います。終わったら、ちゃんと持って帰って下さい。それと、人の部屋から勝手に持ち出さないで下さい」
カグラは憮然としながら、ひったくる様に黒の剣を手に持ち、腰に装備する。
「酷いわ、手入れもしてあげているのに」
「不要です」
素っ気無い態度で、カグラは副騎士団長に告げている。
カグラの表情は、とても嫌そうに見えた。
ふぅ……と、溜め息を一つ吐いて、カグラは強い目で副騎士団長を睨む。
「徹底的に潰しにいきますから、そのつもりで」
「ええ、そうこなくてはね。それだけの事を貴方達二人には叩き込んであるんですから、無様な姿を晒す真似はしないで頂戴」
睨まれても、不敵に微笑みを浮かべる副騎士団長はツワモノだ。
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