Our place ~転生乙女のジュラーレ魔法学院の日常~

龍希

文字の大きさ
55 / 69
第2章

対抗戦を切り抜けろ! 4

しおりを挟む

 立ち姿も様になる、無双なニーナ副騎士団長様が生徒及び騎士達に向って声を出した。女子校で先輩に居たら、キャーお姉さまぁ! と叫んでいたかもしれない位カッコイイ。
「対抗戦は至ってシンプルだ。騎士団の見習いで入って1年の者は逃げ回るだけで、残りの者は支給されている魔法の掛かった剣で行う。魔法により、剣は肉体を傷付ける様にはなっていないから安心したまえ。その代わり、戦闘の場『方陣』から外に出される。学院側の生徒の魔法攻撃を受けた場合も同じに、戦闘の場から強制退場となります」

「そして、学院側VS騎士団側で対抗戦を行い、勝者を決めます。手抜きした者はペナルティーもしくは、魔法実践の点数が減点されますので頑張って下さい。ただ勝者を決めるだけではつまらないので、捕虜をとりましょうか。全滅させるか、捕虜を救出するかと言うのはどうでしょうか?」
 笑顔で言うシエン先生は、凶悪な提案をする。

「あら、良いわね。騎士団うちからは、シエルを捕虜に出すわ。あの子なら、皆の気合も上がるでしょうから」
 それに乗っかるニーナ副騎士団長は、思いのほか楽しそうに笑う。

「シエル! こちらにいらっしゃい!」
「はいっ!」
 変声期前の独特な高い声がして、騎士達の列の中から出て来る一人の少年。
 金色髪を緩い三つ編みを腰辺りで縛り、ぱっちりした紫色の瞳を持つ、身長は150センチ位の小柄で、可愛い容姿の少年だった。

 普通に女子より可愛いじゃん!
 やっぱりどこにでもいるよね、女の子が自信無くすくらいの可愛いコ。
 これなら、騎士の皆の気合も上がるのも頷ける。

「では、こちら側からは誰にし・よ・う・か・なっ!」
 ニンマリ笑って、シエンがグルリと見回す。そして、ぴたりと視線が止まる。

――――ちょ、待って待って!

 シエンの溢れんばかりの笑顔が私に向けられている。恐怖に思わず顔が引き攣る。
「ひぃ……」
「ナツキ・タカマガハラ、捕虜になりなさい!」
 先生に高らかに宣言された。

――――なんでええええええええええええ!?

「え、あ、あのっ」
「問答無用よ! ナツキ来なさい」
「はい……」
 シエンの強制的な言葉に逆らえず、カグラとレーツェルとリョウを見遣る。

「行け」
「うん、行った方が良いよ」
「頑張って助けたる」
 三人はそう言って私を送り出してくれる。

「うん」
 頷いて、シエン先生の所へ駆けて行く。

「シエルはシエン先生の方へ、貴方は私の方へ」
「はい」
 シエルは副騎士団長の言葉に従い、シエン先生の横へ立つ。
 私は言われた通りに、ドキドキしながら副騎士団長の横へと進む。

「緊張してるのね。可愛いわ」
 フフフと笑う彼女に、頷いて答える。
「はい、してます」
 下手したら未来のお義母様になる方ですので、緊張して当たり前です。とは、言えないけれど……こんな前面に出されて少なからず緊張しない人っていないと思う。

「さて、カグラ・ジーノ・ラグナ! 貴方には本気を出して貰います」
「っ!!」
 カグラがぎょっとした顔付きになる。そんな様子は想定済みらしく、副騎士団長は冷静な表情を崩さず、腰の黒い剣の帯びごと外し、持ち上げる。
「カグラ、貴方の得物よ。受け取りなさい」
 副騎士団長の有無を言わさぬ苛烈な瞳が射ぬく。

「レーツェルと貴方が本気にならないと、勝てないわよ? 腕章をしている者は、正騎士の叙任待ちよ」
「シエン先生……」
 困惑しながらカグラは、シエンを見ると。

「ええ、良いですよ。その位のハンデは頂かないと面白くないですからね。それに、その剣はカグラの物でしょう? 折角、お家から持って来て頂いたのですから、使わなくてはね」
 ニッコリ微笑を浮かべて、カグラにそう告げる。

 ツカツカツカと、カグラは副騎士団長に近付く。
「では、一時的に使わせて貰います。終わったら、ちゃんと持って帰って下さい。それと、人の部屋から勝手に持ち出さないで下さい」
 カグラは憮然としながら、ひったくる様に黒の剣を手に持ち、腰に装備する。

「酷いわ、手入れもしてあげているのに」
「不要です」
 素っ気無い態度で、カグラは副騎士団長ははおやに告げている。
 カグラの表情は、とても嫌そうに見えた。

 ふぅ……と、溜め息を一つ吐いて、カグラは強い目で副騎士団長を睨む。
「徹底的に潰しにいきますから、そのつもりで」

「ええ、そうこなくてはね。それだけの事を貴方達二人には叩き込んであるんですから、無様な姿を晒す真似はしないで頂戴」
 睨まれても、不敵に微笑みを浮かべる副騎士団長はツワモノだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな
ファンタジー
伯爵家の次男坊ダニエル・エインズワース。この世界では女神様より他人より優れたスキルが1人につき1つ与えられるが、ダニエルが与えられたスキルは「素潜り」。貴族としては、はずれスキルである。家族もバラバラ、仲の悪い長男は伯爵家の恥だと騒ぎたてることに嫌気をさし、伯爵家が保有する無人島へ行くことにした。はずれスキルで活躍していくダニエルの話を聞きつけた、はずれもしくは意味不明なスキルを持つ面々が集まり無人島の開拓生活がはじまる。

処理中です...