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断罪の六重奏13
しおりを挟むカルステンは執事エドモンの素っ気ない態度に、見捨てられた様な気がして少し呆然となってしまう。
「…………」
その姿を見ながら、ファルクスは何でもない風に持って来た、ティーワゴンをテーブルの側まで移動させた。言葉が出ないカルステンをそのままにして、お茶の用意をしていく。被せていた掛布を折りたたみ、ティーワゴンの下段に置く。茶葉筒から茶葉を取り、ティーポットの蓋を開け、中に適量に入れる。下段に置かれたシルバーのポットを持ち、こぽこぽと音を発ててお湯を注ぎ入れていく。かちゃんと蓋を乗せ、砂時計をくるりと逆さまにしてから、保温用のキルティングで出来たカバーをティーポットに被せてた。
ファルクスはてきぱきと、シルバーのポットはワゴンの下段に戻し、上段に乗っている軽食のセットをテーブルの上にセッティングし始める。
全てのセッティングを終えると、清々しいまでの笑顔をカルステンに向けた。
「お坊ちゃま、どうぞお食べ下さい」
ビクリと大きな身体を揺らし、カルステンが反応する。
「……ぅ、ぇ?!」
「流石に何も食べていないでしょう? 私もそこまで鬼でありませんから、それにこういったお食事は最後になると思いますので、餞別代わりだと思って下さい」
「ええと……」
「毒は入っていませんよ?」
そろりと手を伸ばす、フィンガーボウルに手を浸してから、ナフキンで濡れた指先を拭う。
一口大のサンドイッチから、食べ始めていく。お腹が空いていたのか、サンドイッチが無くなると、スコーン、ケーキ、チョコレートのスイーツと、次々に手を伸ばしあっという間に平らげたのだった。
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