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断罪の六重奏15
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無言でじーっとファルクスは、カルステンを見詰めていた。
「……」
池の鯉の様にパクパクと何度も口を開けて、幾度めかの痙攣を過ぎるとひゅーひゅーと声にならない呼吸の様な音を出しながら、カルステンはファルクスを見詰め返した。少しだけ、焦点が定まっていない様であったが何かを伝えたい感じはファルクスにも理解出来た。
「その薬は長くは持続しません。もう少しすれば効き目は切れます」
そうあっさりと言って、ファルクスはカルステンから離れ、テーブルの上の物を手際よく片付けていく。
「あぁ、薬が切れたからと言って直ぐに動こうなどとはしないで下さい。椅子から落ちても、手を貸すつもりはありませんから」
横目でカルステンをじろっと睨み、ファルクスが忠告する。
「それに、落ちたら容赦なく踏みつけてしまいそうですからね」
徹底的に強制指導したかったランプロス公爵家と血縁関係である帝国側双方だったが、王家側の懇願により丸ごと膿んだ者達を排除方法の一択で、溜め込んだ今までのストレスをぶつけると言外に含み言うファルクスに、ぶるりと震えるカルステンだった。
暫くするとカルステンが、はぁと吐息を吐き、自身の喉仏に手を当ててゆっくりと口を開いてみる。
「ぁ………あ……っ、声が出る」
安心したてほぅっと胸を撫で下ろすカルステンであった。それを冷たい目線で見ながら、ファルクスが言う。
「喋れる様になりましたか。では、罪華の刻印について説明します。それは魔石を割って術式を施した物です。同一の罪を犯した犯罪者達に同じ魔石与え、二度と同じ事をしないようにするものであり、何処に居るかも把握出来る様になってます。分割した魔石には近付くと反発し、心臓を締め付け激痛が走る様に術式が施されており、顔を合わして話そうものなら激痛でのたうち回る事でしょうね。また、これを解除しようなどと思ったり、犯罪をしようと考えた時点でもそれなりの激痛が走るそうです。試しに考えてみてもいいですよ?」
ニコニコと微笑みを浮かべて、やってごらんよと促すファルクスに、ざーっと血の気が引いた顔を向けてカルステンは、首をぶるぶると左右に振って回答する。
「い、いやだ……」
「……そうですか。つまらない人ですね。あれだけ姫様に暴言と剣を平気で向けたわりに、度胸がないんですね」
「……ぅぐ、それは帝国の従姉姫だとは知らなくて……」
「髪の毛と瞳を奥様と同色に置き換えればそっくりでしょうに、何でわからないですか? バカ過ぎですよ」
「他人の空似で、引き取ったんだと言っていたし……」
ぴくりと、ファルクスが反応した。目をすがめて、詰問する。
「誰がそう言ったんですか?」
ピリピリとした緊迫感で、ファルクスが詰め寄る様にカルステンを凝視した。
「え、あの? それは……」
雰囲気と威圧的な緊迫感で、冷や汗を浮かべおろおろしながら、カルステンは答えをファルクスに一生懸命伝える努力をするのだった。
「……」
池の鯉の様にパクパクと何度も口を開けて、幾度めかの痙攣を過ぎるとひゅーひゅーと声にならない呼吸の様な音を出しながら、カルステンはファルクスを見詰め返した。少しだけ、焦点が定まっていない様であったが何かを伝えたい感じはファルクスにも理解出来た。
「その薬は長くは持続しません。もう少しすれば効き目は切れます」
そうあっさりと言って、ファルクスはカルステンから離れ、テーブルの上の物を手際よく片付けていく。
「あぁ、薬が切れたからと言って直ぐに動こうなどとはしないで下さい。椅子から落ちても、手を貸すつもりはありませんから」
横目でカルステンをじろっと睨み、ファルクスが忠告する。
「それに、落ちたら容赦なく踏みつけてしまいそうですからね」
徹底的に強制指導したかったランプロス公爵家と血縁関係である帝国側双方だったが、王家側の懇願により丸ごと膿んだ者達を排除方法の一択で、溜め込んだ今までのストレスをぶつけると言外に含み言うファルクスに、ぶるりと震えるカルステンだった。
暫くするとカルステンが、はぁと吐息を吐き、自身の喉仏に手を当ててゆっくりと口を開いてみる。
「ぁ………あ……っ、声が出る」
安心したてほぅっと胸を撫で下ろすカルステンであった。それを冷たい目線で見ながら、ファルクスが言う。
「喋れる様になりましたか。では、罪華の刻印について説明します。それは魔石を割って術式を施した物です。同一の罪を犯した犯罪者達に同じ魔石与え、二度と同じ事をしないようにするものであり、何処に居るかも把握出来る様になってます。分割した魔石には近付くと反発し、心臓を締め付け激痛が走る様に術式が施されており、顔を合わして話そうものなら激痛でのたうち回る事でしょうね。また、これを解除しようなどと思ったり、犯罪をしようと考えた時点でもそれなりの激痛が走るそうです。試しに考えてみてもいいですよ?」
ニコニコと微笑みを浮かべて、やってごらんよと促すファルクスに、ざーっと血の気が引いた顔を向けてカルステンは、首をぶるぶると左右に振って回答する。
「い、いやだ……」
「……そうですか。つまらない人ですね。あれだけ姫様に暴言と剣を平気で向けたわりに、度胸がないんですね」
「……ぅぐ、それは帝国の従姉姫だとは知らなくて……」
「髪の毛と瞳を奥様と同色に置き換えればそっくりでしょうに、何でわからないですか? バカ過ぎですよ」
「他人の空似で、引き取ったんだと言っていたし……」
ぴくりと、ファルクスが反応した。目をすがめて、詰問する。
「誰がそう言ったんですか?」
ピリピリとした緊迫感で、ファルクスが詰め寄る様にカルステンを凝視した。
「え、あの? それは……」
雰囲気と威圧的な緊迫感で、冷や汗を浮かべおろおろしながら、カルステンは答えをファルクスに一生懸命伝える努力をするのだった。
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