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断罪の六重奏16
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ファルクスは漏れが無いように、カルステンから思い切り締め上げ、問い詰め全てを聞き込んだ。大急ぎでティーワゴンを返した後、今現在、ファルクスは当主アルベルトの執務室にいた。
「ファルクスが、カルステンの対処をしてくれたと報告が来ていたよ」
悲壮感もなく、淡々とそう言うアルベルトに、ファルクスが切り込んでいく。
「旦那様、あのバカ坊っちゃん達を付け上がらせた者が他にも居たことが判明しました」
「何だと?」
アルベルトの目付きが一瞬で剣呑なものに切り替わる。
「ええ、色々と上手く隠れていた様です。殆ど表には出なく、彼等が懇意にしていた店などの隠れオーナーだったと」
「オーナー?」
「ええ、彼等が遊んでいた店の一部が、王妃様の三番目の弟が一枚噛んでいたとの事です」
「あの駄々っ子男爵か!」
「王妃の叔父だからと色々と鵜呑みにしていったと……エルーシャ様のことも血縁の筈などないし、他人の空似が似すぎていたから養女したんだと持論を展開して丸め込んだと言ってました。あとはまあ、聞くに耐えない王妃様の悪口も沢山ありましたが、何よりそれが王子の琴線に触れた様で、叔父と甥の似た者同士の僻み妬みで仲良くなったそうです」
側頭部を押さえ、アルベルトは顔を歪ませる。
「あの男爵は悉く王妃様を妬んでいたな。王妃の慈善事業が国内外でも有名で、帝国や同盟国も恩恵を受けて、慈悲深き賢妃と讃えられた事を、あの弟は酷く嫉妬していたな。確かにアレならば王妃様の評判を落とすことも厭わないな」
「申し訳ありませんが、旦那様。王妃様のその兄弟については、帝国に情報が殆どありません。何故ですか?」
「あぁ、それは歳がいってから出来た四人目の子供で、王妃様が王家に嫁ぐ頃はまだ成人してもいない状況だった。前侯爵はかなり可愛がっていたが……素行が悪くなったのは学生なってからだ。駄々っ子、我が儘が過ぎる男で、令嬢達には蛇褐の如く嫌われ、最終的には……留学していた外国の要人に無礼を働き、事を重く見た王家と侯爵家は、王宮に足を踏み入れる事を禁止した。社交界にデビューする前にあった話だ。結果、在学中にやらかしたから、学園は退学扱い。嫁も出世も望めないから可哀想と、前侯爵が実家の持つ一番下の爵位を譲るんだが、自分が侯爵家を継ぐんだと文句を現在の侯爵にしていたな。そもそも、学園をまともに卒業出来ない者が、子爵以上の爵位を得られないのにな……アレが関わっているとなれば、一応王家に連絡を入れねばならんか」
遠い目をして語るアルベルトに、どう返せばいいか迷うファルクスであった。
「ファルクスが、カルステンの対処をしてくれたと報告が来ていたよ」
悲壮感もなく、淡々とそう言うアルベルトに、ファルクスが切り込んでいく。
「旦那様、あのバカ坊っちゃん達を付け上がらせた者が他にも居たことが判明しました」
「何だと?」
アルベルトの目付きが一瞬で剣呑なものに切り替わる。
「ええ、色々と上手く隠れていた様です。殆ど表には出なく、彼等が懇意にしていた店などの隠れオーナーだったと」
「オーナー?」
「ええ、彼等が遊んでいた店の一部が、王妃様の三番目の弟が一枚噛んでいたとの事です」
「あの駄々っ子男爵か!」
「王妃の叔父だからと色々と鵜呑みにしていったと……エルーシャ様のことも血縁の筈などないし、他人の空似が似すぎていたから養女したんだと持論を展開して丸め込んだと言ってました。あとはまあ、聞くに耐えない王妃様の悪口も沢山ありましたが、何よりそれが王子の琴線に触れた様で、叔父と甥の似た者同士の僻み妬みで仲良くなったそうです」
側頭部を押さえ、アルベルトは顔を歪ませる。
「あの男爵は悉く王妃様を妬んでいたな。王妃の慈善事業が国内外でも有名で、帝国や同盟国も恩恵を受けて、慈悲深き賢妃と讃えられた事を、あの弟は酷く嫉妬していたな。確かにアレならば王妃様の評判を落とすことも厭わないな」
「申し訳ありませんが、旦那様。王妃様のその兄弟については、帝国に情報が殆どありません。何故ですか?」
「あぁ、それは歳がいってから出来た四人目の子供で、王妃様が王家に嫁ぐ頃はまだ成人してもいない状況だった。前侯爵はかなり可愛がっていたが……素行が悪くなったのは学生なってからだ。駄々っ子、我が儘が過ぎる男で、令嬢達には蛇褐の如く嫌われ、最終的には……留学していた外国の要人に無礼を働き、事を重く見た王家と侯爵家は、王宮に足を踏み入れる事を禁止した。社交界にデビューする前にあった話だ。結果、在学中にやらかしたから、学園は退学扱い。嫁も出世も望めないから可哀想と、前侯爵が実家の持つ一番下の爵位を譲るんだが、自分が侯爵家を継ぐんだと文句を現在の侯爵にしていたな。そもそも、学園をまともに卒業出来ない者が、子爵以上の爵位を得られないのにな……アレが関わっているとなれば、一応王家に連絡を入れねばならんか」
遠い目をして語るアルベルトに、どう返せばいいか迷うファルクスであった。
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