悪役にされた令嬢は、阿呆共に報復する

龍希

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断罪への序曲1

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「エルーシャ! 聞いているのか!」
 気持ちが落ち着く様な、ハープとピアノの優しい音色の合奏曲をぶち壊す怒声がホールに響いた。きらびやかな舞踏会にそぐわない一団により、参加者もざわざわと困惑したようにざわめく。年に一度の王宮が主宰する、王立学園の創立記念舞踏会に水をさした。


「はぁ」
 エルーシャ・ランプロス公爵令嬢は、小さくため息を吐き面倒そうに騒ぎの元凶を見る。そこには、どや顔をした金髪青目の頭が残念な、顔だけ王子がいる。その片腕にはぶら下がるように、腕を絡める庇護欲をそそられる少女。その二人の後ろを守るように、だか良く良く見れば金魚のフンよろしく、くっ付く男達が四人。本来であれば男性一人に対し、女性が一人隣に居てこそ参加出来る舞踏会なのだが……。そんな事はお構い無しである。女性一人に対して男性が五人。マナー違反も大概過ぎる。

「……」
 こんな連中に声を掛けられるのは、とても不本意極まりないと、思わず眉根を寄せてしまいそうになっていたエルーシャの隣から、すっと一歩踏み出たのはファルクス・フレッダである。
「エルーシャ様に何か御用で?」
 専属従者の彼は、エルーシャの本日のパートナーでもある。彼の二色の瞳の色、アクアマリンとペリドットを使った花をモチーフにした髪飾りと首飾りを着けている。そして、髪の色と同色で、ブルートパーズカラーのドレスをエルーシャは身に纏っている。反対にファルクスは、エルーシャの黒髪と同じ色彩の正装を身に纏い、肩に付いてる、金モール留めの装飾には瞳の色であるエメラルドが使われている。
 スラリとした身長と、優男と言うには若干精悍な美青年のファルクスが、冷ややかに彼等を見詰めた。
 エルーシャは自分を守る様に発言したファルクスを見ながら、そっと目を伏せた。自身の容姿が父親譲りのきつめな印象なため、何か言おうものなら上から目線だとか確実に言われるので、とりあえず沈黙する事にしたのだった。切れ長つり目で悪役か女王様ぽいのが、実はエルーシャのコンプレックスでもあった。母親譲りの垂れ目であったら、儚げであれば頭ごなしに悪く言われるないのにとエルーシャは思った。
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