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断罪への序曲7
しおりを挟む「もうやめてっ! 皆を悪く言うなんて酷い! あたしは、謝ってくれれば許してあげたのに! どうしてこんな卑怯な事をするの?!」
カルミアが目に涙を溜めて嗚咽を漏らしながら、髪を振り乱して悲痛な声をあげる。
空気を読まないか、空気が読めないか、超絶大のKY病に罹患した結果かどうかはさておき、やり込めている所に割って入る彼女は本当に面倒臭い人物だと再認識する。
「……」
エルーシャはふぅと、息を吐いて彼女を視界の真ん中に入れる。カルミア・フォリアと言う娘は大した度胸と演技力だが、台本の詰めが甘過ぎると、冷めた思考でエルーシャは思う。
「許してあげたのに? ですって? それは、私のセリフですわ。どこまで馬鹿にすれば気が済むのでしょうか。今まで押し売りされた喧嘩を買わずにやり過ごしてあげてたのに、本当に貴方達はお馬鹿さんですわね。先日、各所に色々と了承が取れておりますから問題なんてありません。この忠告は最後ですわよ。今すぐ去ると言うのでしたら、これ以上追及は致しません。如何されます?」
「嘘つき! エルーシャ、貴女が嘘をついて皆を騙そうとしてるのは解っているわ!」
キッ! と睨みカルミアが言う。敬称を付けずに名指ししたのに思わず、エルーシャもファルクスもビキリと青筋がたった。ふざけた者達による馬鹿げた態度に、周囲の温度も低くなったのには、彼等は気付かない。
「嘘? 嘘をついているとしたら貴方達ではありませんか。あぁ、嘘と言うよりは勝手な妄想でしたわね。真偽も定かではない事をさも真実の様に言い、己の持論を振りかざし、反対意見を言おうものなら糾弾し貶める。挙げ句の果てには、冤罪を平気で被せるなど屑のする事ですわよ」
学園で迷惑を被った生徒の一部は、別の学校へ転入しているのを大半の生徒は知っている。原因もこの阿呆どもだと言う事も。
出来るのであれば、別の学園、学校、学院に転入したいと希望している生徒は山ほどいる。運営側は今回の事態を重く受け止めてはいるが、どうしても王子と言う面倒の種によって身動きが取れない。再三に渡って王家に検討を申し入れて、証拠となる確たるものを用意せよと言われて、堂々と暗躍している。高貴な方々の為に必要ですとか何とか言い、さも馬鹿共の味方をしています的な風を装い証拠固めを行っている。
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