505 / 882
勇気と決断編
episode486
しおりを挟む
「とっても綺麗だぞ、リッキー」
「いつも以上に美しく、ドレスもよくお似合いですよ」
恐る恐る賞賛を述べるが、軽蔑の目つきは変わらない。
「一つ言っておくね」
「お、おう?」
「はい…?」
「今日からベルトルドさんとアルカネットさんは、自分たちの部屋で寝起きしてね! それと、アタシが良いって言うまで、勝手に扉を開けて入ってきたらダメなんだからねっ!! あと、いきなり抱きついたりキスしてきたら許さないんだから。ちゃんと守ってくれないと家出してやるからよっく覚えておいてよ!」
両手を腰に当てて、憤然と言い渡す。そして、ベルトルドとアルカネットは、ハンマーで何度も頭を殴られたような衝撃を受け、完全に固まってしまった。
「一緒に寝られない」
「部屋にも入れない」
「抱きしめられない」
「キスもできない」
ぼそぼそと確認するようにつぶやきあって、アルカネットはそのままよろめき倒れ、ベルトルドは大号泣しだした。
「あんなエッチなことされたら、たまんないんだから」
ヴィヒトリから見せられたポルノ映像の数々の場面を思い出し、キュッリッキはうんざりしたように顔を歪めた。
3本立てのポルノ映像鑑賞が終わったあと、
「男って生き物は例外なく野獣のようなモンだから、隣に女の子がいたら、あっとゆーまに餌食にされるのがオチだよ。キュッリッキちゃんも気をつけるんだよ、とくにベルトルド様は大の女好きで有名だからねえ。キュッリッキちゃんを夢の中でエッチなおかずにして、股間があんなことになってたに違いないから。それにアルカネットさん虫も殺さないような顔をして、キュッリッキちゃんのエッチな妄想浮かべてるんだから。ああいうのをむっつりスケベ、っていうんだよ」
そう、教わった。
まさにヴィヒトリは的を射た見解を述べていた。当人たちが聞いてないことをいいことに、言いたい放題である。
強烈な教材をもとに、男女の身体の違い、過激な性知識などを色々覚えたキュッリッキにとって、これまで優しい父親たちのような存在だったベルトルドとアルカネットが、急に不潔極まりない生き物に大変身してしまった。
(ベルトルドさんとアルカネットさんがエロおやじでも、メルヴィンだけはだいじょうぶなんだから!)
キュッリッキはグッと握り拳を作って天井を睨んだ。同じ男でも、メルヴィンだけは違うと信じて疑っていない。
そこへノックがして、セヴェリが顔を出した。
「失礼いたします。旦那様、王宮よりお迎えのゴンドラが到着しました」
今夜の皇王主催のパーティーに出席するベルトルドたちのために、皇王自ら差し向けた迎えのゴンドラである。ベルトルド邸にもゴンドラはあるが、ベルトルドたちが今夜の大切な主賓であることをあらわすためでもあった。
セヴェリが二度言っても、ベルトルドもアルカネットも撃沈したまま動こうとしない。
2人のショックは特大過ぎて、パーティーどころではなくなっているのだ。
やれやれと頭を振ると、セヴェリは部屋に入り、2人の前に立って「こほん」と小さく咳払いをした。
「あんなに美しいお嬢様を、お一人で王宮へ向かわせて大丈夫なのでしょうか? 今夜はハーメンリンナだけではなく、地方貴族や豪族の皆々様も出席なさるとか。”独身の紳士”たちが、さぞたくさん集まるのでしょうね」
とくに”独身の紳士たち”という言葉に、ベルトルドとアルカネットの顔に生気が戻った。
「俺のリッキーに手を出そうなどと、この俺が許すわけがなかろう!」
「そんな汚らわしい虫は、私が踏み潰して差し上げます!」
エンジンがかかった2人を見て、セヴェリは満足そうに頷いた。
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
目をぱちくりさせるキュッリッキの右手をベルトルドが、左手をアルカネットが握ると、キュッリッキが抗議の声を上げる前に、ズンズンと玄関ホールに引っ張っていった。
「いつも以上に美しく、ドレスもよくお似合いですよ」
恐る恐る賞賛を述べるが、軽蔑の目つきは変わらない。
「一つ言っておくね」
「お、おう?」
「はい…?」
「今日からベルトルドさんとアルカネットさんは、自分たちの部屋で寝起きしてね! それと、アタシが良いって言うまで、勝手に扉を開けて入ってきたらダメなんだからねっ!! あと、いきなり抱きついたりキスしてきたら許さないんだから。ちゃんと守ってくれないと家出してやるからよっく覚えておいてよ!」
両手を腰に当てて、憤然と言い渡す。そして、ベルトルドとアルカネットは、ハンマーで何度も頭を殴られたような衝撃を受け、完全に固まってしまった。
「一緒に寝られない」
「部屋にも入れない」
「抱きしめられない」
「キスもできない」
ぼそぼそと確認するようにつぶやきあって、アルカネットはそのままよろめき倒れ、ベルトルドは大号泣しだした。
「あんなエッチなことされたら、たまんないんだから」
ヴィヒトリから見せられたポルノ映像の数々の場面を思い出し、キュッリッキはうんざりしたように顔を歪めた。
3本立てのポルノ映像鑑賞が終わったあと、
「男って生き物は例外なく野獣のようなモンだから、隣に女の子がいたら、あっとゆーまに餌食にされるのがオチだよ。キュッリッキちゃんも気をつけるんだよ、とくにベルトルド様は大の女好きで有名だからねえ。キュッリッキちゃんを夢の中でエッチなおかずにして、股間があんなことになってたに違いないから。それにアルカネットさん虫も殺さないような顔をして、キュッリッキちゃんのエッチな妄想浮かべてるんだから。ああいうのをむっつりスケベ、っていうんだよ」
そう、教わった。
まさにヴィヒトリは的を射た見解を述べていた。当人たちが聞いてないことをいいことに、言いたい放題である。
強烈な教材をもとに、男女の身体の違い、過激な性知識などを色々覚えたキュッリッキにとって、これまで優しい父親たちのような存在だったベルトルドとアルカネットが、急に不潔極まりない生き物に大変身してしまった。
(ベルトルドさんとアルカネットさんがエロおやじでも、メルヴィンだけはだいじょうぶなんだから!)
キュッリッキはグッと握り拳を作って天井を睨んだ。同じ男でも、メルヴィンだけは違うと信じて疑っていない。
そこへノックがして、セヴェリが顔を出した。
「失礼いたします。旦那様、王宮よりお迎えのゴンドラが到着しました」
今夜の皇王主催のパーティーに出席するベルトルドたちのために、皇王自ら差し向けた迎えのゴンドラである。ベルトルド邸にもゴンドラはあるが、ベルトルドたちが今夜の大切な主賓であることをあらわすためでもあった。
セヴェリが二度言っても、ベルトルドもアルカネットも撃沈したまま動こうとしない。
2人のショックは特大過ぎて、パーティーどころではなくなっているのだ。
やれやれと頭を振ると、セヴェリは部屋に入り、2人の前に立って「こほん」と小さく咳払いをした。
「あんなに美しいお嬢様を、お一人で王宮へ向かわせて大丈夫なのでしょうか? 今夜はハーメンリンナだけではなく、地方貴族や豪族の皆々様も出席なさるとか。”独身の紳士”たちが、さぞたくさん集まるのでしょうね」
とくに”独身の紳士たち”という言葉に、ベルトルドとアルカネットの顔に生気が戻った。
「俺のリッキーに手を出そうなどと、この俺が許すわけがなかろう!」
「そんな汚らわしい虫は、私が踏み潰して差し上げます!」
エンジンがかかった2人を見て、セヴェリは満足そうに頷いた。
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
目をぱちくりさせるキュッリッキの右手をベルトルドが、左手をアルカネットが握ると、キュッリッキが抗議の声を上げる前に、ズンズンと玄関ホールに引っ張っていった。
0
あなたにおすすめの小説
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
恋する閉鎖病棟
れつだん先生
現代文学
精神科閉鎖病棟の入院記です。
一度目は1ヶ月、二度目は1ヶ月、三度目は4ヶ月入院しました。4ヶ月の内1ヶ月保護室にいました。二度目の入院は一切記憶がないので書いていません。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
青春
【第五部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる