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アン=マリー女学院からの依頼編
episode528
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早すぎるデートから帰ってきた2人を、ガエルは玄関で不思議そうに出迎えた。
「昼は外で食べてくるって、言っていなかったか?」
「そ、そうでしたっけ」
「そうだったもん!」
案の定キュッリッキはむくれている。メルヴィンはどこか誤魔化すような笑顔を浮かべていた。
「まあ、ちょうどいい。カーティスが呼んでいたぞ」
「仕事ですか?」
「みたいだ」
「油を届けてから、すぐ行きます」
「キューリは俺に付き合ってくれ。蜂蜜買いに行く」
「………グンネルさんとこの、ウルトラスペシャルバケツパフェおごってくれるならイイヨ」
「好きなだけ食わせてやる」
「じゃ行く!」
キュッリッキはむくれ顔のままガエルの手をギュッと掴むと、引っ張るようにして外に出て行った。
最近蜂蜜屋の売り子が若い女性になり、なんとなく気恥ずかしいガエルは、いつもキュッリッキに同伴を頼む。キュッリッキが一緒なら、蜂蜜が大好きなのはキュッリッキで、自分は荷物持ちだからと言い訳したいのだ。それなら多少気恥ずかしさも和らぐためだった。
もっとも、買っていく量が業務用レベルなので、効果はあまり期待できないし、蜂蜜屋ではガエルが食べるぶんだということは先刻承知の上だ。バレバレなことにガエルは気づいていなかったが。
内心「ごめんね」とキュッリッキに詫びながら2人を見送り、メルヴィンは台所へ向かった。
大きく勘違いしたまま、
(プロポーズは自分からきちんとしたいから)
そう、心の中で呟いた。
談話室へ行くと、カーティスをはじめとした面々が顔を揃えていた。
「あれ、ランチ食べてくるんじゃなかったのか?」
ザカリーにまで不思議そうに言われて、メルヴィンは困ったように頭を掻いた。
「いえ、その、予定変更しました……」
歯切れの悪い言い方に、みんなに「ん?」という顔をされて、メルヴィンはますます困ったように俯いた。
キュッリッキの遠まわしのプロポーズめいた言葉に焦って――思いっきりカンチガイ――逃げ帰ってきたとは到底言えなかった。
「まあ、タイミングが良かったというか、なんというかですが、仕事です」
いまいちよく判らないけど、といった表情でカーティスが本題に切り替えた。
「トゥルーク王国にある、アン=マリー女学院というところから、ギルド経由で依頼がきています」
「女の園!!」
興奮したようにルーファスが反応する。
「ええ、未成年者いっぱいの女の園です。その未成年だらけの女の園の院長が依頼主ですが、在校生であるトゥルーク王国の未成年の王女の護衛を頼みたいそうです」
くどいくらいに”未成年”を強調され、ルーファスは渋い顔をした。
「ふーむ、王女サマの護衛任務かぁ~……護衛ねぇ」
つまらなさそうにマリオンが呟く。それにギャリーも同意するように呻いた。
「オレぁーパスだな、護衛は性に合わねえ」
「なんで、学校の先生が王女の護衛依頼なんかするんだい?」
珍しくランドンにツッコまれ、カーティスも首をひねる。
「諸々の細かい理由などは、現地で話したいということなんですよ」
「なんだそりゃ…」
ザカリーの呟きに、談話室のあちこちから頷きが返ってくる。
「昼は外で食べてくるって、言っていなかったか?」
「そ、そうでしたっけ」
「そうだったもん!」
案の定キュッリッキはむくれている。メルヴィンはどこか誤魔化すような笑顔を浮かべていた。
「まあ、ちょうどいい。カーティスが呼んでいたぞ」
「仕事ですか?」
「みたいだ」
「油を届けてから、すぐ行きます」
「キューリは俺に付き合ってくれ。蜂蜜買いに行く」
「………グンネルさんとこの、ウルトラスペシャルバケツパフェおごってくれるならイイヨ」
「好きなだけ食わせてやる」
「じゃ行く!」
キュッリッキはむくれ顔のままガエルの手をギュッと掴むと、引っ張るようにして外に出て行った。
最近蜂蜜屋の売り子が若い女性になり、なんとなく気恥ずかしいガエルは、いつもキュッリッキに同伴を頼む。キュッリッキが一緒なら、蜂蜜が大好きなのはキュッリッキで、自分は荷物持ちだからと言い訳したいのだ。それなら多少気恥ずかしさも和らぐためだった。
もっとも、買っていく量が業務用レベルなので、効果はあまり期待できないし、蜂蜜屋ではガエルが食べるぶんだということは先刻承知の上だ。バレバレなことにガエルは気づいていなかったが。
内心「ごめんね」とキュッリッキに詫びながら2人を見送り、メルヴィンは台所へ向かった。
大きく勘違いしたまま、
(プロポーズは自分からきちんとしたいから)
そう、心の中で呟いた。
談話室へ行くと、カーティスをはじめとした面々が顔を揃えていた。
「あれ、ランチ食べてくるんじゃなかったのか?」
ザカリーにまで不思議そうに言われて、メルヴィンは困ったように頭を掻いた。
「いえ、その、予定変更しました……」
歯切れの悪い言い方に、みんなに「ん?」という顔をされて、メルヴィンはますます困ったように俯いた。
キュッリッキの遠まわしのプロポーズめいた言葉に焦って――思いっきりカンチガイ――逃げ帰ってきたとは到底言えなかった。
「まあ、タイミングが良かったというか、なんというかですが、仕事です」
いまいちよく判らないけど、といった表情でカーティスが本題に切り替えた。
「トゥルーク王国にある、アン=マリー女学院というところから、ギルド経由で依頼がきています」
「女の園!!」
興奮したようにルーファスが反応する。
「ええ、未成年者いっぱいの女の園です。その未成年だらけの女の園の院長が依頼主ですが、在校生であるトゥルーク王国の未成年の王女の護衛を頼みたいそうです」
くどいくらいに”未成年”を強調され、ルーファスは渋い顔をした。
「ふーむ、王女サマの護衛任務かぁ~……護衛ねぇ」
つまらなさそうにマリオンが呟く。それにギャリーも同意するように呻いた。
「オレぁーパスだな、護衛は性に合わねえ」
「なんで、学校の先生が王女の護衛依頼なんかするんだい?」
珍しくランドンにツッコまれ、カーティスも首をひねる。
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「なんだそりゃ…」
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