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アン=マリー女学院からの依頼編
episode529
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普通は護衛に至る経緯などを添えて、依頼してくるものである。傭兵側は命をかけるのだから、内容を秘匿されてまで、金のためだけに依頼主に忠誠を尽くす理由はない。必ず背景事情も知って、受けるかどうするかの判断材料にするのだ。
「まあ、所謂”ワケアリ”って感じですかねえ。先方もそれを臭せたような依頼の仕方だったそうで、ギルド側の判断でウチに回してきたようです」
数ある傭兵団の中でもトップクラスの実力を持つライオン傭兵団は、ギルドの中でも一目も二目も置かれている。難解な内容、破格の報酬になると、こうした実力のある傭兵団へ優先的に仕事を回してくるのだ。
「ペルラとブルニタルに、この件の調査を任せました。いずれにしても報酬がとてもいいし、前金も支払うということなので、引き受けることにします」
筋のいい依頼主は、必ず前金を払う。前金は必須ではないが、報酬提示額が高い場合は前金を支払うと、傭兵側の信頼を得やすくなるためだ。
「メルヴィンをリーダーとし、ルーファス、タルコット、シビルの4人で行ってもらいますね」
「ん? キューリは加えなくていいのか?」
ギャリーが意外そうに言うと、カーティスが肩をすくめた。
「……ベルトルド卿から、出来る限り仕事へ向かわせるな、と釘を刺されています。それを後押しするかのように、実は、皇王様から内々にご指示を賜ってます」
「御大からそういう釘を刺してくるのは予想通りだがよ、そこになんで皇王が出てくんでい?」
「キューリさんがハーメンリンナにいるあいだに、皇王様と社交界の皆様にお披露目をしたらしいんですよ。その際に、皇王様にいたく気に入られたそうです。それで、傭兵を続けることは渋々黙認なされたようですが、危険な仕事にはあまり向かわせるなと、そう厳命してくるよう――我々に、御使者の方は重々言い含められたそうです……」
「……めんどくせぇな」
「全くです」
戦勝パーティーにて皇王から直々に、メルヴィンとの恋を応援してもらったキュッリッキだっが、実はこの先傭兵を続けていくことに、皇王はあまり快く思っていなかったのだ。
優秀な召喚スキル〈才能〉を持ち、あまりにも不幸な生い立ちのキュッリッキに、皇王は心底同情して心配していた。しかし頭ごなしに辞めさせれば、心もプライドも傷つけることも理解していたので、なるべく危険な仕事には向かわせないように、遠まわしに釘を刺したのである。
そのことはベルトルドもキュッリッキも、当然知らない。
「まぁ……皇王サマにぃ、そう言われたんじゃあしょーがないもんねぇ~。でもぉ、それでキューリちゃんが納得するぅ?」
マリオンにずばり指摘され、カーティスとギャリーはメルヴィンの肩を掴む。
「しっかり説得は頼みましたよ」
「ガン泣きされっから、キスしても犯してでも黙らせろや」
「へっ!?」
「まあ、所謂”ワケアリ”って感じですかねえ。先方もそれを臭せたような依頼の仕方だったそうで、ギルド側の判断でウチに回してきたようです」
数ある傭兵団の中でもトップクラスの実力を持つライオン傭兵団は、ギルドの中でも一目も二目も置かれている。難解な内容、破格の報酬になると、こうした実力のある傭兵団へ優先的に仕事を回してくるのだ。
「ペルラとブルニタルに、この件の調査を任せました。いずれにしても報酬がとてもいいし、前金も支払うということなので、引き受けることにします」
筋のいい依頼主は、必ず前金を払う。前金は必須ではないが、報酬提示額が高い場合は前金を支払うと、傭兵側の信頼を得やすくなるためだ。
「メルヴィンをリーダーとし、ルーファス、タルコット、シビルの4人で行ってもらいますね」
「ん? キューリは加えなくていいのか?」
ギャリーが意外そうに言うと、カーティスが肩をすくめた。
「……ベルトルド卿から、出来る限り仕事へ向かわせるな、と釘を刺されています。それを後押しするかのように、実は、皇王様から内々にご指示を賜ってます」
「御大からそういう釘を刺してくるのは予想通りだがよ、そこになんで皇王が出てくんでい?」
「キューリさんがハーメンリンナにいるあいだに、皇王様と社交界の皆様にお披露目をしたらしいんですよ。その際に、皇王様にいたく気に入られたそうです。それで、傭兵を続けることは渋々黙認なされたようですが、危険な仕事にはあまり向かわせるなと、そう厳命してくるよう――我々に、御使者の方は重々言い含められたそうです……」
「……めんどくせぇな」
「全くです」
戦勝パーティーにて皇王から直々に、メルヴィンとの恋を応援してもらったキュッリッキだっが、実はこの先傭兵を続けていくことに、皇王はあまり快く思っていなかったのだ。
優秀な召喚スキル〈才能〉を持ち、あまりにも不幸な生い立ちのキュッリッキに、皇王は心底同情して心配していた。しかし頭ごなしに辞めさせれば、心もプライドも傷つけることも理解していたので、なるべく危険な仕事には向かわせないように、遠まわしに釘を刺したのである。
そのことはベルトルドもキュッリッキも、当然知らない。
「まぁ……皇王サマにぃ、そう言われたんじゃあしょーがないもんねぇ~。でもぉ、それでキューリちゃんが納得するぅ?」
マリオンにずばり指摘され、カーティスとギャリーはメルヴィンの肩を掴む。
「しっかり説得は頼みましたよ」
「ガン泣きされっから、キスしても犯してでも黙らせろや」
「へっ!?」
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