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番外編1
写真・3
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翌朝、朝食をとるため階下に降りていくと、玄関ホールがなにやら賑わっていた。
「あ、キューリちゃんきたよお~」
「おせーぞキューリ!」
「リッキーさん、おはようございます」
食堂ではなく玄関ホールに、傭兵団全員とベルトルドとアルカネットが揃っているので、キュッリッキは何事かと目を丸くする。
「みんなこんな早く集まって、どうしたの??」
「ほら、早く早く」
ハーマンに手を引かれてアジトの外に出る。そしていきなり全員屋根の上に飛ばされた。空は雲一つない晴天。風も穏やかだ。
「前列のひとは座ってくださいね、後ろのひとが隠れちゃいますから」
「リッキー、俺と一緒に前に座ろうな」
ベルトルドがキュッリッキの肩を抱き寄せ瓦に座り込む。
「どさくさに紛れてイヤラシイ。あなた、最低ですね」
そう言いながら、アルカネットがキュッリッキを引き寄せた。
「お前こそ、なに独り占めしてるんだ、リッキーは俺のモンだぞ!」
「勝手にモノ扱いしないでください。困った人ですね」
「えーっと…」
「ペルラは俺様が抱きしめて一緒に座る!!」
「触るな鬱陶しい」
「オレ、キューリのそばが良いな、なんて」
「ガエルは大きいですから後ろに立ってください」
「ボク隅っこでいいよ」
「みなさん、こんな狭いところで騒ぐと落ちますよ」
「ガエルのそばだと、ポーズにいまいち貫禄が足りなくなるな…」
「おいザカリー、顔がニヤケすぎてんぞ」
「みんなもうちょっと静かに」
「私も座ろっかな」
「もうちょっと違う服着て来りゃよかったな」
「フェンリルは俺の肩にでもくるか?」
「ボクここでいいや」
「よーし、みんなそろそろ写すよお~」
マリオンの号令で、みなカメラに向く。
そこにはいつのまにか、ベルトルド邸で働くセヴェリが、カメラを構えて宙に浮いていた。セヴェリはサイ《超能力》使いでもある。
「リッキー、あの丸いレンズを見るんだぞ」
ベルトルドが指をさす方へ、キュッリッキは目を向ける。
「それでは皆様、さあ、笑顔で」
キュッリッキはドキドキしながら、初めて見るカメラに注目した。緊張のために、ちょっと笑顔がぎこちない。
「ではいきますよ」
一瞬静まり返った中に、シャッターの音だけが響く。
その直後、突然瓦が剥がれ、全員真っ逆さまに地面に向かって落下していった。
キュッリッキは一生懸命品定めをし、考え抜いた末、真っ白な木枠に控えめな花細工が施された写真立てを一つ購入した。
雑貨店で、その写真立てに、一枚の写真をはめ込んでもらう。
「ありがとう!」
満面の笑みで、キュッリッキは雑貨店をあとにした。
袋から取り出した写真立てを覗き込み、キュッリッキはこれ以上にない嬉しそうな笑顔を浮かべた。すれ違う人々が、その笑顔にどきりとして振り向いていく。
ライオン傭兵団の仲間たちと、ベルトルドとアルカネット。そして、キュッリッキとフェンリルが新たに加わって、一枚の写真の中で笑顔をほころばせていた。
「あ、キューリちゃんきたよお~」
「おせーぞキューリ!」
「リッキーさん、おはようございます」
食堂ではなく玄関ホールに、傭兵団全員とベルトルドとアルカネットが揃っているので、キュッリッキは何事かと目を丸くする。
「みんなこんな早く集まって、どうしたの??」
「ほら、早く早く」
ハーマンに手を引かれてアジトの外に出る。そしていきなり全員屋根の上に飛ばされた。空は雲一つない晴天。風も穏やかだ。
「前列のひとは座ってくださいね、後ろのひとが隠れちゃいますから」
「リッキー、俺と一緒に前に座ろうな」
ベルトルドがキュッリッキの肩を抱き寄せ瓦に座り込む。
「どさくさに紛れてイヤラシイ。あなた、最低ですね」
そう言いながら、アルカネットがキュッリッキを引き寄せた。
「お前こそ、なに独り占めしてるんだ、リッキーは俺のモンだぞ!」
「勝手にモノ扱いしないでください。困った人ですね」
「えーっと…」
「ペルラは俺様が抱きしめて一緒に座る!!」
「触るな鬱陶しい」
「オレ、キューリのそばが良いな、なんて」
「ガエルは大きいですから後ろに立ってください」
「ボク隅っこでいいよ」
「みなさん、こんな狭いところで騒ぐと落ちますよ」
「ガエルのそばだと、ポーズにいまいち貫禄が足りなくなるな…」
「おいザカリー、顔がニヤケすぎてんぞ」
「みんなもうちょっと静かに」
「私も座ろっかな」
「もうちょっと違う服着て来りゃよかったな」
「フェンリルは俺の肩にでもくるか?」
「ボクここでいいや」
「よーし、みんなそろそろ写すよお~」
マリオンの号令で、みなカメラに向く。
そこにはいつのまにか、ベルトルド邸で働くセヴェリが、カメラを構えて宙に浮いていた。セヴェリはサイ《超能力》使いでもある。
「リッキー、あの丸いレンズを見るんだぞ」
ベルトルドが指をさす方へ、キュッリッキは目を向ける。
「それでは皆様、さあ、笑顔で」
キュッリッキはドキドキしながら、初めて見るカメラに注目した。緊張のために、ちょっと笑顔がぎこちない。
「ではいきますよ」
一瞬静まり返った中に、シャッターの音だけが響く。
その直後、突然瓦が剥がれ、全員真っ逆さまに地面に向かって落下していった。
キュッリッキは一生懸命品定めをし、考え抜いた末、真っ白な木枠に控えめな花細工が施された写真立てを一つ購入した。
雑貨店で、その写真立てに、一枚の写真をはめ込んでもらう。
「ありがとう!」
満面の笑みで、キュッリッキは雑貨店をあとにした。
袋から取り出した写真立てを覗き込み、キュッリッキはこれ以上にない嬉しそうな笑顔を浮かべた。すれ違う人々が、その笑顔にどきりとして振り向いていく。
ライオン傭兵団の仲間たちと、ベルトルドとアルカネット。そして、キュッリッキとフェンリルが新たに加わって、一枚の写真の中で笑顔をほころばせていた。
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