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モナルダ大陸戦争開戦へ編
episode394
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ドシャン、ガシャン、バリン、ドサッ、ゴロゴロゴロ………、という派手な音を立てて、巨大な鳥が獣を咥えて宿に飛び込んできた。
そう、皆思って反射的に立ち上がったが、ガエル、タルコット、ランドンの3人が立つ目の前に転がり止まったものを見ると、食堂に「やれやれ」といった空気が流れた。
「くそっ、ちょー痛てぇ……」
「だから無理だっていったんだよー」
頭を両手で抑えて座り込み、白い巨大な翼をバサバサと羽ばたかせながら、ヴァルトが大声で喚きたてた。その横にうつ伏せに倒れ込んだまま、ハーマンがぶつくさと文句を垂れる。
「だいたい無軌道に空飛ぶヴァルトと、飛空魔法の融合(フュージョン)とか即興でできるわけナイんだよー!」
「バカヤロウ! オレ様のナイスアイデアを具現してこそ、イチリューのマホー使いだろうがっ!!」
「出来なくったってボクは一流の魔法使いだっ!」
手足をジタバタとバタつかせながらハーマンが抗議していると、コツ、コツ、とゆっくりと歩み寄る殺気を含んだ靴音に、2人はゲッと顔を向けた。
「今すぐ焼き鳥とキツネうどんのディナーセットになるのと、俺にじわじわと血の一滴も漏らさず絞り嬲り殺されるのと、どっちがいいか30秒以内に答えろ馬鹿者共が」
「どっちも嫌ですお代官様っ!!!」
ヴァルトとハーマンが速攻正座して反論すると、ベルトルドは片足で思いっきり床を踏みつけた。
「副宰相と軍総帥を兼任する超絶偉い俺を、代官程度で呼び表すとかいい度胸だな貴様ら!! 今日の晩飯は抜きだっ!!!」
「ノオオオオオお慈悲をおおおおお」
(あーあ、結局脱線しちゃった……)
ベルトルドの怒りっぷりを離れてみやり、シビルは天井を仰いで薄く笑った。
慌てて飛んできたヴァルトとハーマンは、ミーティング中に騒々しく乗り込んできた咎で、ベルトルドとアルカネットからたっぷり1時間説教された。
食堂を片付けさせられた後、夕飯は宣言通り抜かれ、食堂の片隅に正座させられている。
お腹の虫を喧しく鳴らす2人を哀れに思ったキュッリッキがとりなして、2人は遅い夕食にありつくことができたのだった。
翌朝7時に出立することが改めて伝達されると、夕食後は解散となり、各自割り当てられた部屋へおとなしく下がっていった。
入浴を済ませたあと一人部屋を抜け出したキュッリッキは、昼間見つけたサンルームに入る。
大して広くもないサンルームの中は、ガラス戸が全て閉じられていて、むわっと熱気がこもっていて熱い。
急いでいくつかのガラス戸を開け放つと、気持ちのいい風が流れ込んできて、こもった熱気を洗い流していく。
植物の放つ清々しい緑の匂いに包まれながら、籐で編まれた長椅子に座って天井を見上げた。
柔らかな白い光を瞬かせる夏の星空。透明なガラスの向こうに見える空をぼんやりと眺め、キュッリッキはほんの少しドキドキしていた。
明日はいよいよ戦場に向かう。小さな頃から慣れ親しんだ場所へ。
幼い小さな女の子が、一人前の傭兵として大人たちに認められることは大変な事だった。
身寄りをなくして、武器を手に取って戦場に身を投じる子供も少なくはない。しかしそういう子供は、ある程度傭兵のもとで訓練を積んでいるものだ。将来的に見込みのありそうな子供は、傭兵ギルドが世話をする。ギルドと傭兵との信頼関係の後ろ盾があるから、子供でも戦場に向かわせられるし立てるのだ。
そう、皆思って反射的に立ち上がったが、ガエル、タルコット、ランドンの3人が立つ目の前に転がり止まったものを見ると、食堂に「やれやれ」といった空気が流れた。
「くそっ、ちょー痛てぇ……」
「だから無理だっていったんだよー」
頭を両手で抑えて座り込み、白い巨大な翼をバサバサと羽ばたかせながら、ヴァルトが大声で喚きたてた。その横にうつ伏せに倒れ込んだまま、ハーマンがぶつくさと文句を垂れる。
「だいたい無軌道に空飛ぶヴァルトと、飛空魔法の融合(フュージョン)とか即興でできるわけナイんだよー!」
「バカヤロウ! オレ様のナイスアイデアを具現してこそ、イチリューのマホー使いだろうがっ!!」
「出来なくったってボクは一流の魔法使いだっ!」
手足をジタバタとバタつかせながらハーマンが抗議していると、コツ、コツ、とゆっくりと歩み寄る殺気を含んだ靴音に、2人はゲッと顔を向けた。
「今すぐ焼き鳥とキツネうどんのディナーセットになるのと、俺にじわじわと血の一滴も漏らさず絞り嬲り殺されるのと、どっちがいいか30秒以内に答えろ馬鹿者共が」
「どっちも嫌ですお代官様っ!!!」
ヴァルトとハーマンが速攻正座して反論すると、ベルトルドは片足で思いっきり床を踏みつけた。
「副宰相と軍総帥を兼任する超絶偉い俺を、代官程度で呼び表すとかいい度胸だな貴様ら!! 今日の晩飯は抜きだっ!!!」
「ノオオオオオお慈悲をおおおおお」
(あーあ、結局脱線しちゃった……)
ベルトルドの怒りっぷりを離れてみやり、シビルは天井を仰いで薄く笑った。
慌てて飛んできたヴァルトとハーマンは、ミーティング中に騒々しく乗り込んできた咎で、ベルトルドとアルカネットからたっぷり1時間説教された。
食堂を片付けさせられた後、夕飯は宣言通り抜かれ、食堂の片隅に正座させられている。
お腹の虫を喧しく鳴らす2人を哀れに思ったキュッリッキがとりなして、2人は遅い夕食にありつくことができたのだった。
翌朝7時に出立することが改めて伝達されると、夕食後は解散となり、各自割り当てられた部屋へおとなしく下がっていった。
入浴を済ませたあと一人部屋を抜け出したキュッリッキは、昼間見つけたサンルームに入る。
大して広くもないサンルームの中は、ガラス戸が全て閉じられていて、むわっと熱気がこもっていて熱い。
急いでいくつかのガラス戸を開け放つと、気持ちのいい風が流れ込んできて、こもった熱気を洗い流していく。
植物の放つ清々しい緑の匂いに包まれながら、籐で編まれた長椅子に座って天井を見上げた。
柔らかな白い光を瞬かせる夏の星空。透明なガラスの向こうに見える空をぼんやりと眺め、キュッリッキはほんの少しドキドキしていた。
明日はいよいよ戦場に向かう。小さな頃から慣れ親しんだ場所へ。
幼い小さな女の子が、一人前の傭兵として大人たちに認められることは大変な事だった。
身寄りをなくして、武器を手に取って戦場に身を投じる子供も少なくはない。しかしそういう子供は、ある程度傭兵のもとで訓練を積んでいるものだ。将来的に見込みのありそうな子供は、傭兵ギルドが世話をする。ギルドと傭兵との信頼関係の後ろ盾があるから、子供でも戦場に向かわせられるし立てるのだ。
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