チートスキルと言われてますが何か微妙なスキルです

Not Welcome

2話

周囲が騒がしくなり気持ちよく眠っていた私は目を覚ますと、私以外の乗客が手を取り合って喜んでいた。
その状況に違和感を感じた私は、窓の景色を見ると高速道路を走っているはずなのに暗い森の中に居た。こう言う感じの森は危ないと野生の感が冴え渡り運転手さんに話した方がいいなと前に向かうと係の人が誰かと通信しているようなので一旦席に戻る事にした。
歩いてる時に周りの声を聞くと意味不明な言葉が飛び交っていた。

『異世界転移』

漫画や小説やアニメじゃあるまいし、そんな事は普通起きるわけはない。

それよりも何か多数の獣の気配がバスの周りからビンビンと来る。昔山の中で感じたのと似ている。何とか逃げてこれたが、猟師だった曽祖父曰く山神が怒って獣を暴走化させた逸話があると。その時は不法投棄があったとかで。
最悪バスで轢けば軽く車体が凹むくらいでセーフだろう。一応の為にポシェットにしのばせている十徳ナイフの確認をする。よしっ、ちゃんとある。

と確認している時に遥か遠くの方から
「ヒャッハーッ」とどこぞやの世紀末だと突っ込みたくなる雄叫び声と地響きが聞こえた。異世界だとしたらもしかして野盗の可能性もあるので距離的には大丈夫だとは思うが一応の為に運転手に駆け寄ろうとしたとほぼ同時に係の人の通信が終わったらしく。
「皆さん、今王宮の方と連絡がつきまして騎士団の方々が迎えにくるので待機してくださいとの事です」
そう説明され、乗客はまた興奮に包まれて私1人は安堵のため息をついた。

「騎士団ってイケメン揃いかしら」
「いやいや、マッチョ揃いのアニキ的なやつかもよ」

キャイキャイわちゃわちゃとまだ見ぬ騎士団に興味津々の周囲の中、私だけが1番後ろの席でウトウトしている風に見せつつ気配の確認をしていた。

幼き頃から野山をかけまわっていたので半径3kmくらいの気配と小さいけど声は分かるので多分世紀末的なのがその騎士団だろうなと感じてる中、1番強い気配が3つに分裂し１つが1km先の10人くらいの微妙に隠しきれてない気配に奇襲をかけて1分もしないうちに気配が消えた。そして、もう１つはバスに近い獣の大群に奇襲をかけているようで
“ドカン！””バキッ！”などの破壊音が流石に浮かれてきっている他の乗客にも聞こえた。

その音は3分後くらいには止み、馬の歩む音や甲冑がぶつかる音な馬の嘶きなどの音が近づいてきたので、乗客は窓から外を見ると
血で染められたかのように真っ赤な西洋甲冑を着た軍隊がバスに横付け、炎の様に真っ赤な髪と髪と同じくらい紅の軍服を着た女性がバスのドアをノックすると係の人がすぐに開け女性が乗り込むとその女性の宝塚の男役の様な凛々しさに老若男女皆彼女に熱い眼差しを向けた。

彼女は何故か私を見るとウィンクをし、それを見た他の乗客達がアイドルにファンサービスを受けたファンの様に何人か倒れ込んだ。