己が声を封じた彼(オレ)は、覚悟を決めて彼女(わたし)になった

てぃー☆ちゃー

文字の大きさ
9 / 58
第一章 光、入学する

第八話

しおりを挟む
「あらおかえり、早かったね二人とも」

生徒会専用宿舎に戻ったセシルとシルフィに、入り口を入ってすぐ声がかかる。ちなみに女子寮の為レオはここに来るのを嫌がったため、一般の男子生徒用の宿舎に直接帰った。

『会長、美鈴先輩。ただいま戻りました』
「こんなに早く帰ってきて・・・」

会長と呼ばれた銀髪の少女が鋭い視線を二人に向ける。
一本にまとめられた三つ網の髪を後ろにかきあげ、二人の帰還を出迎えた。

「どんな折檻をするかまだ決まってないよ?」
『折檻とな!?』

セシルとシルフィが声をそろえて驚く。

「調教のほうがよかったかな?」
「それじゃああまり、変わらないぞ」
「あ、そう?」
「後輩をイジメるの、よくない」
『さすがが美鈴先輩。寛大なお言葉だ』

ツインテールの黒い髪を揺らし、美鈴と呼ばれる少女がセシルたちを庇う。

「美鈴がそうやって甘やかすから、この子達はどんどんいい加減な性格になっていくんだよ?」
「甘やかしてなど、いない」
「どちらにしてもお仕置きが必要だと思わない?この時間に戻ってきたって事は足止めせずにトドメを刺して戻ってきたかもしれないし?」
「む、それは良くない」
「でしょう?彼女たちが後輩を先にイジメてきたかも知れないし?そうなったら逆にその後輩の為にも彼女たちを再度ちょうきょ・・・じゃなくて指導をかけなけくちゃ」
「指導、大事」
「ちょっと美鈴先輩!騙されないでください。確かに足止めは出来てなかったですけどトドメを刺してきたわけでもないですわ」

シルフィが慌てて美鈴にフォローを入れる。

「・・・そう、なのか?」
『もちろんだ』
「じゃあ負けたのね?」

今度は会長からだ。

「えーっと・・・それは」
「後輩に遅れをとるなんて、生徒会の役員としてはやはりお仕置きが必要だね」
『とりあえず何か理由をつけて我々をいじりたいという会長の意思が伝わってきたぞ』
「セシル、テレパシーに目覚めたのね?すごいすごい」
「セシル、すごい」
『目覚めてなどいない!!』
「美鈴先輩・・・会長の言葉は話半分で聞き流してあげないと」
「シルフィは失礼なやつだな、お前はお仕置き時間二倍に延長だ」
『本当にお仕置きやるんですか!?』
「シルフィ、二倍だ」
「シルフィは三倍だね。何もやってきてないでしょ?」
「えっ」

突然会長からの視線をうけ、シルフィに動揺が走った。
確かにシルフィがやったことといえば、ビニール袋にゴミを入れたぐらいなものだ。

「どーせレオとセシルに任せて後ろから高みの見物でも決めていたんだろう?」
「や、今回はレオも何もやってないですし」
『私一人で三人を相手どった。負けてしまったがな』
「シルフィ、三倍」
「やめて美鈴先輩!なんでもかんでも会長の言う通りにしたら私の体がもちませんわ」
「シルフィ、さぼりは怒る」
『シルフィとレオの出番が来る前に我が負けを受け入れてしまったものでな。敗北の責任という意味では全面的に我にある』
「あら、潔い。一方的に負けてきたんだったらセシル、フル装備のまま川に投げ込んで泳ぎの練習をさせるよ?」

こくん、とセシルはうなずきながら片手に握っていた自分の鎧の角を会長に渡した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...