己が声を封じた彼(オレ)は、覚悟を決めて彼女(わたし)になった

てぃー☆ちゃー

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第三章 決闘を前に

第三十七話

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「それは美鈴先輩がかき回したせいじゃないかなあ」

Sクラスの教室、といっても外だ。校舎から外れた広いだけの空間、その横にプレハブ小屋が二棟建っていた。
プレハブ小屋から金髪で背の高い美少年が、お盆の上にカップをのせてテーブルまで運んできた。
そこでレオが紅茶を淹れ(させられ)ていた。

「わたしのせい、じゃない」

レオの指摘に美鈴が不貞腐れたように口を尖らせた。

「クレア、短気」
『確かにあいつは、もう少し冷静に物事を判断できるようになるべきだな』

美鈴の不満に同調したのは、昨日の鎧の先輩だ。なぜかスクワットをしている。

『すまない、まだ新しい角飾りのデザインが決まってなくてな。再戦は少しだけ待ってもらいたい』

セシルが光にそういうと、光は苦笑いしながら首を左右に振って答えた。

「そんな戦いたがりはお前だけだよ」

鎧の状態のセシル以外に紅茶を振り分けると、レオも椅子に腰を下ろした。
光にも紅茶を勧めながら、レオは光に向かってやさしく告げる。

「クレアの事は悪く思わないでやってくれると嬉しいな。確かに短慮だったとは思うけど、あいつは根が真面目すぎて少しばかり融通が効かないんだ」
『頭はいいぞ、筆記テストは二回生トップ。一回生の時は筆記で代表でもあったからな』

体を上下させながらセシルが付け加える。この先輩は常に鍛えていないとダメなのだろうか。

「特別教室というか、このSクラスがどちらかといえば特殊なんだ。通常の授業ではヌルすぎて仕方がなかったり、普通に授業に混ざって術を使用するには危険すぎる人が入るクラスだからね」

うんうん、と美鈴とセシルがレオの言葉に頷く。

「準備運動、くらいになら」

それは普通の授業のことなのだろうか。レオとセシル、そして光が美鈴に視線を送る。

「まあそんなクラスだから他の生徒達や先生達からは特別な目で見られててね。中には神格化じゃないけど羨望の眼差しで我々の事を見る人たちもいる訳でして。そんな中にぽっと出の新入生がいきなり入るのは内心面白くないと思う人がいても不思議ではない、ってのはわからなくもないかな」

レオがこの場にいないクレアの心情を読み取ったかのように説明をしてくれた。もしかしなくても、この先輩は常識人なのでは?と光はしみじみと感心した。

『我がSクラス入りした時は、自分のことのように喜んでくれたぞ』
「それはセシルが努力している様を近くで見ていたからじゃないかな?懸命に努力している様を見せられて、それが結果に結びついたら友達としては一緒になって喜んであげたくもなるでしょ」
「そう、かな」
「光さんが努力をしてないなんて言うつもりはクレアにもないだろうけど。そういう姿を見てない彼女としては、面白くない部分があったんじゃないかなあ。自身がSクラスに召集されないって部分の嫉妬もあるだろうけど」

なるほど、こうやって言葉で説明してもらえれば光にも理解出来た。
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