90 / 115
第八章 開催!ゴーレムフェスティバル!
第七十三話 ゴーレム対抗障害物競争
しおりを挟む
「スタートで戸惑ったシオは別として、戦乙女は既に第一関門を抜けそうです!」
「見逃していたのだ!」
第一関門は坂道っぽいだけの道だけど、なんか破砕音とか爆音が聞こえてくるんだよね。
「第一関門は定番の坂道転がる障害物ステージ!坂の中腹から丸太や岩、武器や爆薬などが放り込まれてくるステージです!ゴーレム達の耐久力や咄嗟の判断力、対応力が試されるステージなんですね!」
「毎年の事ではあるが、大体耐久力が試される事が多いのだ!あとバランスが悪いゴーレムはここでふるい落とされるのだ!」
「そうなんです!坂道から落ちてくる物質を避けて、耐えて!坂道の上に登り切れずに足を故障させて動けなくなるゴーレムはここで離脱!危険なステージになります!」
「人間相手だとブーイング必須の罠もバンバン落とせるのがここのステージのいいところなのだ!」
良くねえから!ゴーレム相手だったら何やってもいい訳じゃないですからね!?
「おーっと、シオもようやく坂道ステージにたどり着きました!そのシオに早速上から転げ落ちてきた障害物が・・・いや!岩石大王だ!巨石と共に岩石大王が転がり込んできた!」
お仲間かよ!ぬう、これは受け止めてあげ・・・でけえ!巨石っていうか、ぎゃーーーー!
オレに突っ込んできたゴーレムとその後ろからでけえ岩!まともにくらっちまった。
くそ、岩重い!どっこいせ!
「シオ、岩と岩石大王を体で受け止めた!なんというパワーでしょうか!ビックオームを破壊してもなお余力を残すか!」
「意外と紳士なゴーレムなのだ。一緒に落ちてきた岩石大王を横にして休ませてあげているのだ」
哀れな犠牲となったゴーレムをオレは横に寝かせると、坂道に挑戦すべく歩を進める。
まず落ちてきたのは再び巨石!
オレは拳でそれを粉砕!
次は丸太!太い!だがオレを倒すには重量が足りないようだな。片手で持ち上げると横に捨てる。
更にオレに降り注いできたのは溶岩!
阿呆!溶けるわっ!
全身から浴びたが特に何も無かった、気にすることなく先に進む事にする。
更に更に!名前も知らない大きな魔物やら、触った瞬間に爆発する謎の石だとか明らかに見た目ダイナマイトなあれとかミサイルとか・・・ミサイル!?
「おおーっと!ここで大盤振る舞いだ!これは異世界の兵器!遥か遠い大陸に降り立った異世界の勇者達が魔獣を討伐した時に使ったとされる爆発の魔法が込められた兵器!」
「シオも馬鹿正直に全部受けずに避けるなりすればいいのにな!あんな真っすぐ真ん中を進んだら壊してくれって言ってるようなものなのだ!」
「あー、そういうの全く知らないで参加してるからなー」
教えて!?そういう重要な事はっ!てかそんな素早く動けねえよ!ミサイルくらうー・・・。
『ドガーーーーン!』
食らったよ!無事だけど流石に後ろに押し戻されたわ!
もういいや!走り抜ける!ぬおおおおおおおおお!!!!!!
「シオ、重い体を引きずり走る!先ほどとあまり速度は変わってないが必死に走っている感じはでております!」
「呆れるくらい頑丈なのだ。あの爆発で体が割れてないとか、どういう金属を使われてるのか気になるのだ」
体割る気のトラップとかやめて!?
周りにはオレの前に走っていたゴーレムの残骸達が・・・ううう、こっちに顔向けて倒れないで欲しい。
「やはりあの『ろけっとらんちゃー』とやらはいい威力なのだ!回避行動の取れるゴーレム以外はシオを除き全滅なのだ!」
どこの誰だ!そんな阿呆な兵器を持って来たのは!てか勇者って明らかにオレと同郷だろ!?
「『ろけっとらんちゃー』は1体に付き1発までなのだ!結局先に進めたのは『戦乙女』『大角』『モスーラ』『シオ』の4体なのだ!」
「あ、本当ですね。いつもは2、3体で脱落のステージなのですが大半が『ろけっとらんちゃー』の威力に沈んだようです!異世界の勇者様達がいい笑顔でこちらに手を振ってきてくれております!ご協力感謝いたします!」
「脱落ゴーレムが多すぎるのだ、次回以降は使用を控えなければならないかもしれないのだ」
「確かにそうですね、おおーっと、次のステージにある火と水の池でモスーラが動けなくなっています!これはどういうことだ!?」
「ここは炎で体を熱せられて水で急激に冷やされるステージなのだ!芋虫型のゴーレムであるモスーラは車輪タイプの足だから素早く動けたが、熱疲労に足がやられて進めなくなっているようなのだ」
坂を超えると、そこには炎の壁が広がっていた。
うわー、ここ進むのか・・・こええなー。
「順当に進んでいたシオ、ここで一旦足を止めました」
「戦乙女と大角は武器で炎を吹き飛ばして先に進んでいたのだ!シオはそういった細かい芸がついているのだ?」
ついてねえよ。
ここはやはり、正面突破しかないのか・・・。
そっと指を近づける。
うん、熱は感じないけど視覚的に怖い・・・すごく怖いです。進まないとダメなのか・・・。
あ、魔法で炎を消しちゃえばいいや。
えーっと・・・名前どうしようかな。
「シオ、たたらを踏んでいます!あれほどの爆発を食らって炎が苦手ということはなさそうなんですけど、一体どうしたのでしょうか?」
「周りをキョロキョロ見ているようだがステージ内はすべて炎なのだ!前の2体の様に炎を消しても素早く動けなければ再度噴出される炎に巻かれる結果は変わらないのだ!」
消しても付くのか!ぬうじゃあ魔法で消してもしょうがないじゃないか!結局自力で進まないといけないんか!
「シオ、指を出しては戻し出しては戻しを繰り返しております!へっぴり腰です!いまだかつてこんなゴーレムはいたでしょうか!?」
「妙に人間臭い動作をするのだ!中に人でも入っているのか?だとしたら違反行為なのだ!」
「や、大会直前にスキャンしてますからそれはあり得ないです。だとすると、あれですかね?人間の行動をインプットさせているタイプのゴーレムなのかもしれないですね」
中身は人間なのー!
てかね、こんな炎の中に飛び込むような真似は消防士さんでもやりませんよ!?自殺志願者ですか?それともあれですか?飛んで火に入れと?夏の虫になれと!?
「ですがシオ。熱は感じないようですね。あそこまで炎の近くに行けば生物なら逃げたくなるほどの熱量ですから。なんていうか、すっごく間抜けに見えてきました」
「温度だけで言えば溶鉱炉の近くも熱いのだ!レベッカは熱に強い子なのだ!」
「レベッカ様はすごいですね、偉いです」
「すごいのだ!頭を撫でられるのは好きなのだ!続けるといいのだ!」
「はい♪」
あー、なんか馬鹿らしくなってきたなー。多分、いや。絶対大丈夫だろ、熱なんか感じないし?視覚的に怖いんだ!目を瞑れば!瞼なかった!ちくしょうめ!
「しーおーさっさといけよー!」
うるせえ!セルジア!お前が行け!
悪態をついたところでしょうがないか、進もう。
「シオ動き出しました!どこか背中に哀愁を感じますが、なんなんでしょうかね」
「普通に歩いているのだ!」
そりゃ普通に歩きますよ。
よくよく考えると火がついてるだけで、下は真っすぐだからさっきの坂道ステージより楽じゃん。まあ目の前の光景は人間時代では体験出来ない絶景が広がっていますが・・・ゴーレムになってからも体験はしたくなかったけどね。
「炎のゾーンを抜けました!次は水です!」
『ブシャアアアアアアアアアア』
オレの体からものすごい量の水蒸気が吹き上がった!
吹き上がっただけだった。
「シオ頑丈です!ヒビ一つ入る様子がありません!横に転がるモスーラはボロボロなのに!とんでもなく頑丈です!」
「多少頑丈なボディでも土や岩などが素材のゴーレムはここで壊れるものなのだ!やはりシオは合成板金?鉄?もしくは純度の高い鉱石で構成されている可能性が非常に高いのだ」
へー、そうなんだ?オレってやっぱ鉄なのか?つまりあれか、くろがねの城だな!空にはそびえねえが。
あ、モスーラさん動かない足で必死に動こうとしてる。まだ生きてるんだ。
「さあさあ、ついに最終関門!戦闘用ゴーレムの真価が問われる最後のステージに戦乙女が到達しました!ガイガン相手にどう戦いを挑むのか!ストーンフレイムガイガンは溶岩地帯に生息する翼を持たない亜竜です!体長は個体差がありますが約4メートル前後!全長は6メートルと長い尻尾が特徴的!二足歩行で歩き、長い尻尾で敵をなぎ倒す!両手にある3本の長い爪で敵を地面に押さえつけると、その巨大な顎で敵を嚙みつく恐ろしい怪物です!」
先行しているゴーレム達が最後の敵に到達したらしい。
オレも急がないとな。
「戦乙女に続き大角もガイガンにエンカウントッ!どちらも攻撃力と速度に比重を置いたゴーレムだ!戦乙女は華麗に!大角は鋭い攻撃でガイガンを圧倒!おおっと!戦乙女の手に持つ剣がガイガンの首を撥ねたっ!素晴らしい!あの剣は魔剣の類かっ!?魔力はどこからきているのかっ!」
「もしゴーレム自身が考えて魔力を練り込んでいるとしたらすごい技術なのだ!」
「ゴーレム自身が動作するのに多大な魔力を消費しますからね!もしゴーレム自身が自身の動作維持以外にも魔力を使うとなると色々と不具合が生じるのは有名な話ですから!」
「そうなのだ!有象無象の天才では無理なのだ!レベッカのような『超』天才でもない限りは不可能なのだ!」
「さすがレベッカ様です!すごいですねー」
「もっと撫でるのだ!」
「っと、レベッカ様を撫でている間に大角も勝負を終わらせそうです!ガイガンから距離をとって・・・突進だ!」
「大角の右腕の槍は加速石が埋め込まれているのだ!一度起動させると目標地点まで一直線で進むのだ!」
「大角!その槍をガイガンの首元に深々と突き刺した!これはガイガンも堪らない!」
「ガイガンの鱗は溶岩の中でも溶けず、噴火時の落石でもビクともしない超硬度を備えているのだ!大角は的確に柔らかい地点を選んで突き刺したのだ!」
「今までの攻撃は柔らかい場所を探しての攻撃だったんですね!」
「多分そうなのだ!」
「大角のマスターであるシミュートさんも深々と頷いております!ゴーレム自身が柔らかい場所を判断して攻撃する辺り、相当に優秀な核が使われているんでしょう!」
「行動パターンを複雑化させればさせるほど核は大型になるのだ!錬成時も多大な魔力と技術が必要となるのだ!前回よりも繊細な思考パターンが見られるから今回は核を変えるかグレードアップさせてきているはずなのだ!」
自分のゴーレムが褒められたからか、シミュートの高笑いが聞こえてきた。
オレもようやく柵の前に立つと、檻が開かれて中に入ることが出来た。
さあ出てこい!恐竜よ!
『ガルルルルルルル・・・・』
で、でかい・・・・。
実物、オレよりでかいじゃん!顔こええよ!
だが所詮恐竜!ドラゴンを倒したオレの敵じゃないぜ!
『ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』
うるせえ!叫ぶな!
『ガン!ガン!ガン!』
尻尾で叩くな!
『ガウ・・・・ガウウ・・・・』
諦め早っ!逃げんな!お前倒さなきゃいけないんだよ!
オレを倒せないと見切りをつけたなんとかガイガンが後ろにじりじりと下がっていってしまった。
待て!本気で逃げられるとオレ追いつけないぞ!
今まで倒さなきゃいけない相手は向かって来てくれたし、樹海の中で襲い掛かって来た奴らは速攻倒すか勝手に逃げ出すかのどっちかだった。
こいつは倒さないと先に進めない!てか戦場無駄に広いよ!くそっ!ロケットパンチで・・・ダメだ!後ろに観客席がある。
『ガルルルルル・・・・・』
こちらを牽制しながら後ずさるなんてろガイガン、それににじり寄るオレ。
1歩進むと2歩後ろに、オレが2歩進むと4歩後ろに・・・このまま柵まで追い詰めれば・・・横に逃げますよね!オレ追いつけないし!
まだ後ろに観客背負ってやがる。遠距離攻撃は撃てないな。
「シオ!ストーンフレイムガイガンに逃げられています!二足歩行の亜竜とはいえ、流石にゴーレムより足は速い!特別武器を持っているようにも見えないシオはこの状態をどう対処するのか見物です!」
「初撃でガイガンは勝てないと判断したようなのだ!これでは追いかけっこになるのだ!でもシオはおっそくて追いつけないのだ!」
わかってるよ!いまどう追い詰めるか考えてるんだから!えーっと・・・うーんと、とりあえず追いかけて・・・ああ!もう、広いわ!
オレは追いかけるのを諦めて周りを見渡す。ただ広いだけの会場を背の高い金属の柵で覆っている。前の2体が倒したガイガンの死体が2つ残ってて、オレと相対しているガイガンがオレから逃げ回っているだけ。
オレはガイガンの死体を一つ持ち上げるとガイガンに向かって放り投げた!
避けますよね!くそう、剛速球が投げられれば!
「シオ、ガイガンの死体を使って追い詰めようとするがその前にガイガンが逃げる!死体を拾った段階で警戒されているぞ!」
「ただ持ち上げて投げてるだけなのだ!子供でも避けられるのだ!」
ちくしょう!わかってたよ!
ならば二つの死体を同時に投げるっ!
これも避けるかっ!もう投げる物がないっ!またガイガンの死体を拾いあげて再度投げる!
「投げる!拾っては投げる!だが拾っている間にガイガンは距離をとっている!とんでもない重量のガイガンを持ち上げるシオは圧巻だが当たる気はまったくしませんっ!」
くそっ!足止めさえ出来れば!なんとか動きを封じないと・・・あ、動きを封じる?
オレはキョロキョロと周りを見渡すと、目的のものを見つけてそちらに足を向けた。
「おや?シオ、諦めたか!ガイガンとは全く違う方向へと歩き始めた!どうしたシオ~故障か~!?」
壊れてねえよ!失礼だなまったく。
オレは柵の前に立つと、その柵を持ち上げて檻の中に入った。
「おおーっと!シオ!解放されていたストーンフレイムガイガンを諦めて檻の中に捕まっている別のゴーレム用のガイガンに目をつけた!コレは有りなのか!?」
「ふむ、あそこも一応会場内なのだ!セーフなのだ!」
「レベッカ様のお墨付きがついた!狭い檻の中のガイガンが暴れております!イヤイヤと顔を左右に振っています!涙目です!」
すまんな、なんてろガイガン。悲しいけど、お前を倒さないといけないんだ。
オレは暴れながらひっかいて来るこいつの顔を掴むと、力を込めた。
「ガイガンの顔を爆散させた!魔法か!?」
「いや!握力なのだ!これはすごいのだ!」
「なんと!最も攻撃の際に利用する顎の周りはガイガンの体でも特に強固な部分!これをおもむろに掴んでそのまま握り潰すとは!シオの恐ろしい攻撃方法だ!」
こんな狭い檻の中じゃ下手にオレが暴れると、檻を破壊しかねないからな。一応全ゴーレムと戦う分のガイガンが用意されていたから助かった。
頭の残骸を持って檻の外に向かうが・・・・出れぬ。
「残念!その檻は内側からじゃ空きません!檻を外から開けた時に重さで檻の扉は閉まっております!シオ囚われました!囚われのゴーレムです!」
「これはシオ脱落なのだ?あの檻はレベッカお手製の対巨獣用の檻なのだ!内側からは絶対に開かないのだ!」
マジか!押してもビクともしねえ!
ぐぬぬぬぬっっっ。
「ミシミシ言っています!檻がミシミシ言っています!古竜を捕まえても内側から絶対に開かないあの檻が悲鳴を上げています!」
「無理なのだ!いくら古代のゴーレムといってもその古代からレベッカは生きているのだ!少なくとも自分が見た生物であれを突破出来る生き物は魔王くらいなのだ!」
があああああああああ!!!!
叫んだ気持ちでオレは両手で柵を押し上げる。
「おお、おおおおおお!動いている!檻が動いている!」
「すごいのだ!とんでもない馬力なのだ!」
『ガギンッ!!!』
嫌な音とともに、檻の扉だった柵の部分が丸ごと外れた!
よし!出れた!
オレは握り潰したガイガンの顔の残骸を拾いなおすと、柵を抜けてホームストレートに凱旋する。
『ワアアアアアアアアアアア!!!』
大喝采を受けながら、オレはゴールへと足を運んだ。
へっへっへっ、完走しきったぜ!
「今、シオがゴールしました!後続は全滅です!シオ3位で見事にゴールです!」
「うむ、シオは今大会中では最もスタンダードなゴーレムなのだ!そしてそのスタンダードさを突き詰めた完成品とも言えるゴーレムなのだ!」
オレはゴールテープを切ると、握っていたガイガンの残骸を地面に捨ててゴーレム用のドッグへと向かった。
待っていたセルジアと清蓮に体を洗ってもらうと、一心地ようやくつけた。
決勝は明日。ゴーレムファイトだ。
「見逃していたのだ!」
第一関門は坂道っぽいだけの道だけど、なんか破砕音とか爆音が聞こえてくるんだよね。
「第一関門は定番の坂道転がる障害物ステージ!坂の中腹から丸太や岩、武器や爆薬などが放り込まれてくるステージです!ゴーレム達の耐久力や咄嗟の判断力、対応力が試されるステージなんですね!」
「毎年の事ではあるが、大体耐久力が試される事が多いのだ!あとバランスが悪いゴーレムはここでふるい落とされるのだ!」
「そうなんです!坂道から落ちてくる物質を避けて、耐えて!坂道の上に登り切れずに足を故障させて動けなくなるゴーレムはここで離脱!危険なステージになります!」
「人間相手だとブーイング必須の罠もバンバン落とせるのがここのステージのいいところなのだ!」
良くねえから!ゴーレム相手だったら何やってもいい訳じゃないですからね!?
「おーっと、シオもようやく坂道ステージにたどり着きました!そのシオに早速上から転げ落ちてきた障害物が・・・いや!岩石大王だ!巨石と共に岩石大王が転がり込んできた!」
お仲間かよ!ぬう、これは受け止めてあげ・・・でけえ!巨石っていうか、ぎゃーーーー!
オレに突っ込んできたゴーレムとその後ろからでけえ岩!まともにくらっちまった。
くそ、岩重い!どっこいせ!
「シオ、岩と岩石大王を体で受け止めた!なんというパワーでしょうか!ビックオームを破壊してもなお余力を残すか!」
「意外と紳士なゴーレムなのだ。一緒に落ちてきた岩石大王を横にして休ませてあげているのだ」
哀れな犠牲となったゴーレムをオレは横に寝かせると、坂道に挑戦すべく歩を進める。
まず落ちてきたのは再び巨石!
オレは拳でそれを粉砕!
次は丸太!太い!だがオレを倒すには重量が足りないようだな。片手で持ち上げると横に捨てる。
更にオレに降り注いできたのは溶岩!
阿呆!溶けるわっ!
全身から浴びたが特に何も無かった、気にすることなく先に進む事にする。
更に更に!名前も知らない大きな魔物やら、触った瞬間に爆発する謎の石だとか明らかに見た目ダイナマイトなあれとかミサイルとか・・・ミサイル!?
「おおーっと!ここで大盤振る舞いだ!これは異世界の兵器!遥か遠い大陸に降り立った異世界の勇者達が魔獣を討伐した時に使ったとされる爆発の魔法が込められた兵器!」
「シオも馬鹿正直に全部受けずに避けるなりすればいいのにな!あんな真っすぐ真ん中を進んだら壊してくれって言ってるようなものなのだ!」
「あー、そういうの全く知らないで参加してるからなー」
教えて!?そういう重要な事はっ!てかそんな素早く動けねえよ!ミサイルくらうー・・・。
『ドガーーーーン!』
食らったよ!無事だけど流石に後ろに押し戻されたわ!
もういいや!走り抜ける!ぬおおおおおおおおお!!!!!!
「シオ、重い体を引きずり走る!先ほどとあまり速度は変わってないが必死に走っている感じはでております!」
「呆れるくらい頑丈なのだ。あの爆発で体が割れてないとか、どういう金属を使われてるのか気になるのだ」
体割る気のトラップとかやめて!?
周りにはオレの前に走っていたゴーレムの残骸達が・・・ううう、こっちに顔向けて倒れないで欲しい。
「やはりあの『ろけっとらんちゃー』とやらはいい威力なのだ!回避行動の取れるゴーレム以外はシオを除き全滅なのだ!」
どこの誰だ!そんな阿呆な兵器を持って来たのは!てか勇者って明らかにオレと同郷だろ!?
「『ろけっとらんちゃー』は1体に付き1発までなのだ!結局先に進めたのは『戦乙女』『大角』『モスーラ』『シオ』の4体なのだ!」
「あ、本当ですね。いつもは2、3体で脱落のステージなのですが大半が『ろけっとらんちゃー』の威力に沈んだようです!異世界の勇者様達がいい笑顔でこちらに手を振ってきてくれております!ご協力感謝いたします!」
「脱落ゴーレムが多すぎるのだ、次回以降は使用を控えなければならないかもしれないのだ」
「確かにそうですね、おおーっと、次のステージにある火と水の池でモスーラが動けなくなっています!これはどういうことだ!?」
「ここは炎で体を熱せられて水で急激に冷やされるステージなのだ!芋虫型のゴーレムであるモスーラは車輪タイプの足だから素早く動けたが、熱疲労に足がやられて進めなくなっているようなのだ」
坂を超えると、そこには炎の壁が広がっていた。
うわー、ここ進むのか・・・こええなー。
「順当に進んでいたシオ、ここで一旦足を止めました」
「戦乙女と大角は武器で炎を吹き飛ばして先に進んでいたのだ!シオはそういった細かい芸がついているのだ?」
ついてねえよ。
ここはやはり、正面突破しかないのか・・・。
そっと指を近づける。
うん、熱は感じないけど視覚的に怖い・・・すごく怖いです。進まないとダメなのか・・・。
あ、魔法で炎を消しちゃえばいいや。
えーっと・・・名前どうしようかな。
「シオ、たたらを踏んでいます!あれほどの爆発を食らって炎が苦手ということはなさそうなんですけど、一体どうしたのでしょうか?」
「周りをキョロキョロ見ているようだがステージ内はすべて炎なのだ!前の2体の様に炎を消しても素早く動けなければ再度噴出される炎に巻かれる結果は変わらないのだ!」
消しても付くのか!ぬうじゃあ魔法で消してもしょうがないじゃないか!結局自力で進まないといけないんか!
「シオ、指を出しては戻し出しては戻しを繰り返しております!へっぴり腰です!いまだかつてこんなゴーレムはいたでしょうか!?」
「妙に人間臭い動作をするのだ!中に人でも入っているのか?だとしたら違反行為なのだ!」
「や、大会直前にスキャンしてますからそれはあり得ないです。だとすると、あれですかね?人間の行動をインプットさせているタイプのゴーレムなのかもしれないですね」
中身は人間なのー!
てかね、こんな炎の中に飛び込むような真似は消防士さんでもやりませんよ!?自殺志願者ですか?それともあれですか?飛んで火に入れと?夏の虫になれと!?
「ですがシオ。熱は感じないようですね。あそこまで炎の近くに行けば生物なら逃げたくなるほどの熱量ですから。なんていうか、すっごく間抜けに見えてきました」
「温度だけで言えば溶鉱炉の近くも熱いのだ!レベッカは熱に強い子なのだ!」
「レベッカ様はすごいですね、偉いです」
「すごいのだ!頭を撫でられるのは好きなのだ!続けるといいのだ!」
「はい♪」
あー、なんか馬鹿らしくなってきたなー。多分、いや。絶対大丈夫だろ、熱なんか感じないし?視覚的に怖いんだ!目を瞑れば!瞼なかった!ちくしょうめ!
「しーおーさっさといけよー!」
うるせえ!セルジア!お前が行け!
悪態をついたところでしょうがないか、進もう。
「シオ動き出しました!どこか背中に哀愁を感じますが、なんなんでしょうかね」
「普通に歩いているのだ!」
そりゃ普通に歩きますよ。
よくよく考えると火がついてるだけで、下は真っすぐだからさっきの坂道ステージより楽じゃん。まあ目の前の光景は人間時代では体験出来ない絶景が広がっていますが・・・ゴーレムになってからも体験はしたくなかったけどね。
「炎のゾーンを抜けました!次は水です!」
『ブシャアアアアアアアアアア』
オレの体からものすごい量の水蒸気が吹き上がった!
吹き上がっただけだった。
「シオ頑丈です!ヒビ一つ入る様子がありません!横に転がるモスーラはボロボロなのに!とんでもなく頑丈です!」
「多少頑丈なボディでも土や岩などが素材のゴーレムはここで壊れるものなのだ!やはりシオは合成板金?鉄?もしくは純度の高い鉱石で構成されている可能性が非常に高いのだ」
へー、そうなんだ?オレってやっぱ鉄なのか?つまりあれか、くろがねの城だな!空にはそびえねえが。
あ、モスーラさん動かない足で必死に動こうとしてる。まだ生きてるんだ。
「さあさあ、ついに最終関門!戦闘用ゴーレムの真価が問われる最後のステージに戦乙女が到達しました!ガイガン相手にどう戦いを挑むのか!ストーンフレイムガイガンは溶岩地帯に生息する翼を持たない亜竜です!体長は個体差がありますが約4メートル前後!全長は6メートルと長い尻尾が特徴的!二足歩行で歩き、長い尻尾で敵をなぎ倒す!両手にある3本の長い爪で敵を地面に押さえつけると、その巨大な顎で敵を嚙みつく恐ろしい怪物です!」
先行しているゴーレム達が最後の敵に到達したらしい。
オレも急がないとな。
「戦乙女に続き大角もガイガンにエンカウントッ!どちらも攻撃力と速度に比重を置いたゴーレムだ!戦乙女は華麗に!大角は鋭い攻撃でガイガンを圧倒!おおっと!戦乙女の手に持つ剣がガイガンの首を撥ねたっ!素晴らしい!あの剣は魔剣の類かっ!?魔力はどこからきているのかっ!」
「もしゴーレム自身が考えて魔力を練り込んでいるとしたらすごい技術なのだ!」
「ゴーレム自身が動作するのに多大な魔力を消費しますからね!もしゴーレム自身が自身の動作維持以外にも魔力を使うとなると色々と不具合が生じるのは有名な話ですから!」
「そうなのだ!有象無象の天才では無理なのだ!レベッカのような『超』天才でもない限りは不可能なのだ!」
「さすがレベッカ様です!すごいですねー」
「もっと撫でるのだ!」
「っと、レベッカ様を撫でている間に大角も勝負を終わらせそうです!ガイガンから距離をとって・・・突進だ!」
「大角の右腕の槍は加速石が埋め込まれているのだ!一度起動させると目標地点まで一直線で進むのだ!」
「大角!その槍をガイガンの首元に深々と突き刺した!これはガイガンも堪らない!」
「ガイガンの鱗は溶岩の中でも溶けず、噴火時の落石でもビクともしない超硬度を備えているのだ!大角は的確に柔らかい地点を選んで突き刺したのだ!」
「今までの攻撃は柔らかい場所を探しての攻撃だったんですね!」
「多分そうなのだ!」
「大角のマスターであるシミュートさんも深々と頷いております!ゴーレム自身が柔らかい場所を判断して攻撃する辺り、相当に優秀な核が使われているんでしょう!」
「行動パターンを複雑化させればさせるほど核は大型になるのだ!錬成時も多大な魔力と技術が必要となるのだ!前回よりも繊細な思考パターンが見られるから今回は核を変えるかグレードアップさせてきているはずなのだ!」
自分のゴーレムが褒められたからか、シミュートの高笑いが聞こえてきた。
オレもようやく柵の前に立つと、檻が開かれて中に入ることが出来た。
さあ出てこい!恐竜よ!
『ガルルルルルルル・・・・』
で、でかい・・・・。
実物、オレよりでかいじゃん!顔こええよ!
だが所詮恐竜!ドラゴンを倒したオレの敵じゃないぜ!
『ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』
うるせえ!叫ぶな!
『ガン!ガン!ガン!』
尻尾で叩くな!
『ガウ・・・・ガウウ・・・・』
諦め早っ!逃げんな!お前倒さなきゃいけないんだよ!
オレを倒せないと見切りをつけたなんとかガイガンが後ろにじりじりと下がっていってしまった。
待て!本気で逃げられるとオレ追いつけないぞ!
今まで倒さなきゃいけない相手は向かって来てくれたし、樹海の中で襲い掛かって来た奴らは速攻倒すか勝手に逃げ出すかのどっちかだった。
こいつは倒さないと先に進めない!てか戦場無駄に広いよ!くそっ!ロケットパンチで・・・ダメだ!後ろに観客席がある。
『ガルルルルル・・・・・』
こちらを牽制しながら後ずさるなんてろガイガン、それににじり寄るオレ。
1歩進むと2歩後ろに、オレが2歩進むと4歩後ろに・・・このまま柵まで追い詰めれば・・・横に逃げますよね!オレ追いつけないし!
まだ後ろに観客背負ってやがる。遠距離攻撃は撃てないな。
「シオ!ストーンフレイムガイガンに逃げられています!二足歩行の亜竜とはいえ、流石にゴーレムより足は速い!特別武器を持っているようにも見えないシオはこの状態をどう対処するのか見物です!」
「初撃でガイガンは勝てないと判断したようなのだ!これでは追いかけっこになるのだ!でもシオはおっそくて追いつけないのだ!」
わかってるよ!いまどう追い詰めるか考えてるんだから!えーっと・・・うーんと、とりあえず追いかけて・・・ああ!もう、広いわ!
オレは追いかけるのを諦めて周りを見渡す。ただ広いだけの会場を背の高い金属の柵で覆っている。前の2体が倒したガイガンの死体が2つ残ってて、オレと相対しているガイガンがオレから逃げ回っているだけ。
オレはガイガンの死体を一つ持ち上げるとガイガンに向かって放り投げた!
避けますよね!くそう、剛速球が投げられれば!
「シオ、ガイガンの死体を使って追い詰めようとするがその前にガイガンが逃げる!死体を拾った段階で警戒されているぞ!」
「ただ持ち上げて投げてるだけなのだ!子供でも避けられるのだ!」
ちくしょう!わかってたよ!
ならば二つの死体を同時に投げるっ!
これも避けるかっ!もう投げる物がないっ!またガイガンの死体を拾いあげて再度投げる!
「投げる!拾っては投げる!だが拾っている間にガイガンは距離をとっている!とんでもない重量のガイガンを持ち上げるシオは圧巻だが当たる気はまったくしませんっ!」
くそっ!足止めさえ出来れば!なんとか動きを封じないと・・・あ、動きを封じる?
オレはキョロキョロと周りを見渡すと、目的のものを見つけてそちらに足を向けた。
「おや?シオ、諦めたか!ガイガンとは全く違う方向へと歩き始めた!どうしたシオ~故障か~!?」
壊れてねえよ!失礼だなまったく。
オレは柵の前に立つと、その柵を持ち上げて檻の中に入った。
「おおーっと!シオ!解放されていたストーンフレイムガイガンを諦めて檻の中に捕まっている別のゴーレム用のガイガンに目をつけた!コレは有りなのか!?」
「ふむ、あそこも一応会場内なのだ!セーフなのだ!」
「レベッカ様のお墨付きがついた!狭い檻の中のガイガンが暴れております!イヤイヤと顔を左右に振っています!涙目です!」
すまんな、なんてろガイガン。悲しいけど、お前を倒さないといけないんだ。
オレは暴れながらひっかいて来るこいつの顔を掴むと、力を込めた。
「ガイガンの顔を爆散させた!魔法か!?」
「いや!握力なのだ!これはすごいのだ!」
「なんと!最も攻撃の際に利用する顎の周りはガイガンの体でも特に強固な部分!これをおもむろに掴んでそのまま握り潰すとは!シオの恐ろしい攻撃方法だ!」
こんな狭い檻の中じゃ下手にオレが暴れると、檻を破壊しかねないからな。一応全ゴーレムと戦う分のガイガンが用意されていたから助かった。
頭の残骸を持って檻の外に向かうが・・・・出れぬ。
「残念!その檻は内側からじゃ空きません!檻を外から開けた時に重さで檻の扉は閉まっております!シオ囚われました!囚われのゴーレムです!」
「これはシオ脱落なのだ?あの檻はレベッカお手製の対巨獣用の檻なのだ!内側からは絶対に開かないのだ!」
マジか!押してもビクともしねえ!
ぐぬぬぬぬっっっ。
「ミシミシ言っています!檻がミシミシ言っています!古竜を捕まえても内側から絶対に開かないあの檻が悲鳴を上げています!」
「無理なのだ!いくら古代のゴーレムといってもその古代からレベッカは生きているのだ!少なくとも自分が見た生物であれを突破出来る生き物は魔王くらいなのだ!」
があああああああああ!!!!
叫んだ気持ちでオレは両手で柵を押し上げる。
「おお、おおおおおお!動いている!檻が動いている!」
「すごいのだ!とんでもない馬力なのだ!」
『ガギンッ!!!』
嫌な音とともに、檻の扉だった柵の部分が丸ごと外れた!
よし!出れた!
オレは握り潰したガイガンの顔の残骸を拾いなおすと、柵を抜けてホームストレートに凱旋する。
『ワアアアアアアアアアアア!!!』
大喝采を受けながら、オレはゴールへと足を運んだ。
へっへっへっ、完走しきったぜ!
「今、シオがゴールしました!後続は全滅です!シオ3位で見事にゴールです!」
「うむ、シオは今大会中では最もスタンダードなゴーレムなのだ!そしてそのスタンダードさを突き詰めた完成品とも言えるゴーレムなのだ!」
オレはゴールテープを切ると、握っていたガイガンの残骸を地面に捨ててゴーレム用のドッグへと向かった。
待っていたセルジアと清蓮に体を洗ってもらうと、一心地ようやくつけた。
決勝は明日。ゴーレムファイトだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる