フリーター、ゴーレムになり異世界を闊歩する

てぃー☆ちゃー

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第九章 ゴーレム、体を張る

第七十八話 ゴーレムと襲撃者

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 セルジアと別れてから、船でサイス大陸を渡り舗装されていない道を土ぼこりを作りながらジープで走り抜けていくオレ達。
 運転は清蓮とテイツォとゴートさんが交互に行っている。
 え? アイですか?

「すまん、シオ。また水を……げえ…」

 はい、横で吐いております。
 こいつ重力エレベーターで酔ってたからな。
 船でも終始吐いてたし、当然車もダメと。

「ちなみにアイは馬車も無理だ」

 ゴートさんが笑いながら教えてくれた。
 運転させれば酔わないんじゃないかと何度か挑戦させてみたが、少し走らせただけで酔いやがった。ダメだこのおっ坊ちゃん。

「……もう…吐くものが…」

 青い顔をして荷台に寝っころがるアイ。
 外の風景見ながらじゃないともっと気持ち悪くなるぞ?

「せめて座ってないと、もっと気分が悪くなるとシオ様がおっしゃっていますが……?」
「無理です……起きれません…」
「アイはこんじょー無しにゃ!いい加減に慣れるにゃ!」

 そんなアイを蔑むのが運転席のテイツォ。こいつ何気に運転上手い。
ただオレには危なっかしいのがこのジープ自体だ。
 なんてったってシートベルトもエアバッグも付いてない。アイサイト?なんですかそれ?みたいな。
 一応次回はそういうのも付けるようにとレベッカには伝えておいた。
 レベッカ先生の次回作にどうぞご期待ください!

「にゃ? 前から馬車が来るにゃ」
「道を開けるか?」

それがいいでしょ。こちらは奇怪な乗り物だから馬や人が驚くでしょ。

「ついでに休憩にしませんか? その、アイさんが・・・」
「さっき休憩したばっかりにゃ! これじゃ全然進まにゃいにゃ」
「どちらにしても、道を開けねば進めないだろう?テイツォ、停めてくれ。シオ、仕舞っておこう」

 了解。

 停車して荷台から降りると、オレはジープと荷台を魔法の袋に仕舞った。

「ふう……」

 アイが明らかにほっとした表情を浮かべる。地面に降り立つと両手を膝に当てて一心地ついた様子だ。

「あんた達、すぐに引き返しな」

 馬車がオレ達の地点に付くと、恰幅の良い御者の女性が声をかけてきた。

「何かあったのか?」
「この先の街の近くに蟻が出たらしい、こちとら商売そっちのけで避難さ」
「蟻!? 近いのか!?」
「まだわからないらしいわ。でも街は今引っ越し作業で騒然としているよ。多分あの街は捨てられるわね」
「それはつまり」
「近いんだろうね。この辺の街道は安全だったのにどうしたもんかねえ」

 蟻? 蟻ってあの蟻?

「この場合蟻というのは、蟻人族の総称だよ。シオは知らないかもしれんが、蟻人族は一度膨れ上がると手に負えない事になりうる自然災害だ。単体単体の働き蟻ならCランク程度だが、数が膨れ上がればSランクにまで相当する厄介な案件になる」
「この大陸には龍種はいないのですか?」
「どの程度かの規模にもよるし、龍種の耳に届いてない可能性があるな」
「にゃあ、蟻にゃ! 逃げるにゃ!」
「ゴートさん。行きましょう」
「アイ、お前な」
「先生なら向かいます」
「そうだろうが……蟻だぞ?」
「人々の避難の手伝いだけでも出来れば」

 おお? アイがやる気だ。よくわかんないけど街を捨てて避難しなきゃいけないレベルの話なのか?

「わたくしも存じ上げませんが・・・」
「水中に蟻は出ないのか? じゃあ水魔族達も知らないか」
「えっと?」

 人助けなら行こう。急いだほうがいいだろ?

「にゃあ? シオは阿呆にゃ! 蟻にゃ! 逃げるにゃ!」

 阿呆って、テイツォ。

「シオ、付いてきてくれるか?」

 急ぐんならジープだぞ?

「ぐ、それは……我慢するさ」

 よく言った。

「あんた達正気かい? あたしらは港街まで言って別の大陸にでも逃げようかねえ」
「でしたら、道中の村々にも警告をしていって下さい。お願いします」
「・・・まあ、それは人族の使命みたいの物だからやるけど」
「有難うございます!」
「この先の街まで馬車で半日ってところだからね、ああそうだ。あんた達金あるかい?食料とか香辛料とか買っていかないかい?みんな夜逃げ同然の状態だから宿も開かないだろうし食い物も足りなくなりわよ?」
「ふ、中々に商売上手だな。見させて貰うことにするか」
「にゃあ! お洋服も欲しいにゃ!」
「あいよ、可愛いお嬢ちゃんだね。そっちの美人さんも見ていきな。とびっきりのアクセサリーを売ってあげるよ」

 そう言って行商人のおばちゃんは馬車から荷物を広げだした。
 流石に手馴れているな

「そっちのあんたは、ゴーレムだね?裸じゃなんだし服でも・・・ってサイズが合わないわね」

 軽い笑いに包まれた。最近なんだかオチ担当になってます。





「ゴート! アイ! 街が見えたにゃ! でも土煙が見えるにゃ!」
「ち、すでに街まで到達しているか」
「ぐえ、すぐにそちらに回り込みましょう・・・」
「おいおい、そんな調子で戦えるのか?」
「大丈夫・・・です」

 テイツォが街の外壁を迂回するように回り込んで、戦闘していると思われる地域まで車を走らせる!

 どこからともなく爆音が聞こえてくるな。

「いました! 蟻です!」
「でかいにゃ! このジープくらいあるにゃ!」
「任せろ!」
 
現れたのは文字通りの蟻だ。
ただ、サイズがでかい。普通に乗用車サイズだ。

あれ?でも蟻人族って言ってなかったっけ?とても人には見えないけど。

 進行方向に現れた蟻に、ゴートさんが飛び掛かり斧で切り裂く!
 文字通り半分に切り降ろされたありは、足をばたつかせるとすぐに動かなくなった。

「アイ! シオ! 降りろ! まだ街には取りつかれていない!」
「りょ、了解!」

 テイツォと清蓮もジープから降りる、その姿に驚きの表情を見せるのは迷彩服の男たちと騎士風の集団。

「あんたらは!?」
「冒険者です!加勢します!」
「すまん」
「おい、その車両はなんだ! どこで手に入れた!」

 迷彩服の男の一人がこちらに詰め寄って来た。

「自作だ、それよりもあれをどうにかするぞ」

 ゴートさんが素早く答えると、手を蟻の集団に向けた。

「爆!」

 おお! ゴートさん戦士風に見えて魔法も使えたのか!

「まだ距離が保てているな」
「ええ、街の人間達の避難が終わるまで足止めが出来ればそれでいいです!」
「わかった」
「我々の前に出るなよ?後ろから撃つことになるかも知れん。軍曹! 援軍だ!」
「はっ! あれ? このゴーレムは」

 うん? オレの事知ってる? ああ、オレにロケランぶっぱした人たちか?

「オレ達はこっちで勝手に動くぞ! アイ! 前に出すぎるなよ? 清蓮! 剣は使えるか?」
「了解!」
「ええ!」
「こいつを使え!蟻の頭の2本の触覚、片方切ったら離れていい!動きがおかしくなるからな!」
「承りました」
「シオ! ジープを!」

 もう仕舞ったよ。蟻の数はっと、見えてる範囲で50?60ってところか。
 オレは後ろから撃たれても平気だし打って出るかな。

「わかってるみたいだな。頼んだぞ」

 了解。さて、蟷螂以来の魔物退治だな。
 久しぶりに加減抜きで頑張りますか。
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