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青春の日々
幸せのピース
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かなと買い物に行ってから、2週間が経とうとしていた。あの日からかなと連絡がとれない。
少し心配だったが珍しい事ではなかった。かなは生まれつき体が弱く、学校を休むことはしょっちゅうあった。1ヶ月連絡ががとれず、帰ってきたかながあっけらかんとしていたこともあった。でも今日は俺の誕生日。4月23日。きっとかなに会える。俺は浮き足立っていた。
────
いつも通り学校に行き、自分の席に座る。いつもそこそこ静かな教室はいつもと違い、とても騒がしかった。
「なにかあったのか?」
斜め前の遼にきいてみる。すると遼は珍しく驚いた顔をした。
「知らないの?暁が転校するって噂。」
「なん…だよ。それ…。」
カチャッ。俺の中でなにかがズレる音がした。
「みんなその話題でもちきりだよ。とくに女子が嘆いてる。」
「…で、でもただの噂だろ?」
「まぁな。でもここんところ暁休みっぱなしだろ?学校にも連絡いってないらしくてさ。」
カチャッ。
また、なにかがずれた。
「おい、静かに。席につけ。」
Aクラスの担当であり、俺たち2組の主任である黒崎が教室に入ってくる。
いつものMRにはまだ10分もはやいのに。
嫌な予感で胸がいっぱいになった。
自分の唾を飲む音が妙に響いた気がした。
「もう知ってる奴も多いかもしれないが、暁が転校することになった。急なことでみんなも驚いているとは思うが……で……がっこ……。……としての……を……て。」
黒崎の声が遠くなる。
なんで?どうして?そんなこときいてない。
かなは…。え?…もう会えない?
なんで…。なんで…。
…。
「……くん。…うさかくん。香坂君。」
遼の声で我に返った。黒崎はもう教室にはおらず、教室がまたざわざわとしている。
「もうMRおわったよ。大丈夫かい?」
「…あぁ。大丈夫。」
大丈夫なんかじゃなかった。でもかな以外の人に弱みを見せられるほど俺は強くなかった。
「一限は特数だってさ。移動しないとだ。」
「…あぁ。」
俺の頭のなかはかなのことでいっぱいだった。かなは俺に黙っていなくなったりしない。そうわかっているのに、なのにどうしても。かなとこのまま永遠に会えないような気がしてならなかった。
────
それからのことはあまり覚えていない。ただ後で遼にきいた話では真面目に授業のノートをとっていたが抜け殻のようだったらしい。
気がつくともう放課後になっていた。
明日の授業のノートや教科書を机にいれ、軽くなったリュックを背負う。もう教室には俺以外には誰も残っていなかった。いつも待ってくれていたかなはもう学校には戻ってこない。その事実だけがたまらなく心を締め付けた。
重い足で、生徒玄関をでる。外はひどい雨だった。
「…雨か。」
かなはいつも雨の日になると雨は嫌いじゃないと言っていた。嫌いじゃないなら好きなの?ときくと好きなわけでもないと笑った。天邪鬼な彼女は今俺の隣にはいない。
「誕生日なんだけどな…。」
そう呟いて、俺は来た道を引き返した。雨に濡れて帰る気にはなれなかった。たしかロッカーのなかに折りたたみの傘があったはず。突然の雨の日にかなとよく一緒に入って帰った傘が。
ロッカーの鍵をとりに、教室に戻る。すると、さっきまではなかった床の雫が目に入った。
顔を上げると、教室の窓が空いていた。
ゆらゆらとカーテンが風にたなびく。
そこに、さっきまでいなかった人物がいた。
「やぁ、はる。久しぶりだな。」
カチャッ。またなにかが、ズレる音がきこえた。
少し心配だったが珍しい事ではなかった。かなは生まれつき体が弱く、学校を休むことはしょっちゅうあった。1ヶ月連絡ががとれず、帰ってきたかながあっけらかんとしていたこともあった。でも今日は俺の誕生日。4月23日。きっとかなに会える。俺は浮き足立っていた。
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いつも通り学校に行き、自分の席に座る。いつもそこそこ静かな教室はいつもと違い、とても騒がしかった。
「なにかあったのか?」
斜め前の遼にきいてみる。すると遼は珍しく驚いた顔をした。
「知らないの?暁が転校するって噂。」
「なん…だよ。それ…。」
カチャッ。俺の中でなにかがズレる音がした。
「みんなその話題でもちきりだよ。とくに女子が嘆いてる。」
「…で、でもただの噂だろ?」
「まぁな。でもここんところ暁休みっぱなしだろ?学校にも連絡いってないらしくてさ。」
カチャッ。
また、なにかがずれた。
「おい、静かに。席につけ。」
Aクラスの担当であり、俺たち2組の主任である黒崎が教室に入ってくる。
いつものMRにはまだ10分もはやいのに。
嫌な予感で胸がいっぱいになった。
自分の唾を飲む音が妙に響いた気がした。
「もう知ってる奴も多いかもしれないが、暁が転校することになった。急なことでみんなも驚いているとは思うが……で……がっこ……。……としての……を……て。」
黒崎の声が遠くなる。
なんで?どうして?そんなこときいてない。
かなは…。え?…もう会えない?
なんで…。なんで…。
…。
「……くん。…うさかくん。香坂君。」
遼の声で我に返った。黒崎はもう教室にはおらず、教室がまたざわざわとしている。
「もうMRおわったよ。大丈夫かい?」
「…あぁ。大丈夫。」
大丈夫なんかじゃなかった。でもかな以外の人に弱みを見せられるほど俺は強くなかった。
「一限は特数だってさ。移動しないとだ。」
「…あぁ。」
俺の頭のなかはかなのことでいっぱいだった。かなは俺に黙っていなくなったりしない。そうわかっているのに、なのにどうしても。かなとこのまま永遠に会えないような気がしてならなかった。
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それからのことはあまり覚えていない。ただ後で遼にきいた話では真面目に授業のノートをとっていたが抜け殻のようだったらしい。
気がつくともう放課後になっていた。
明日の授業のノートや教科書を机にいれ、軽くなったリュックを背負う。もう教室には俺以外には誰も残っていなかった。いつも待ってくれていたかなはもう学校には戻ってこない。その事実だけがたまらなく心を締め付けた。
重い足で、生徒玄関をでる。外はひどい雨だった。
「…雨か。」
かなはいつも雨の日になると雨は嫌いじゃないと言っていた。嫌いじゃないなら好きなの?ときくと好きなわけでもないと笑った。天邪鬼な彼女は今俺の隣にはいない。
「誕生日なんだけどな…。」
そう呟いて、俺は来た道を引き返した。雨に濡れて帰る気にはなれなかった。たしかロッカーのなかに折りたたみの傘があったはず。突然の雨の日にかなとよく一緒に入って帰った傘が。
ロッカーの鍵をとりに、教室に戻る。すると、さっきまではなかった床の雫が目に入った。
顔を上げると、教室の窓が空いていた。
ゆらゆらとカーテンが風にたなびく。
そこに、さっきまでいなかった人物がいた。
「やぁ、はる。久しぶりだな。」
カチャッ。またなにかが、ズレる音がきこえた。
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