5年越しの花嫁

紅蓮。:*

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青春の日々

鈴の音

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私はもらった小瓶をポケットにいれ、はるのところへもどった。

「かな、おかえり。」

「ただいま、はる。」

私の可愛いはる。優しいはる。私を愛してくれるはる。
私は父親に愛されなかった。親戚などの交流はないが、唯一の家族である母親と、不自由ない生活がおくれている。私は今に満足していた。

「待たせてごめん。」

「全然。ここのお店のものたくさんみれた。」

はるはそういって花が咲くように笑う。いや、花と言うより優しい光で照らす太陽のような笑顔だった。この笑顔をみれているだけで私は幸せだと思う。

「もうそろそろ日が暮れる。帰ろう?」

そういって手を出すと、照れながらも手を握ってくれる。照れているのか耳があかい。

「誕生日が楽しみだ。はやくこないかな。」

「もうすぐだよ。」

話の合う友人達。大切な人。優しい家族。
こんな幸せな日々がずっと続くと思ってた。


────

「着いた。はるの家。」

「俺が送るっていつも言ってるのに…。」

「どうせすぐ近くだ。遠慮しなくていい。」

いつものやり取りをして、はるを家までおくり届ける。私の家はここから歩いて10分くらいのところにある。もうそろそろ日が暮れてきた。だけど、母さんはまだ仕事で帰っていないだろう。夕飯をつくって待っていよう。


────

夕飯を作り終えて、食卓に運ぶ。
今日の夕飯はハヤシライス。はるの好物だ。はるのことを考えていたらついつくってしまった。私はよくハヤシライスをつくっては母さんにからかわれる。はるとなにかいいことがあったのかときく母さんはいつも楽しそうに笑う。

今日は夕飯を作り終えても母さんは帰ってきていなかった。弁護士をしている母さんは帰りが遅くなることが多いので、そう珍しい事じゃない。帰らない日はスマホに連絡がきてるはず。連絡がないと言うことは遅くても帰ってくるということだろう。私はいつものように課題をしながら待つことにした。

────

どれだけの時間が経っただろう。機械的な鈴の音で目が覚めた。時計はもう23時をまわっていた。母さんが帰ってきた形跡はない。鈴の音の出処を探すと、私のスマホからだった。腕を伸ばし、スマホを手に取る。電話がかかってきているようだった。
スマホを渡された頃、母さんに番号を1件登録された。父方の祖母の連絡先だと母さんはいった。母さんには親がいない。だからこの人が私の唯一の祖母なのだと教えられた。けれど私は祖母と話したこともなければ会ったこともない。この番号を使うことはないだろうと母さんは言いながら、その番号の着信メロディに鈴の音つけた。
会ったこともない祖母の着メロである鈴の音。
連絡もなく帰ってこない母さん。
嫌な予感がした。




ゆっくりとスマホに手を伸ばし、耳をすます。
嫌な予感が外れることを願いながら。
だが、現実は厳しいものだった。
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