4 / 18
青春の日々
鈴の音
しおりを挟む
私はもらった小瓶をポケットにいれ、はるのところへもどった。
「かな、おかえり。」
「ただいま、はる。」
私の可愛いはる。優しいはる。私を愛してくれるはる。
私は父親に愛されなかった。親戚などの交流はないが、唯一の家族である母親と、不自由ない生活がおくれている。私は今に満足していた。
「待たせてごめん。」
「全然。ここのお店のものたくさんみれた。」
はるはそういって花が咲くように笑う。いや、花と言うより優しい光で照らす太陽のような笑顔だった。この笑顔をみれているだけで私は幸せだと思う。
「もうそろそろ日が暮れる。帰ろう?」
そういって手を出すと、照れながらも手を握ってくれる。照れているのか耳があかい。
「誕生日が楽しみだ。はやくこないかな。」
「もうすぐだよ。」
話の合う友人達。大切な人。優しい家族。
こんな幸せな日々がずっと続くと思ってた。
────
「着いた。はるの家。」
「俺が送るっていつも言ってるのに…。」
「どうせすぐ近くだ。遠慮しなくていい。」
いつものやり取りをして、はるを家までおくり届ける。私の家はここから歩いて10分くらいのところにある。もうそろそろ日が暮れてきた。だけど、母さんはまだ仕事で帰っていないだろう。夕飯をつくって待っていよう。
────
夕飯を作り終えて、食卓に運ぶ。
今日の夕飯はハヤシライス。はるの好物だ。はるのことを考えていたらついつくってしまった。私はよくハヤシライスをつくっては母さんにからかわれる。はるとなにかいいことがあったのかときく母さんはいつも楽しそうに笑う。
今日は夕飯を作り終えても母さんは帰ってきていなかった。弁護士をしている母さんは帰りが遅くなることが多いので、そう珍しい事じゃない。帰らない日はスマホに連絡がきてるはず。連絡がないと言うことは遅くても帰ってくるということだろう。私はいつものように課題をしながら待つことにした。
────
どれだけの時間が経っただろう。機械的な鈴の音で目が覚めた。時計はもう23時をまわっていた。母さんが帰ってきた形跡はない。鈴の音の出処を探すと、私のスマホからだった。腕を伸ばし、スマホを手に取る。電話がかかってきているようだった。
スマホを渡された頃、母さんに番号を1件登録された。父方の祖母の連絡先だと母さんはいった。母さんには親がいない。だからこの人が私の唯一の祖母なのだと教えられた。けれど私は祖母と話したこともなければ会ったこともない。この番号を使うことはないだろうと母さんは言いながら、その番号の着信メロディに鈴の音つけた。
会ったこともない祖母の着メロである鈴の音。
連絡もなく帰ってこない母さん。
嫌な予感がした。
ゆっくりとスマホに手を伸ばし、耳をすます。
嫌な予感が外れることを願いながら。
だが、現実は厳しいものだった。
「かな、おかえり。」
「ただいま、はる。」
私の可愛いはる。優しいはる。私を愛してくれるはる。
私は父親に愛されなかった。親戚などの交流はないが、唯一の家族である母親と、不自由ない生活がおくれている。私は今に満足していた。
「待たせてごめん。」
「全然。ここのお店のものたくさんみれた。」
はるはそういって花が咲くように笑う。いや、花と言うより優しい光で照らす太陽のような笑顔だった。この笑顔をみれているだけで私は幸せだと思う。
「もうそろそろ日が暮れる。帰ろう?」
そういって手を出すと、照れながらも手を握ってくれる。照れているのか耳があかい。
「誕生日が楽しみだ。はやくこないかな。」
「もうすぐだよ。」
話の合う友人達。大切な人。優しい家族。
こんな幸せな日々がずっと続くと思ってた。
────
「着いた。はるの家。」
「俺が送るっていつも言ってるのに…。」
「どうせすぐ近くだ。遠慮しなくていい。」
いつものやり取りをして、はるを家までおくり届ける。私の家はここから歩いて10分くらいのところにある。もうそろそろ日が暮れてきた。だけど、母さんはまだ仕事で帰っていないだろう。夕飯をつくって待っていよう。
────
夕飯を作り終えて、食卓に運ぶ。
今日の夕飯はハヤシライス。はるの好物だ。はるのことを考えていたらついつくってしまった。私はよくハヤシライスをつくっては母さんにからかわれる。はるとなにかいいことがあったのかときく母さんはいつも楽しそうに笑う。
今日は夕飯を作り終えても母さんは帰ってきていなかった。弁護士をしている母さんは帰りが遅くなることが多いので、そう珍しい事じゃない。帰らない日はスマホに連絡がきてるはず。連絡がないと言うことは遅くても帰ってくるということだろう。私はいつものように課題をしながら待つことにした。
────
どれだけの時間が経っただろう。機械的な鈴の音で目が覚めた。時計はもう23時をまわっていた。母さんが帰ってきた形跡はない。鈴の音の出処を探すと、私のスマホからだった。腕を伸ばし、スマホを手に取る。電話がかかってきているようだった。
スマホを渡された頃、母さんに番号を1件登録された。父方の祖母の連絡先だと母さんはいった。母さんには親がいない。だからこの人が私の唯一の祖母なのだと教えられた。けれど私は祖母と話したこともなければ会ったこともない。この番号を使うことはないだろうと母さんは言いながら、その番号の着信メロディに鈴の音つけた。
会ったこともない祖母の着メロである鈴の音。
連絡もなく帰ってこない母さん。
嫌な予感がした。
ゆっくりとスマホに手を伸ばし、耳をすます。
嫌な予感が外れることを願いながら。
だが、現実は厳しいものだった。
0
あなたにおすすめの小説
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる