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第1章
担当教師
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教室にはステレオタイプの木の机が40個ほど並べられており、近くに置いてあった座席表を確認すると俺の席は右の端、前の席が、刹那の席だった。
教室の窓際には、さっきの銀髪の女の子が誰とも話そうせず、かといって何をしようともせずちょこんと座っていた。
先に教室に来ていた他の生徒は少しずつ自己紹介などを始めていたようだった。
意外だったのは男女比がほぼ1対1、むしろ女子の方が多い。ということ。
「一人で大丈夫?」
「もう、刹那に心配されるほどじゃないよ」
「そう?…てんわかった。じゃあね」
そう軽く話し、別れると刹那は女子の輪の中に入っていく。
中学時代、コミュニケーションの化け物として名を馳せたあいつだ。
きっと、このクラスの統括に任命されるだろう。と、義兄の贔屓目から見て思う。
別に俺はそこには心配していない。
むしろ自分の心配をすべき、だな。
俺も、近く5人で固まって話をしていたグループに入る。
何分ほどかわからないが、自己紹介などの話をした後。
静かにドアを開ける音が教室に響いた。
入ってきたのは眼鏡の優しげな若い先生だった。
女の先生、とは聞いていたけどもっと目がキリッとしてて、長身のボーイッシュな感じなのかと想像していたが存外優しそうな先生だ。
それを見た教室内の一同は今までの、雑談をすぐさまやめると一瞬で席に着き、表情を強張らせる。
いくら優しそう、といっても軍の学校だしな、そこら辺の高校とは生徒の覚悟や面構えが違った。
先生は教壇に立つと、教室内の全員を見回した。
「全員集合できているみたいですね。おはようございます。このクラスの担任になりました。日向彩乃です。」
先生は丁寧なお辞儀をし、挨拶した。
「わかっているとは思いますが、皆さんはこれからこの桜陵学院生として軍人になるための教育を受けていただきます」
先生はまるで、学校説明会の説明そのままをダラダラと話し始めた。
「少し硬い先生だなぁ……」
刹那は振り向き怪訝そうに小声で俺に語りかけた。
「刹那って、ああいう先生苦手だったっけ?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだけど、ああいう表面上は優しそうな顔してるビッ…先生に限ってねぇ」
「そういうのはここでは控えろよ……っていうかこの風貌でそれはなかなかないだろ」
「そうかな?司くんがビッ…先生ににホテルへ連れ込まれる姿が目に浮かんじゃったよ」
「いや、絶対にないからそんなこと!」
「まあ、もしもそんなことしたら、司くんを殺すからかくごしてね?」
刹那はにっこりと笑った。
普通ならジョークで済まされるのが、こいつ個性だとそれが可能なのは少し問題があるとは思う。
「そういえば、見た感じどうだった?」
「どう?って言われても、やっぱり骨のある子たちばっかりだと思うよ。大抵は司くんならいけると思うけど」
「へぇ、大抵はってことは……」
「そうだねぇ、例えばあの子」
刹那が指差したのは、とてもこの歳とは思えないほど筋肉が発達した男だった。
「いかにもな、感じだな」
「いや、じゃなくて、その右の女の子」
そこにいたのは赤髪のまだ中学入りたてくらいかとも取れる小さな女の子だ。
「……あの子が?」
「やばい、司くんと同等以上でやれると思う。そしてもう一人、この中で頭一つ、いや、それ以上抜けているが……」
すると、俺と刹那の間をチョークが勢いよく通り過ぎる。
慌てて、振り向くと先生が剣幕そうな表情を浮かべていた。
「喋んな、聞け」
「「は、はい」」
壁に当たったチョークは大きくめり込み、周辺には大きなヒビが入っていた。
流石の刹那でもその威圧には耐えきれず、正面を向き姿勢をただした。
周りから冷たい視線がこちらへ向かってくる。
初日からかなり目立ってしまったらし
い。
あの銀髪の女の子からはむーっとした表情で見られていたけど……。
「っ、コホン、今日は入学初日ということですので、各クラス毎にオリエンテーションとして時間が分けられています……で!!」
すると、先生は眼鏡を外した。
途端その柔和な瞳は一瞬にして鋭くなる。
「せっかくここまできたんですから、皆さん自分は強いって自信ありますよね?戦いたいですよね!皆さん戦いに飢えてるよなあ!!!」
「あ、スイッチ入った。」
と、急に饒舌になった先生を見て刹那。
もちろんこれで話が収まる訳はない。
「と言うことで!新しいクラスメイトとの親睦も兼ねて、模擬戦をやりましょう!!!!」
こうして初の模擬戦の開幕は、この担任のよくも分からぬ思いつきによって決まった。
教室の窓際には、さっきの銀髪の女の子が誰とも話そうせず、かといって何をしようともせずちょこんと座っていた。
先に教室に来ていた他の生徒は少しずつ自己紹介などを始めていたようだった。
意外だったのは男女比がほぼ1対1、むしろ女子の方が多い。ということ。
「一人で大丈夫?」
「もう、刹那に心配されるほどじゃないよ」
「そう?…てんわかった。じゃあね」
そう軽く話し、別れると刹那は女子の輪の中に入っていく。
中学時代、コミュニケーションの化け物として名を馳せたあいつだ。
きっと、このクラスの統括に任命されるだろう。と、義兄の贔屓目から見て思う。
別に俺はそこには心配していない。
むしろ自分の心配をすべき、だな。
俺も、近く5人で固まって話をしていたグループに入る。
何分ほどかわからないが、自己紹介などの話をした後。
静かにドアを開ける音が教室に響いた。
入ってきたのは眼鏡の優しげな若い先生だった。
女の先生、とは聞いていたけどもっと目がキリッとしてて、長身のボーイッシュな感じなのかと想像していたが存外優しそうな先生だ。
それを見た教室内の一同は今までの、雑談をすぐさまやめると一瞬で席に着き、表情を強張らせる。
いくら優しそう、といっても軍の学校だしな、そこら辺の高校とは生徒の覚悟や面構えが違った。
先生は教壇に立つと、教室内の全員を見回した。
「全員集合できているみたいですね。おはようございます。このクラスの担任になりました。日向彩乃です。」
先生は丁寧なお辞儀をし、挨拶した。
「わかっているとは思いますが、皆さんはこれからこの桜陵学院生として軍人になるための教育を受けていただきます」
先生はまるで、学校説明会の説明そのままをダラダラと話し始めた。
「少し硬い先生だなぁ……」
刹那は振り向き怪訝そうに小声で俺に語りかけた。
「刹那って、ああいう先生苦手だったっけ?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだけど、ああいう表面上は優しそうな顔してるビッ…先生に限ってねぇ」
「そういうのはここでは控えろよ……っていうかこの風貌でそれはなかなかないだろ」
「そうかな?司くんがビッ…先生ににホテルへ連れ込まれる姿が目に浮かんじゃったよ」
「いや、絶対にないからそんなこと!」
「まあ、もしもそんなことしたら、司くんを殺すからかくごしてね?」
刹那はにっこりと笑った。
普通ならジョークで済まされるのが、こいつ個性だとそれが可能なのは少し問題があるとは思う。
「そういえば、見た感じどうだった?」
「どう?って言われても、やっぱり骨のある子たちばっかりだと思うよ。大抵は司くんならいけると思うけど」
「へぇ、大抵はってことは……」
「そうだねぇ、例えばあの子」
刹那が指差したのは、とてもこの歳とは思えないほど筋肉が発達した男だった。
「いかにもな、感じだな」
「いや、じゃなくて、その右の女の子」
そこにいたのは赤髪のまだ中学入りたてくらいかとも取れる小さな女の子だ。
「……あの子が?」
「やばい、司くんと同等以上でやれると思う。そしてもう一人、この中で頭一つ、いや、それ以上抜けているが……」
すると、俺と刹那の間をチョークが勢いよく通り過ぎる。
慌てて、振り向くと先生が剣幕そうな表情を浮かべていた。
「喋んな、聞け」
「「は、はい」」
壁に当たったチョークは大きくめり込み、周辺には大きなヒビが入っていた。
流石の刹那でもその威圧には耐えきれず、正面を向き姿勢をただした。
周りから冷たい視線がこちらへ向かってくる。
初日からかなり目立ってしまったらし
い。
あの銀髪の女の子からはむーっとした表情で見られていたけど……。
「っ、コホン、今日は入学初日ということですので、各クラス毎にオリエンテーションとして時間が分けられています……で!!」
すると、先生は眼鏡を外した。
途端その柔和な瞳は一瞬にして鋭くなる。
「せっかくここまできたんですから、皆さん自分は強いって自信ありますよね?戦いたいですよね!皆さん戦いに飢えてるよなあ!!!」
「あ、スイッチ入った。」
と、急に饒舌になった先生を見て刹那。
もちろんこれで話が収まる訳はない。
「と言うことで!新しいクラスメイトとの親睦も兼ねて、模擬戦をやりましょう!!!!」
こうして初の模擬戦の開幕は、この担任のよくも分からぬ思いつきによって決まった。
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