モノツキフェアリー

メガゴールド

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8話  しぶしぶダイキチの家に

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 こういうの、背に腹は変えられない……って言うんだっけ?

 嫌だけど、小田くんの仲間にしてもらうためには縁起物を見つけないといけない。そこに妖精のあるなしは関係ないって言ってたし……

 じゃあとりあえずテスト合格? 

『だれも一個見つければ合格なんて言ってないけどね』

 ……放課後、小田くんと二人でまた空き教室にいたんだけど、フデコがそう言い出した。

「ちょっと! それ反則だよ! 見つければOKって言ったじゃん!」
『こっちも一人しか妖精見つけないとは言ってないでしょ? 最低限のやる気を知るためにはさ、この一週間でたくさん見つけて欲しいわけよ。何個までとか決めたら、合格した時点で動きやめそうだから言わない』

 うぐう! こっちの性格把握してるかのように……
 た、確かに見つけた~合格だあってなってたし、縁起物をこれ以上探すつもりはなかったと思うけど。

『ほらほら! そのダイキチってやつの家にいくんでしょ? 早く行きな』

 シッシって、あたしを追っ払うかのように手を振るフデコ。ムッかあ!!

「……もし、妖精いたら確認したいし、僕も行くよ」

 と、小田くん。
 ありがたい! ダイキチと二人は嫌だしね!

 ……あれ? そういえば……

「妖精がいるかいないかって、どうやって確認するの……?」

 簡単にわかるようなら、妖精の存在がみんなにも知られてるはずだもんね。
 そう考えると、人の前にそう姿見せないんじゃないかな? フデコと違ってさ。

「妖精……フデコと友だちになった僕なら見える……はず」
「はずなんだ……」
「ものに隠れてたら確認のしようもないからね……」
「でも常に隠れてるんじゃ?」
「何か力を使えば多分気づくと思う。フデコが力を使うと、少なくとも僕はすぐわかるから」

 う~んややこしい。

「あたしは見えないのかな妖精。フデコ見えるけど」
「……あ、えっと……フデコは今見えるようにしてくれてるから見えてるだけだと思うよ」

 ん? なんか小田くん、言葉につまったね。
 ……あ、もしかしてあたしの名前覚えてない……?
 そういえばちゃんと自己紹介してなかったような……

「あ、あの、あたしの名前は中野笑子だよ。エミコでいいよ。ナミコじゃないからね」

 ここ重要ね。エミコって言ってくれるの両親除けばルリカだけだけど。

「え、下の名前呼びはちょっと……」
「でも中野さんはちょっとね」
「……?」
「中野ってうちのクラスにもう一人いるんだよ」

 だから中野さん呼びだとどっちを呼んでるの? ――ってなっちゃうんだよね。
 だからあまり仲良くない子もナミコ呼びだったりする。ダイキチのせいで!

 一対一のこの状況ならともかく、クラス内とかで中野さん固定の呼び方だとわけわかんなくなるからねえ……

「わ、わかったよ。じゃあエミコさんで」

 ……なんか照れるね。

「ちなみにあだ名は何か理由あるの?」
「ナミコってあだ名? 人並み、フツーだからナミコってあだ名なんだよ。とっても不愉快」
「フツー? どこが?」
「……え?」

 どこが?
 え、もしかしてフツーじゃないと思ってくれてるってこと!?

「た、例えば見た目がフツーとか、成績とか、家族とか……」
「僕からしたら、こんな積極的に妖精知りたい行動力の化身けしん、全然フツーに見えないよ」

 フツーに見えない!? 
 マジで!?

「ほ、本当に!?」
「うん。フツーの人は妖精相手にもっと別な反応したりしそうだし」
「フツーじゃない!? あたしフツーじゃない!?」
「え、あ、うん」
「いよっしゃあ~!!」

 あたしはガッツポーズをかます。
 フツーじゃない! フツーじゃない! やっぱり妖精はあたしを非日常に導く素敵な存在なんだあ!

 ……あ、小田くんが少しひいてる……


 ♢



「はーあ……」

 しぶしぶあたしと小田くんはダイキチ宅に。

「あらーエミちゃん! いらっしゃい! そっちの子は転校生くんね! どうぞどうぞ!」

 ダイキチのお母さんがニコニコで出迎えてくれる。
 ふくよかで、あたしも昔からお世話になってる人なんだよね。ダイキチと違ってイジワルしないし。

「ん? ナミコは呼んだけどノブナガ公は呼んでねえぞ」

 家に上がったあたしと小田くんを見るなり言い出した。
 態度悪~。

「細かい事気にすんな!」
「ごめんね。僕が無理言ってついてきたんだ」

 ええ~?
 小田くんはいい人だなあ~。
 坊主頭とはえらい違いだよ。

「……ちぇ。まあいいや。こいよ」

 何が不満なんだ坊主頭め。

 とりあえずあたしと小田くんはダイキチの部屋に向かう。

「入れよ。あさるなよ」
「誰が!」

 部屋に入ると……

「汚な!」
「なんだと!」

 いや、実際汚ないよ。不潔ふけつって意味じゃなく、散らかってて汚ないって意味ね。

 足元には物がめっちゃ散らかってて、足の踏み場もないよ。

「母ちゃんが昨日掃除してねえんだもん」

 いや、自分でしろよ。
 というか一日でこれってどんだけえ~。

 とりあえず中に入ると……
 おわ! なんか踏んだ!

「おい! それがその縁起のいいバットだぞ! 踏むな!」

 え!? 
 てか、縁起いいなら足元に放置すんなよ!



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