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お出かけしましょう

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とりあえず、昨日買ってもらった服の中でツンツクテン(注、小さいの意味)に見えなさそうな赤いワンピースを着た。
靴は紐の編み上げ式なので、何とか履けた。

結構沢山買ってもらったのに、袖も通さず小さくなってしまうなんて勿体なさすぎる。
余計な出費をさせてしまった。
こんな事になるならば、ギルマスさんの服を着ていれば良かった。
ダボダボでも、袖を折り返せば充分着れたのに。

『ヒロ、出掛けるぞ。』

気分は落ち込んでいたが、ギルマスさんの背の高さにちょっと近付けたので少し嬉しい。
大きくなった分、お茶を入れてあげたり出来そうだもんね。
早くギルマスさんの役に立ちたいものだわ。

手を繋ぎ、町中を歩く。
ギルマスさんと私、どんな関係に見えているんだろうか?
父娘?
兄妹?
恋人にはまだ見えないだろう。

『ヒロ、疲れたか?
抱っこしてやるか?』

イヤイヤ、こんなに大きくなった私を抱っこだなんて、無しでしょう!!
それこそ誘拐の嫌疑がかかりますって!




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ヒロが着た赤い服は良く似合っていた。
昨日買った服は大半が小さくなってしまったが、知り合いの子供が着れそうなので、無駄にはならない。

ずっと歩くのは大変そうだったので抱っこしてやろうと思ったが、断られてしまった。
お父さんの気持ちとしては淋しいぞ。
大きくなってもヒロはヒロだけど、やっと抱っこに慣れたところだったのに。

せいぜい、ゆっくり歩いてやるとするか。


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