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45 襲撃 疑惑
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護衛の3人が倒され、ニルスが連れていかれるビジョンが見えました。
レッド・ローズがいれば、相手が余程の手練れ集団でない限りは問題が無いはずです。
後だしジャンケンで必ず勝つスキル・後の先。
その能力を超える力を持つ者が、パレード参加者の中に居るという事でしょうか。
私の様な駆け出しの聖女ならまだしも、レッドの様な熟練勇者の力が及ばないなど考えたくもありませんが……。
急がなくてはいけません。
パレードがニルス達の前を進んでいきます。
あんなににこやかに踊り、楽器を鳴らし、歌を歌っている人たちが敵だなんて……ニルスの命を狙う組織は一体何者なのでしょうか。
ニルスの護衛にはレッド・マット・ロビーの3人以外にも城の衛兵が数名付いていますが、パレードのあの数では意味をなさないでしょう。
もう少し、もう少しで到着します!
飾り付けられた大きな車がニルスの前を通ります。
それまでは車の上で手を振って笑っていた人たちの表情が一変し、ニルスを睨みつけました。
「いけません! レッド! マット! ロビー!!」
パレードが一斉にニルス目がけて襲い掛かっていきます。
ピエロが、ダンサーが、歌手が、楽団が、手に武器を持ってニルスに攻撃を開始しました。
そればかりか周囲の観客までも無差別に攻撃を開始したのです!
狂ってる!
「皆さん! 逃げてください! 皆さん聞いてください! 逃げて! 早く!!」
今まで浮かれていた人たちは状況を理解できていません。
これもパレードの一環だとでも思っているのでしょうか。
私の声が歓声とも悲鳴とも取れない声にかき消されます。
何とか最前列に到着し、武器を構えて襲って来る者達を切り捨てました。
おや? この程度の実力ならば問題は無いと思うのですが……先見の明のビジョンに狂いが出たのでしょうか。
私が剣と魔法でパレードの連中と戦い始めると、ようやく観客が逃げ始めました。
人が多い……ニルスの元へ向かおうとしますが、あまりの敵の多さに全く見えなくなっています。
しかし個々の能力は高くありませんし、先見の明を使う必要もなく倒しきれていますが……。
なぜニルスを守り切れないのでしょうか。
「ロビー! ロビー聞こえますか!? 防衛に徹してください! 私もそちらへ向かっています!」
姿は見えず状況が分かりませんが、せめてこの声が届いてくれていれば希望はあるかもしれません。
新しいビジョンが見えました。
護衛の3人が戦っていますが、やはりニルスは連れされれてしまったのでしょうか、姿が見えません。
私が動いた事で少し未来が変わったのでしょうが、根本的な事は変わっていませんね。
近未来のビジョンを見ながら敵の動きを先読みし、襲い掛かってくる連中を倒していきます。
しかし遅々として進みません。
倒しても倒しても、次から次へと敵が出てくるのでは……。
かといって大規模な魔法は使えません。
……聞こえました、3人が戦う音がします。
敵だらけで見えませんが、どうやら近くまで来れた様ですね。
それにしても、一体何人の敵がいるのでしょうか。
パレードの全員が敵だとしたら数百人でしたか? パレードの参加者は。
「くっそ! ニルスが居なくなっちまった! どうするレッド兄ぃ!」
「敵は大した事ないのに、この数だと身動きが取れない! レッド! 敵の動きはどうなってるの!?」
マットとロビーの声が聞えます。
しかしレッドの声が聞えませんね……まさか!!!
「俺も身動きが取れん! 今は何とかこいつらを倒して、ニルスを探し出すしかない!」
よかった、倒されてはいないのですね。
しかしレッドが苦戦しているのですか? 勇者であり私よりも強いレッドが?
姿が見えてきました。
流石に剣を振るう手が疲れてきましたが、泣き言は言っていられません。
剣士として疲れたのなら、格闘家として動きましょう。
魔法使いで身体強化をし、聖職者で癒せばいけます。
レッドは……剣士として剣を振っています。
格闘もしているので格闘家の能力も使っていますね。
しかし……怪我をしているのに聖職者のスキルは使わないのですか?
私は軽い違和感を覚えました。
そういえばレッドが聖職者のスキルを使っているのを見た事がありません。
私やケイが居たからだと思っていましたが、この状況でも使わない理由は何ですか?
いえ、今は敵を倒して合流し、ニルスを探すのが先ですね。
「ロビー! マット! レッド! 無事ですか!?」
「フラン! やっぱりいたんだね! でもどうして?」
「この状況がビジョンで見えたので、急いで合流しに来たのです!」
「さっすがだぜフラン! 愛してる!」
「遠慮しておきます!」
「フラン、俺は手が回らないから治療を頼む!」
「分かりました、回復します!」
聖職者のスキルを発動し、3人の治療を行います。
3人の体に小さな光が舞い降りると、傷が見る見る塞がっていきました。
よし、これで体力も戻りましたから、暫くは大丈夫ですね。
結局この騒動は軍が介入する事で一旦収まりました。
しかし、ニルスを探しましたが見つからず、安否さえ確認できていません。
みんながうな垂れる中、私は疑問をぶつけました。
「レッド、あなたは勇者ではありませんね?」
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後だしジャンケンで必ず勝つスキル・後の先。
その能力を超える力を持つ者が、パレード参加者の中に居るという事でしょうか。
私の様な駆け出しの聖女ならまだしも、レッドの様な熟練勇者の力が及ばないなど考えたくもありませんが……。
急がなくてはいけません。
パレードがニルス達の前を進んでいきます。
あんなににこやかに踊り、楽器を鳴らし、歌を歌っている人たちが敵だなんて……ニルスの命を狙う組織は一体何者なのでしょうか。
ニルスの護衛にはレッド・マット・ロビーの3人以外にも城の衛兵が数名付いていますが、パレードのあの数では意味をなさないでしょう。
もう少し、もう少しで到着します!
飾り付けられた大きな車がニルスの前を通ります。
それまでは車の上で手を振って笑っていた人たちの表情が一変し、ニルスを睨みつけました。
「いけません! レッド! マット! ロビー!!」
パレードが一斉にニルス目がけて襲い掛かっていきます。
ピエロが、ダンサーが、歌手が、楽団が、手に武器を持ってニルスに攻撃を開始しました。
そればかりか周囲の観客までも無差別に攻撃を開始したのです!
狂ってる!
「皆さん! 逃げてください! 皆さん聞いてください! 逃げて! 早く!!」
今まで浮かれていた人たちは状況を理解できていません。
これもパレードの一環だとでも思っているのでしょうか。
私の声が歓声とも悲鳴とも取れない声にかき消されます。
何とか最前列に到着し、武器を構えて襲って来る者達を切り捨てました。
おや? この程度の実力ならば問題は無いと思うのですが……先見の明のビジョンに狂いが出たのでしょうか。
私が剣と魔法でパレードの連中と戦い始めると、ようやく観客が逃げ始めました。
人が多い……ニルスの元へ向かおうとしますが、あまりの敵の多さに全く見えなくなっています。
しかし個々の能力は高くありませんし、先見の明を使う必要もなく倒しきれていますが……。
なぜニルスを守り切れないのでしょうか。
「ロビー! ロビー聞こえますか!? 防衛に徹してください! 私もそちらへ向かっています!」
姿は見えず状況が分かりませんが、せめてこの声が届いてくれていれば希望はあるかもしれません。
新しいビジョンが見えました。
護衛の3人が戦っていますが、やはりニルスは連れされれてしまったのでしょうか、姿が見えません。
私が動いた事で少し未来が変わったのでしょうが、根本的な事は変わっていませんね。
近未来のビジョンを見ながら敵の動きを先読みし、襲い掛かってくる連中を倒していきます。
しかし遅々として進みません。
倒しても倒しても、次から次へと敵が出てくるのでは……。
かといって大規模な魔法は使えません。
……聞こえました、3人が戦う音がします。
敵だらけで見えませんが、どうやら近くまで来れた様ですね。
それにしても、一体何人の敵がいるのでしょうか。
パレードの全員が敵だとしたら数百人でしたか? パレードの参加者は。
「くっそ! ニルスが居なくなっちまった! どうするレッド兄ぃ!」
「敵は大した事ないのに、この数だと身動きが取れない! レッド! 敵の動きはどうなってるの!?」
マットとロビーの声が聞えます。
しかしレッドの声が聞えませんね……まさか!!!
「俺も身動きが取れん! 今は何とかこいつらを倒して、ニルスを探し出すしかない!」
よかった、倒されてはいないのですね。
しかしレッドが苦戦しているのですか? 勇者であり私よりも強いレッドが?
姿が見えてきました。
流石に剣を振るう手が疲れてきましたが、泣き言は言っていられません。
剣士として疲れたのなら、格闘家として動きましょう。
魔法使いで身体強化をし、聖職者で癒せばいけます。
レッドは……剣士として剣を振っています。
格闘もしているので格闘家の能力も使っていますね。
しかし……怪我をしているのに聖職者のスキルは使わないのですか?
私は軽い違和感を覚えました。
そういえばレッドが聖職者のスキルを使っているのを見た事がありません。
私やケイが居たからだと思っていましたが、この状況でも使わない理由は何ですか?
いえ、今は敵を倒して合流し、ニルスを探すのが先ですね。
「ロビー! マット! レッド! 無事ですか!?」
「フラン! やっぱりいたんだね! でもどうして?」
「この状況がビジョンで見えたので、急いで合流しに来たのです!」
「さっすがだぜフラン! 愛してる!」
「遠慮しておきます!」
「フラン、俺は手が回らないから治療を頼む!」
「分かりました、回復します!」
聖職者のスキルを発動し、3人の治療を行います。
3人の体に小さな光が舞い降りると、傷が見る見る塞がっていきました。
よし、これで体力も戻りましたから、暫くは大丈夫ですね。
結局この騒動は軍が介入する事で一旦収まりました。
しかし、ニルスを探しましたが見つからず、安否さえ確認できていません。
みんながうな垂れる中、私は疑問をぶつけました。
「レッド、あなたは勇者ではありませんね?」
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