【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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67 勇者と聖女 結婚

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「そうか、お前達も気付いておったか」

 翌日の朝早くに出発し、勇者・聖女の住まう家に来ました。
 やはり気付いていたらしく、すでにみんなで話し合いをしていたようです。

「昨日の夜、ロビーから聞かされましたが、勇者のお2人は気付いておられたのですね」

「気付いていたといっても、漠然とした不安だったからね。まさかこんな形で現実のものになるとは思わなかったよ」

「お義父さんもあなたも知っていたなら、もっと早く言って欲しかったです」

「全くよねぇ。聖女の面目丸つぶれだわ」

「いやぁこればっかりはのぅ、全く確信は無かったんじゃ」

 確かに言ってもどうしようもないかもしれません。
 漠然とした不安だけで、異世界からの侵略が近いうちに起こるなどと言っても、ではいつなのか、聖女が知りえない情報をどうやって知ったのか。
 勘だ! などと言っても何もできません。

「それはそうと、今回は随分と厄介な感じがするんですが、皆さんはどう思われますか?」

 ロビーが話を収め、今後の話が始まりました。
 
「そうじゃな、聖女の【先見の明せんけんのめい】が効かないという事は、勇者の【後の先ごのせん】も使えない可能性があるからのぅ」
 
「でも父さん、全く使えないわけじゃないんだから、今回は全員で対処したら何とかなるんじゃないか?」

 わたくしもそれは考えました。
 もちろん勇者・聖女は先頭に立ちますが、それ以外にも腕の立つ人に協力を要請しては良いのではないかと。
 
「ワシら6人で対処できればいいが……いや、出来なければ終わってしまうからのぅ」

「あの、それなのですが、勇者・聖女以外にも協力を要請してはどうでしょうか」

「それは出来ない」

「それはダメよ」

 勇者と聖女が揃って否定しました。
 
「な、なぜですか? 今回の相手は今までとは違うのですよ? それならば少しでも戦力を――」

「異世界からの侵略者はね、勇者と聖女でないと攻撃が通用しないのよ。それに、異世界からの侵略者の事が他に漏れでもしたら、その時点で世界は混乱し、侵略されるまでもなく滅びの道へと進むわ」

 あ……そうですね、今までは異世界からの侵略は勇者・聖女のみが知る事実でしたが、それが公に知れてしまっては、混乱を招くことは避けられません。
 そして世界が滅びるかもしれないと知れれば、その先にあるのは破滅しかありません。

「まぁ戦力的にはワシらが揃っていればある程度は対処できようが、問題は相手がどこまでの対策をしているか、じゃな」

「こっちのスキルに対処できる者が多ければ多い程、苦しい戦いになるしねぇ」

 勇者2人の不安もそこなのでしょう。
 相手が1人だけならば問題ないでしょうが、複数名になった場合は対処しきれません。
 そればっかりは……来てからでないと分かりません。



 その日からは更に修行がきつくなりました。
 少しでも戦力が欲しいこの状況で、最も簡単に強くなれるのはわたくし達を鍛える事ですから。
 
 そして1年が過ぎたころ、やっと……やっとロビーとの結婚式を挙げる事が出来ました。

「おめでとーロビー、フラン!」

「おめでと~、フランきれいだわ~」

「ありがとうございます、マット、ケイ」

 サザンクロス聖国の神殿で、国をあげての結婚式が執り行われました。
 なにぶん勇者と聖女の結婚式です、公式では数百年ぶりとなっていますから、その盛大さは王族よりも盛大だといって良いでしょう。

「うん、おめでとう2人とも」

「ありがとうございますレッド。あなたには本当にお世話になりっぱなしですね」

「レッド。その、ありがとう。ごめん」

「謝るなバカモノが。さっさと結婚したらいいモノを、時間をかけやがって」

 はて、なぜロビーは謝ったのでしょうか。
 さっさと結婚しろというのは、もっともだと思いますが。

「御二人とも、国民の声が止みませんから、手を振ってあげてくださいませんか?」

 教皇様が神殿の外を見ると、神殿の外には沢山の人で埋め尽くされています。
 そうですね、挨拶くらいはした方がよいでしょうか。

 2階のバルコニーに上がり、教皇様や神官も含めた人たちで手を振ると、ひときわ大きな歓声が上がりました。
 ああ、わたくし達の結婚を、これだけの人が祝福してくれているのですね。
 護りたい……この国の人達を、この世界を。




 式から数か月後、わたくし達は人々の前から姿を消しました。
 そう、異世界からの侵略が始まろうとしているのです。
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