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7話

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「怪我人を中に入れてください!」

 神殿の中に騎士たちを入れて、急いで治癒を開始する。
 重症な人から治していくけど、ダメ、数が多すぎて追いつかない!
 聖女なのに……苦しんでいる人を助けられないなんて!

 それでも次々と運ばれてくる怪我人に、私が出来る事は限られている。

 腕が無い人、足が無い人、体に大きな穴が開いてる人……。
 神様! お願いです、私に力をお貸しください!!

 私の体が光った。
 これは……? 禊の儀の時とは違うけど、薄く青い光が出てる。
 光は神殿の中に満ちていき、しばらくすると消えて無くなった。

 今の光はなに? 神様が祈りに答えてくれたの?
 それなら治療を! ……??

「あら?」

 騎士達が……不思議な顔で私を見ている。
 ああ、ボーっとしてないで、急いで治療をしないと……!!

「傷が……治ってる」

 1人ではない、運ばれた騎士達全員の治療が終わっている。
 腕も足も元通り、穴もふさがってる。

「今のは……聖女様の奇跡なのか……?」

 1人の騎士がつぶやくと、次々に歓声が上がっていく。
 それは神殿の外にまで広がり、私は、たたえられていた。

「ありがとうございます聖女様! 私は副団長のロナウド・ナトゥール。すべての騎士に代わり、お礼を申し上げます!」

 兜を脱いだ副団長さんには、左の頬からアゴまでの傷があり、とても背の高い人だった。
 そんな大きな人が私の前で膝まづいてるけど、それでも私の胸のあたりに頭がある。

「いえ、えっと、それがお役目ですから」

 自分でもビックリしてるから、返事が曖昧になってた。
 だって! あんなの初めてだもん!

「総員! 聖女様に敬礼!!」

 ロナウド副団長の掛け声で、今まで倒れてた人までが敬礼をしてくれた。
 どうしたらいいのか分からなくて、思わず敬礼をしてしまう。

 



 なんだか気疲れしちゃった……。
 聖女になった時もそうだけど、今回も沢山の人にお礼を言われちゃった。

 今は神殿の自室でお茶を飲んでるけど、ふぅ。
 でもみんな元気になって良かった。
 
 扉がノックされた。誰だろう。

「どうぞ」

「こんにちわ聖女様。騎士団を全員治療したんだって?」

 セルジャック王太子だ。
 もうお城に話がいったのかな。

「セルジャック様。はい、皆さん元気になってくれて、本当に安心しました」

「セルジャック様は止めてくれ。前と同じセルジュで頼む」

「それでは聖女様は止めてください。アトリアでお願いします」

「分かった、アトリア」

「はい、セルジュさん」

 大きなガラス戸を開けて、バルコニーへと案内する。
 
「それで、どういった御用件ですか?」

「ヴァルプール国の王太子が結婚式を挙げる話しは聞いたか?」

 ハロルド様とマーテリー嬢の事だ……私を追放した張本人たち……。
 出来るだけ表情を変えないように返事をした。

「ええ聞きました」

「その式に王族からは俺がでる。そして、聖女様にも出席して欲しいと招待状が来た」

 テーブルには2通の手紙が置かれた。
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