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8話
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テーブルに置かれた2通の招待状を見て、私は呆然としていた。
2人が結婚するって聞いただけで嫌な気持ちなのに、結婚式なんて出たらどうなっちゃうんだろう。
「どうしたアトリア、何かあったのか?」
「い、いえ何でもありません」
私がヴァルプール国の貴族だったなんて言えない。
捨てられたから関係ないけど、良い思い出より悪い思い出が浮かんでしまう。
「どうしても、行かないといけませんか?」
「出来れば一緒に来てほしいが、無理に行く必要は無い」
そっか、そうだよね。無理に行かなくていいよね?
「しかしヴァルプール国で見つけた聖女様だ、出来れば紹介くらいはしたいと思っている」
そんなの……! 私は今、とっても嫌な事を考えてしまった。
でも……招待を受けたものね、行かないと失礼になるわ。
「分かりました。ご一緒します」
「そうか! では一緒に行こう」
それからひと月が経ち、ついにヴァルプール国へ到着した。
帰ってきてしまった……追放された国に。
帰ってきたらダメなんだっけ? イヤイヤ、招待を受けたんだし。
誰かに見つかるかと思ったけど、誰も私の事を気にしていなかった。
私なんかよりセルジュさんが目立ってるから。
見た目は良いもんね、うんうん。でも優しさもあるし、背も高いし……優良物件だ。
でも私も腐っても聖女。その名前に釣られて沢山の人が挨拶に来た。
もちろんこの国の……私が追い出されるのを笑って見てた貴族も居る。
全然気づいてないけど。
あ……ああ! あれはお父様だわ!
流石にお父様にはバレてしまう!
「初めまして聖女様。我が国を第2の祖国と思って、いつでも遊びに来て下され」
……目の前が真っ暗になった。
娘を……娘が目の前に居ても、気付かないなんて……。
ほんとう、こんな国、滅びてしまえ。
式が始まり、ハロルド様とマーテリー嬢がみんなに祝福されている。
本当ならあそこには私が立っているはずだった。
でも今は、心の底から私じゃなくて良かったと思える。
式が終わり、第2会場へと移動する。
披露宴とは違い、第2会場は政治の場。
立食形式のパーティーだけど、ここでは国の力がモノをいう所。
そんな場所で私は、聖女として笑顔を振りまきながら、心の中ではその時を待っていた。
「ハロルド王太子、及び、マーテリー王太子妃の御入場です!」
会場が沸き上がる。主人公達の登場だ。
壇上での挨拶が終わり、招待客に順番に挨拶をしている。
かなり早い段階で、ハロルド様は私達の元へ、セルジュさんの元へと挨拶に来た。
「お久しぶりですねセルジャック王太子。招待に応じていただき感謝しています」
「久しぶりだなハロルド王太子。祝福の言葉を述べさせてもらうよ」
立場の違いだろう。小国の王太子と大国の王太子の格の違いは、そのまま言葉遣いにも表れる。
「聖女様もようこそいらっしゃいました! ぜひとも我が国を第2の祖国とお思い下さい」
同じような挨拶をされた。
ハロルド様、いえ、ハロルドは私に気づいていない。
ここでようやく一人、私に気づいた人が居た。
「ひ! あ、あなたは……!!」
マーテリー王太子妃が、私を見て顔を青ざめている。
「お久しぶりですねマーテリー王太子妃。私を陥れて手に入れた座は、さぞいい物でしょうね」
2人が結婚するって聞いただけで嫌な気持ちなのに、結婚式なんて出たらどうなっちゃうんだろう。
「どうしたアトリア、何かあったのか?」
「い、いえ何でもありません」
私がヴァルプール国の貴族だったなんて言えない。
捨てられたから関係ないけど、良い思い出より悪い思い出が浮かんでしまう。
「どうしても、行かないといけませんか?」
「出来れば一緒に来てほしいが、無理に行く必要は無い」
そっか、そうだよね。無理に行かなくていいよね?
「しかしヴァルプール国で見つけた聖女様だ、出来れば紹介くらいはしたいと思っている」
そんなの……! 私は今、とっても嫌な事を考えてしまった。
でも……招待を受けたものね、行かないと失礼になるわ。
「分かりました。ご一緒します」
「そうか! では一緒に行こう」
それからひと月が経ち、ついにヴァルプール国へ到着した。
帰ってきてしまった……追放された国に。
帰ってきたらダメなんだっけ? イヤイヤ、招待を受けたんだし。
誰かに見つかるかと思ったけど、誰も私の事を気にしていなかった。
私なんかよりセルジュさんが目立ってるから。
見た目は良いもんね、うんうん。でも優しさもあるし、背も高いし……優良物件だ。
でも私も腐っても聖女。その名前に釣られて沢山の人が挨拶に来た。
もちろんこの国の……私が追い出されるのを笑って見てた貴族も居る。
全然気づいてないけど。
あ……ああ! あれはお父様だわ!
流石にお父様にはバレてしまう!
「初めまして聖女様。我が国を第2の祖国と思って、いつでも遊びに来て下され」
……目の前が真っ暗になった。
娘を……娘が目の前に居ても、気付かないなんて……。
ほんとう、こんな国、滅びてしまえ。
式が始まり、ハロルド様とマーテリー嬢がみんなに祝福されている。
本当ならあそこには私が立っているはずだった。
でも今は、心の底から私じゃなくて良かったと思える。
式が終わり、第2会場へと移動する。
披露宴とは違い、第2会場は政治の場。
立食形式のパーティーだけど、ここでは国の力がモノをいう所。
そんな場所で私は、聖女として笑顔を振りまきながら、心の中ではその時を待っていた。
「ハロルド王太子、及び、マーテリー王太子妃の御入場です!」
会場が沸き上がる。主人公達の登場だ。
壇上での挨拶が終わり、招待客に順番に挨拶をしている。
かなり早い段階で、ハロルド様は私達の元へ、セルジュさんの元へと挨拶に来た。
「お久しぶりですねセルジャック王太子。招待に応じていただき感謝しています」
「久しぶりだなハロルド王太子。祝福の言葉を述べさせてもらうよ」
立場の違いだろう。小国の王太子と大国の王太子の格の違いは、そのまま言葉遣いにも表れる。
「聖女様もようこそいらっしゃいました! ぜひとも我が国を第2の祖国とお思い下さい」
同じような挨拶をされた。
ハロルド様、いえ、ハロルドは私に気づいていない。
ここでようやく一人、私に気づいた人が居た。
「ひ! あ、あなたは……!!」
マーテリー王太子妃が、私を見て顔を青ざめている。
「お久しぶりですねマーテリー王太子妃。私を陥れて手に入れた座は、さぞいい物でしょうね」
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