【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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13話

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「さあ、早く服を脱ぎなさい」

「レオン長官、まさかと思いますが、聖女様にで、着替えろと?」

「何か問題があるのか?」

「大ありです! さあ聖女様、更衣室に参りましょう」

「え? あ、はい」

 何というか、今まで遭遇した事のない、言われた事もない事ばっかりで、頭が付いていけない。
 本当に大丈夫なのかな。

 更衣室で着替えをし、研究室らしい場所に連れていかれると、そこには研究員が沢山いた。

「ダメですよ長官。1人で楽しい事をしようなんて」
「まったく、いいサンプル……ゴホン、聖女様がいるんだから、みんなで調べないと」
「ん~? なんだ見た目は普通だな。どんな形をしてるか期待したのに」

 とっても不穏な言葉が聞こえる!!

「チッ、好き勝手調べようとしたのに。まあいい、やるぞ」

 魔の手が私に伸びてくる……生きて帰れるの? これ。




 と思ったけど、調べる内容は変な物じゃなかった。

「身長155センチメートル、体重(ヒミツ)、足のサイズ23.5センチメートル。はい、口を開けて……はい、次は目に明かりを当てるぞ……よし。次は採血をする」

 お医者さんで検査を受けてるみたいだ。
 一通りの検査が終わり、別の場所に連れていかれる。

「次はここにある液体に、順番に治癒の力を使ってくれ」

 テーブルの上には透明から真っ黒まで、さまざまな液体が入ったフラスコが並んでいる。
 イスに座ると順番に渡され、その通りに治癒の力を使っていく。
 透明な液体は、治癒の力を使うと一瞬だけ緑色になるけど、すぐ透明になった。
 色が付いてる物は、変化が分からない。

「よし、では次はここにある液体だ」

 新たに大量の箱が運び入れられ、中から液体・固形様々な物が並べられた。
 これに1つ1つ治癒の力を使うの……? 
 あ、そうだ。

「全部一か所に集めてください、まとめて治癒を使います」

 並べられたものの前で祈りをする。
 以前騎士さん達に使った祈りを捧げると、同じように緑色の光が部屋の中を満たしていく。
 
 祈りを終えて緑の光が消えていく。

 パリン

 何かが割れる音がした。
 え? なに? 私……じゃないよね?

 音がした辺りに研究員さんが集まって騒いでる。
 
「ほほぅこう来たか」
「これは面白いな」
「こういった効果があるのか」

 とか聞こえてくる。

「あの、大丈夫ですか? 私、何かいけない事をしましたか?」

「大丈夫だ、キミが気にする必要は無い。次は決められた工程で作業をしてくれ」

 レオン長官に言われ、マニュアルを見ながら液体を混ぜていく。
 これは見た事がある。ポーションだ。
 怪我人を治すときに使う液体の薬。

 てっきり教会や神殿で作ってるんだと思ってた。

 


 一通りの調査が終わったみたいで、元の服装に戻り、応接室に連れてこられた。

「今日は助かった、礼を言う」

「いえ、なんだか普通でしたので、安心しました」

「普通? 何を言っている、研究者は信頼を失えば協力者がいなくなる。当たり前のことを言うな」

「すみません。でも、治癒の力を保存なんかして、そんなに怪我人が多いんですか?」

「そろそろ戦争が始まるからな。需要は多い」

 せ、戦争!?

「戦争がこの国で起きるんですか?」

「この国は戦争はしないし攻め込まれない。他の国だ。今回はヴァルプール国をめぐっての戦争だ」

 ヴァルプール国……私を追放した国が?
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