【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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19話

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「お帰りなさいませ、聖女様」

「ただいま戻りました、アルバート神官長」

「おう、戻ったぞアル!」

 デートが終わって神殿に帰ってくると、神官長が待っててくれた。
 もう日も暮れるし、神官長も仕事は終わりかな?

「夕食はどうなさいますか?」

「いただきます。今日のメニューは何ですか?」

「はっはっは、一緒に食った肉料理ほどは美味くないだろうな」

「今日は焼き魚です」

「わ、今の時期だとマーインですか? 大好きなんです」

「それはようございました」

「おーい」

「それでは準備いたしますので、食堂でお待ちください」

「おーい」

「じゃあ着替えて行きますね」

「俺を無視するなアル!!」

 なぜかセルジュの事を無視してたアルバート神官長が、顔を両手で強引にセルジュに向けられた。

「ぐお! おのれ馬鹿力め、首が折れたらどうするつもりだ」

「お前の代わりなんて直ぐに用意するから大丈夫だ!」

「貴様……神官長をなんだと思っているのだ」

「バカ者」

「ききき、貴様という奴は……一度貴様とは勝負を付けなければいけないと思っていた」

「奇遇だな、俺もだ」

 セルジュが腰に差してあった短剣を抜き、神官長は長い鉄の杖を構える。
 え? え? どうしていきなり喧嘩が始まっちゃうの?

「くたばれ石頭メガネ!」

「成仏しろ直情馬鹿!」

 わわわ、止めなきゃ、でもどうやって?
 それよりも、神官長って結構強いんだ。

 オロオロしていると、騎士さんの姿が見えた。
 騎士さんに止めてもらおう!

 と、どうやら騎士さんも2人のケンカが目に入ったようで、こっちに向かってくる。
 よかった、これで喧嘩が終わる。

「お久しぶりです聖女様」

 騎士さんは私の前で片膝をついた。
 えっと? ああ思い出した。この騎士さんは以前、神殿で騎士さん達を治療した時の副団長さんだ。

「お久しぶりです副団長さん」

 思わず挨拶を返しちゃったけど、いまはそれどころじゃなくて。

「あの、2人のケンカを―――」

「聖女様。本日はご報告がございます」

 えっと、まあ喧嘩で怪我をしたら治せばいいけど、報告ってなんだろう。

「報告とはなんでしょうか?」

「は。このロナウド・ナトゥール、剣は国王陛下に捧げましたが、私個人は聖女様に捧げたく思います」

 ……ん!?

「なんだと!?」

「聞き捨てなりません」
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