31 / 60
31話
しおりを挟む
花に成長の祈りを捧げたら、一瞬で花が咲いて枯れてしまった。
このお花、キレイで好きだったのに……。
「聖女様、祈りの力は強弱の制御はできますか?」
「強弱ですか? ん~、もう一回やってみます」
もう一度、芽が出たばかりの植木鉢を持ってきて、テーブルの上に置いて祈りを捧げた。
今度は少しだけ成長して欲しい、的な事を考えながら祈ってみよう。
私の体から橙色の光が発せられ、芽が少し大きくなった。
「わ! 今度は枯れないで止まった!」
「なるほど、強弱は可能のようですね。では治癒や祝福にも強弱はあったのでしょうか?」
「そういえば……密偵さんを送り出した時、力いっぱい祝福をしましたけど、効果があったんでしょうか?」
「力いっぱい? なるほど、それで異様に早く情報が手に入ったのでしょう。セルジュも驚いていましたが、あれほどあっさり欲しい情報が手に入る事など、滅多にありませんから」
そ、そうだったんだ。力一杯の祝福は、かなりの効果を発揮してたんだ。
「それじゃあ、もう一回成長の祈りを試しますか?」
「いえ、成長はもういいでしょう。ツバルアンナの薬に効果があるとは思えませんので」
そうだった、目的を間違える所だった。聖女の力でツバルアンナの薬を解毒できないか、それが目的だった。
「じゃあ次はどれにしましょうか」
「後は破壊・支配・威圧ですね。正直どれも危険そうなので加減をお願いします」
「はーい。少しだけ! ってしますね」
「お願いします。では威圧を使いましょう」
威圧……威圧……ちょっとだけ……威圧……。
祈りの間は欠かさず少しだけ、と思いながらその場で威圧を使ってみた。
私自身はやる事に変わりが無いし、他の人が見たら何の祈りか分からないんだろうな。
私の体が紫色の光を放つ。
するとアルバート神官長が椅子から立ち上がり、何故か跪いた。
「? あの、アルバート神官長? 突然どうしたんで……!?」
テーブルが邪魔で見えないから、立ち上がってアルバート神官長を見ると、神官長は顔を青くして震えていた。
「ど、どうしたんですか!? 気分が悪いんですか!?」
「い、いえ……突然……アトリア聖女様が恐ろしくなってしまって……」
床に汗が垂れ落ちている。
えっと、威圧? 威圧の祈りのせいなの?
中止! 威圧の祈り中止ーーーー!!!
「だ、大丈夫です! もう祈りは止めてますから、膝をつくのをやめてください!」
アルバート神官長の肩に手をかけて、何とか立ってもらおうと力を入れるけど……ん~ムリ! いくら神官長が細身でも、身長差でムリ!
「ご心配を、おかけ、しました。もう、大丈夫、です」
ゆっくりと立ち上がるアルバート神官長は、それでも足が震えていた。
これは封印! ダメダメ! 二度と使わないから!
このお花、キレイで好きだったのに……。
「聖女様、祈りの力は強弱の制御はできますか?」
「強弱ですか? ん~、もう一回やってみます」
もう一度、芽が出たばかりの植木鉢を持ってきて、テーブルの上に置いて祈りを捧げた。
今度は少しだけ成長して欲しい、的な事を考えながら祈ってみよう。
私の体から橙色の光が発せられ、芽が少し大きくなった。
「わ! 今度は枯れないで止まった!」
「なるほど、強弱は可能のようですね。では治癒や祝福にも強弱はあったのでしょうか?」
「そういえば……密偵さんを送り出した時、力いっぱい祝福をしましたけど、効果があったんでしょうか?」
「力いっぱい? なるほど、それで異様に早く情報が手に入ったのでしょう。セルジュも驚いていましたが、あれほどあっさり欲しい情報が手に入る事など、滅多にありませんから」
そ、そうだったんだ。力一杯の祝福は、かなりの効果を発揮してたんだ。
「それじゃあ、もう一回成長の祈りを試しますか?」
「いえ、成長はもういいでしょう。ツバルアンナの薬に効果があるとは思えませんので」
そうだった、目的を間違える所だった。聖女の力でツバルアンナの薬を解毒できないか、それが目的だった。
「じゃあ次はどれにしましょうか」
「後は破壊・支配・威圧ですね。正直どれも危険そうなので加減をお願いします」
「はーい。少しだけ! ってしますね」
「お願いします。では威圧を使いましょう」
威圧……威圧……ちょっとだけ……威圧……。
祈りの間は欠かさず少しだけ、と思いながらその場で威圧を使ってみた。
私自身はやる事に変わりが無いし、他の人が見たら何の祈りか分からないんだろうな。
私の体が紫色の光を放つ。
するとアルバート神官長が椅子から立ち上がり、何故か跪いた。
「? あの、アルバート神官長? 突然どうしたんで……!?」
テーブルが邪魔で見えないから、立ち上がってアルバート神官長を見ると、神官長は顔を青くして震えていた。
「ど、どうしたんですか!? 気分が悪いんですか!?」
「い、いえ……突然……アトリア聖女様が恐ろしくなってしまって……」
床に汗が垂れ落ちている。
えっと、威圧? 威圧の祈りのせいなの?
中止! 威圧の祈り中止ーーーー!!!
「だ、大丈夫です! もう祈りは止めてますから、膝をつくのをやめてください!」
アルバート神官長の肩に手をかけて、何とか立ってもらおうと力を入れるけど……ん~ムリ! いくら神官長が細身でも、身長差でムリ!
「ご心配を、おかけ、しました。もう、大丈夫、です」
ゆっくりと立ち上がるアルバート神官長は、それでも足が震えていた。
これは封印! ダメダメ! 二度と使わないから!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,854
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる