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38話
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マーテリーの留学先であり現在の潜伏先、そして洗脳薬ツバルアンナの薬を周辺諸国に広げたヴァリビネ国。
その国に出向くべく、国王陛下に許可を取りに行った。
「ヴァリビネか、少し前から動きが掴めないと思ったら、そんな事をしていたとはな。よかろう、行ってくるといい」
陛下もヴァリビネ国には不穏な空気を感じていたらしく、今回に関してかなりの権限を与えてくれた。
薬関連の事ならば、戦争を起こしても構わない、と。
とはいえ、実際に戦争をするわけにもいかないから、脅し、もしくは経済制裁などやりたいことが出来る。
ヴァリビネ国への旅路は平和なモノだった。
大型の馬車に私、セルジュ、アルバート神官長の3人で乗り、ロナウド副団長は馬で移動した。
野宿の時はなぜか皆外で寝ようとしたから、無理やり馬車の中に入れて一緒に寝た。
風邪ひいたらどうするのよ。
10日ほどで到着し、ヴァリビネ国に入国をした。
そうそう、前回セルジュの変装が上手くいかなかったから、今回はかなり念入りに変装してもらった。
髪を長くして、目元に少しお化粧をして……なぜだか楽しくなってきて、そのまま女装をさせた。
「び……美人になっちゃった」
「セルジュ、お前はもう、ずっとそのままでいいんじゃないか?」
「背の高い御令嬢ですね」
「お前ら……もどせ! 今すぐもとに戻せーー!!」
しかし無情にも、ヴァリビネ国の入国手続きに入ってしまったため、そのまま女性として通る事になった。
いいなぁセルジュ、スラっと背の高い美人で。
まず向かったのは、マーテリーが居るという貴族の家。
爵位第2位の侯爵で、親子3代かけて男爵、伯爵を経て、侯爵にまで上り詰めた家。
なので国への貢献度や成果としては非常に高く、国王からの信任も厚いのだとか。
ただ、その貢献度も成果も、ツバルアンナの薬を使ったモノかと思うと、この家系は裏仕事が多かったのだろう。
近くの宿で部屋を借り、変装を解いて元の姿になる。
あ、セルジュが男の人に戻っちゃった……残念。
マーテリー達が良く目撃される店に入り、マーテリーや侯爵が来るのを待とうとすると、妙に周りが騒がしい。
なんだろう、皆私達を見てる。
「あ、セルジュが女装を解いたからかな?」
「そんなわけがあるか! お前が居るからだアトリア、聖女がこんな場所に居るからだろう」
「それだけではないでしょう。聖女様とメジェンヌ国の王太子が居るのです、騒がれな方がおかしいでしょう」
「アルバート神官長、あなたも神官姿ですし、私は騎士の鎧を纏っています。それらも含めて、では?」
つまり……私達4人は全員が場違いな格好をしているからだった!
さらにたった今、全員が身元を明かしてしまったから、店の中は大騒ぎになる。
「キャー聖女様だわ!」
「セルジャック王太子!こっちを見てー!」
「あの神官様、知的で凛々しいわ!」
「騎士様たくましい! あごの傷が勇猛さを語っているわ!」
などなど、身動きが取れなくなってしまった。
困っていたけど、良い事もあった。
マーテリーと侯爵が、騒ぎを聞きつけて姿を現したのだ。
「マーテリー王太子妃! お久しぶりです、お忍びで遊びに来たのですが、不注意でバレてしまって。かくまっていただけませんか?」
すかさず声を掛けると、マーテリーは慌てていたけど、侯爵はたいそう喜んでいた。
そりゃそうよね、聖女やメジェンヌ国の王太子を屋敷に招待するなんて、とてつもなく名誉な事だもの。
「それはそれは、是非我が屋敷へお越しください聖女様、王太子!」
こうして、想定していたよりも簡単に、侯爵の家に入る事に成功した。
その国に出向くべく、国王陛下に許可を取りに行った。
「ヴァリビネか、少し前から動きが掴めないと思ったら、そんな事をしていたとはな。よかろう、行ってくるといい」
陛下もヴァリビネ国には不穏な空気を感じていたらしく、今回に関してかなりの権限を与えてくれた。
薬関連の事ならば、戦争を起こしても構わない、と。
とはいえ、実際に戦争をするわけにもいかないから、脅し、もしくは経済制裁などやりたいことが出来る。
ヴァリビネ国への旅路は平和なモノだった。
大型の馬車に私、セルジュ、アルバート神官長の3人で乗り、ロナウド副団長は馬で移動した。
野宿の時はなぜか皆外で寝ようとしたから、無理やり馬車の中に入れて一緒に寝た。
風邪ひいたらどうするのよ。
10日ほどで到着し、ヴァリビネ国に入国をした。
そうそう、前回セルジュの変装が上手くいかなかったから、今回はかなり念入りに変装してもらった。
髪を長くして、目元に少しお化粧をして……なぜだか楽しくなってきて、そのまま女装をさせた。
「び……美人になっちゃった」
「セルジュ、お前はもう、ずっとそのままでいいんじゃないか?」
「背の高い御令嬢ですね」
「お前ら……もどせ! 今すぐもとに戻せーー!!」
しかし無情にも、ヴァリビネ国の入国手続きに入ってしまったため、そのまま女性として通る事になった。
いいなぁセルジュ、スラっと背の高い美人で。
まず向かったのは、マーテリーが居るという貴族の家。
爵位第2位の侯爵で、親子3代かけて男爵、伯爵を経て、侯爵にまで上り詰めた家。
なので国への貢献度や成果としては非常に高く、国王からの信任も厚いのだとか。
ただ、その貢献度も成果も、ツバルアンナの薬を使ったモノかと思うと、この家系は裏仕事が多かったのだろう。
近くの宿で部屋を借り、変装を解いて元の姿になる。
あ、セルジュが男の人に戻っちゃった……残念。
マーテリー達が良く目撃される店に入り、マーテリーや侯爵が来るのを待とうとすると、妙に周りが騒がしい。
なんだろう、皆私達を見てる。
「あ、セルジュが女装を解いたからかな?」
「そんなわけがあるか! お前が居るからだアトリア、聖女がこんな場所に居るからだろう」
「それだけではないでしょう。聖女様とメジェンヌ国の王太子が居るのです、騒がれな方がおかしいでしょう」
「アルバート神官長、あなたも神官姿ですし、私は騎士の鎧を纏っています。それらも含めて、では?」
つまり……私達4人は全員が場違いな格好をしているからだった!
さらにたった今、全員が身元を明かしてしまったから、店の中は大騒ぎになる。
「キャー聖女様だわ!」
「セルジャック王太子!こっちを見てー!」
「あの神官様、知的で凛々しいわ!」
「騎士様たくましい! あごの傷が勇猛さを語っているわ!」
などなど、身動きが取れなくなってしまった。
困っていたけど、良い事もあった。
マーテリーと侯爵が、騒ぎを聞きつけて姿を現したのだ。
「マーテリー王太子妃! お久しぶりです、お忍びで遊びに来たのですが、不注意でバレてしまって。かくまっていただけませんか?」
すかさず声を掛けると、マーテリーは慌てていたけど、侯爵はたいそう喜んでいた。
そりゃそうよね、聖女やメジェンヌ国の王太子を屋敷に招待するなんて、とてつもなく名誉な事だもの。
「それはそれは、是非我が屋敷へお越しください聖女様、王太子!」
こうして、想定していたよりも簡単に、侯爵の家に入る事に成功した。
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