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44話
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ハロルド様は記憶が混濁していて、私の話を聞いてくれない。
そればかりか、わが身の不幸を嘆き、私に責任があると言わんばかりの発言が続く。
「国が攻められた時もキミは助けてくれなかった。アトリアにとって、ヴァルプールは必要ないんだね」
(必要としなかったのはヴァルプールの方です。捨てられたのは私の方なのですよ!?)
私は責められ続け、やがて声の数が増えて行った。
ハロルド以外にもマーテリーが現れ、お父様も現れ、ずっと責められる。
耳を塞いで目をつむっているのに、声が聞こえる。
(やめて……もうやめて……誰か……誰か助けて!!)
声が……やんだ。
ゆっくり目を開けると、そこには何も無くなっていた。
ハロルドもマーテリーも、お父様も居ない。テーブルもアーチ状の柱もない。
私が座っているイスと……3つの柔らかい光があるだけ。
微かに赤い光は温かく、微かに黄色い光は安らぎを、微かに青い光は力強さを感じさせる。
手を伸ばすと光は私を包み込み、優しい声が聞こえてきた。
耳を澄ますと、私を呼ぶ声がする。
「アトリア」
「聖女様」
「アトリア聖女様」
声に呼ばれて、私は目を覚ました。
目の前には三人が私の顔を覗き込んでいた。
どうやら私はソファーで横になってるみたい。
「やっと目が覚めたか。どうだ? 苦しかったり痛い所はないか?」
セルジュがいる。
「まだはっきりと目覚めてはいませんね。今しばらくはゆっくりなさってください」
アルバート神官長がいる。
「良かった……騎士たる私が役立たずで申し訳ありません」
ロナウド副団長がいる。
私は倒れたの? ああそうだ、身投げしたけど、3人に助けられて、意識を失ったんだ。
何とか体を起こすけど、少し頭がボーっとしてる。
「ごめんなさい、心配かけちゃって。助けてくれて、ありがとう」
片手で頭を押さえながらお礼を言う。私、この3人に助けられてばっかりだ。
「気にするな、何度でも助けるからな。ハッハッハ!」
「神官長の私が聖女様をお助けするのは、神の真理の様なものですから」
「私は私自身をアトリア聖女様に捧げております。何があろうとお助けします」
私は……幸せ者だ。
でも私は3人に対して不誠実だ。
いつまでもはぐらかして、みんなの気持ちをもて遊んでる。
「さて、アトリアが気付いてところで、後始末といこうか」
後始末? そういえば何をしてたんだっけ。
ふと景色が目に入る。
天井も壁も無くなった部屋、床で気を失っているヴァリビネ国王。
そういえばお城に来て、ヴァリビネ国王に詰問して……セルジュが刺されて……私が暴走して……!
「あ!」
すっかり忘れてたけど、私、聖女の力が暴走して街中を壊してしまったんだった!
これは……後始末が大変そう。
そればかりか、わが身の不幸を嘆き、私に責任があると言わんばかりの発言が続く。
「国が攻められた時もキミは助けてくれなかった。アトリアにとって、ヴァルプールは必要ないんだね」
(必要としなかったのはヴァルプールの方です。捨てられたのは私の方なのですよ!?)
私は責められ続け、やがて声の数が増えて行った。
ハロルド以外にもマーテリーが現れ、お父様も現れ、ずっと責められる。
耳を塞いで目をつむっているのに、声が聞こえる。
(やめて……もうやめて……誰か……誰か助けて!!)
声が……やんだ。
ゆっくり目を開けると、そこには何も無くなっていた。
ハロルドもマーテリーも、お父様も居ない。テーブルもアーチ状の柱もない。
私が座っているイスと……3つの柔らかい光があるだけ。
微かに赤い光は温かく、微かに黄色い光は安らぎを、微かに青い光は力強さを感じさせる。
手を伸ばすと光は私を包み込み、優しい声が聞こえてきた。
耳を澄ますと、私を呼ぶ声がする。
「アトリア」
「聖女様」
「アトリア聖女様」
声に呼ばれて、私は目を覚ました。
目の前には三人が私の顔を覗き込んでいた。
どうやら私はソファーで横になってるみたい。
「やっと目が覚めたか。どうだ? 苦しかったり痛い所はないか?」
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「まだはっきりと目覚めてはいませんね。今しばらくはゆっくりなさってください」
アルバート神官長がいる。
「良かった……騎士たる私が役立たずで申し訳ありません」
ロナウド副団長がいる。
私は倒れたの? ああそうだ、身投げしたけど、3人に助けられて、意識を失ったんだ。
何とか体を起こすけど、少し頭がボーっとしてる。
「ごめんなさい、心配かけちゃって。助けてくれて、ありがとう」
片手で頭を押さえながらお礼を言う。私、この3人に助けられてばっかりだ。
「気にするな、何度でも助けるからな。ハッハッハ!」
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「私は私自身をアトリア聖女様に捧げております。何があろうとお助けします」
私は……幸せ者だ。
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後始末? そういえば何をしてたんだっけ。
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そういえばお城に来て、ヴァリビネ国王に詰問して……セルジュが刺されて……私が暴走して……!
「あ!」
すっかり忘れてたけど、私、聖女の力が暴走して街中を壊してしまったんだった!
これは……後始末が大変そう。
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