【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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45話

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 ヴァリビネ国王が倒れていたから、まずはソファーで寝てもらった。
 建物の損壊は城の上の方だけで、階下は大して破壊されていなかったのは幸いだ。
 ただ、街中の建物の損壊はあるけど、倒れている人は少ない。

 兵士や衛兵も階級の高い人が倒れていて、命令系統が完全に遮断されている。

 いま意識のある人で一番位の高い人に話をして、何とか緊急の司令部を設置したけど、入ってくる情報はとても偏ったモノに感じる。
 兵士・衛兵で倒れているのは階級の高い人のみ、これは騎士団も同じで、部隊長や騎士団長クラス倒れている。

 貴族はバラバラだった。

 次に街の様子だけど、いわゆる一般市民で倒れている人はいない。
 建物も、民家やお店は壊れておらず、貴族の家や国所有の倉庫がほとんどだった。

 どういう基準で壊れたんだろう。

「アトリア聖女様、軍をまとめる人材不足が深刻です。私が一時的に指揮権を預かりたいのですが、貴族に話を通していただけないでしょうか」

「そうですね、一応話はしてみます。でもロナウド副団長、今のこの国の状態を考えると、断られるんじゃないかと思います」

「なーにアトリア! その時は我が軍を連れてくるといえばいいのだ! そうすれば嫌でも言う事を聞くさ!」

 セルジュ怖い事を言うわね。確かに言う事を聞くと思うけど、この国を占領するつもり?

 でも意外や意外、あっさりとロナウド副団長が指揮権を握れた。
 どうやら本当に指揮を出来る人が居ないみたいで、軍の事を全く知らない貴族しかいないみたい。

 ……どうして軍の関係者ばっかりが倒れちゃったの?

 他にも倒れた貴族は多いけど、半分近くが倒れちゃったとか。
 その理由はヴァリビネ国王が教えてくれた。

「なぜツバルアンナの薬を使った者ばかり倒れおるのだ?」

 その言葉を聞いた周囲の貴族は慌てふためいている。

 ツバルアンナの薬を飲まされた人が倒れて、飲んでない人は倒れてないって事?

 えーっと、それってつまり……。

「世界征服に反対する者を洗脳し、操っていた、という事ですね。今起きているのは賛成派ですか、記憶しておきましょう」

 慌てて隠れる人が居るけど、アルバート神官長は人の顔を覚えるのが早い。多分もう覚えてる。

 そういう事なら偉い騎士・兵士が倒れたのも理解できる。
 いざという時に言う事を聞かないと困るもんね。

 そして、貴族の半分近くが世界征服をしたいというのなら、セルジュの案を採用した方がいいと思う。

「セルジュ、軍隊、連れてくる?」

「ふっ、イイ女は物分かりが早いな。早速呼び寄せるとしよう」

 こうして、ヴァリビネ国王が私の力で洗脳されたまま、メジェンヌ軍は何の抵抗もなく入国することができ、ツバルアンナの薬及び、世界征服派の貴族を一網打尽する事が出来た。
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