45 / 63
【本編】
コウヤの死
しおりを挟む
「そんな……嘘、ですよね。
悪い冗談…………」
冗談だと言いながらも、私の声は、震えている。
東城先生は、それに気付いていて尚、真剣な表情で答えた。
「冗談なんかじゃないわ。
申し訳ないけど、私、生き物に関してはシビアなの。
人間に危害を加えた動物がどういう末路を辿るか……ボランティアで関わっていたあなたなら解るでしょう?
例え、どんなに可哀想だと思っても、所詮この世界では、人間が第一なの。
私の一任では、どうしようもない……だから、諦めてちょうだい」
「…………それなら、犬ではなくて、人間の男の人、ならご存知ではないですか?
私、見たんです。
この前、ここで同じように待っていた時に、東条先生が男性と歩いているところを。
彼は、私がよく知っている人でした」
「どうだったかしら。
ずいぶん前のことで、もう覚えていないわね。
第一、私が一緒に歩いていたという男と、あなたは一体どういう関係なのかしら?」
「それは……」
私は、言葉に詰まった。
〝恋人〟? ……いや、違う。
コウヤが一方的に愛情を向けてくれていただけで、私は一度だって彼の気持ちに答えたことなどないのだから。
「……答えられないのね。
所詮、その程度の関係だというのに、何故今更あなたは、ここへ来たの?」
何となく含みのある言い方に、私は、はっと気付いた。
「やっぱり、彼を知っているんですね。
彼は……コウヤは、今どこに居るんですか?
教えてください!」
「例え知っていたとしても、私が貴方に教える義理はないわ。
とにかく、もう彼のことは忘れるのね。
きっとその程度の関係だったのよ」
その言葉を聞いた途端、私の中で何かがぷつりと音を立てて切れた。
「……あなたに………あなたに何が解るって言うんですか」
私の手が震えている。
不安や恐怖からではない。
強い怒りの感情が私の中に湧き上がっていく。
「わかるわ。
その証拠に、あなたは、すぐに私を訪ねて来なかった。……2週間もね。
本当に大事に想う相手なら、迷わず後を追うんじゃないかしら?
少なくとも、私ならそうするわ。
大事な人が目の前から姿を消したら、居てもたってもいられない。
心配でじっとなんてしていられない。
何がなんでも探し出して、見つけて、今度は絶対に離さない…………絶対に」
東条先生の強い眼差しが私を射抜く。
怒っているような、悲しんでいるような瞳だ。
私は、確信した。
この人は、やっぱりコウヤの居場所を知っている。
知っていて、わざと私を挑発しようとしているのだ。
でも、何故そんな態度をとるのかが解らない。
「……わかりません。
何故、そんな言い方をするんですか?
あなたは、まるでコウヤのことを知っているような口ぶりですよね。
あなたの方こそ、コウヤとは、一体どういう関係なんですか?」
口にしてからしまったと思ったが、もう遅い。
私は、次の瞬間、耳を塞ぎたくなるような言葉を告げられる。
「私は…………私は、彼の【運命の女神】よ」
悪い冗談…………」
冗談だと言いながらも、私の声は、震えている。
東城先生は、それに気付いていて尚、真剣な表情で答えた。
「冗談なんかじゃないわ。
申し訳ないけど、私、生き物に関してはシビアなの。
人間に危害を加えた動物がどういう末路を辿るか……ボランティアで関わっていたあなたなら解るでしょう?
例え、どんなに可哀想だと思っても、所詮この世界では、人間が第一なの。
私の一任では、どうしようもない……だから、諦めてちょうだい」
「…………それなら、犬ではなくて、人間の男の人、ならご存知ではないですか?
私、見たんです。
この前、ここで同じように待っていた時に、東条先生が男性と歩いているところを。
彼は、私がよく知っている人でした」
「どうだったかしら。
ずいぶん前のことで、もう覚えていないわね。
第一、私が一緒に歩いていたという男と、あなたは一体どういう関係なのかしら?」
「それは……」
私は、言葉に詰まった。
〝恋人〟? ……いや、違う。
コウヤが一方的に愛情を向けてくれていただけで、私は一度だって彼の気持ちに答えたことなどないのだから。
「……答えられないのね。
所詮、その程度の関係だというのに、何故今更あなたは、ここへ来たの?」
何となく含みのある言い方に、私は、はっと気付いた。
「やっぱり、彼を知っているんですね。
彼は……コウヤは、今どこに居るんですか?
教えてください!」
「例え知っていたとしても、私が貴方に教える義理はないわ。
とにかく、もう彼のことは忘れるのね。
きっとその程度の関係だったのよ」
その言葉を聞いた途端、私の中で何かがぷつりと音を立てて切れた。
「……あなたに………あなたに何が解るって言うんですか」
私の手が震えている。
不安や恐怖からではない。
強い怒りの感情が私の中に湧き上がっていく。
「わかるわ。
その証拠に、あなたは、すぐに私を訪ねて来なかった。……2週間もね。
本当に大事に想う相手なら、迷わず後を追うんじゃないかしら?
少なくとも、私ならそうするわ。
大事な人が目の前から姿を消したら、居てもたってもいられない。
心配でじっとなんてしていられない。
何がなんでも探し出して、見つけて、今度は絶対に離さない…………絶対に」
東条先生の強い眼差しが私を射抜く。
怒っているような、悲しんでいるような瞳だ。
私は、確信した。
この人は、やっぱりコウヤの居場所を知っている。
知っていて、わざと私を挑発しようとしているのだ。
でも、何故そんな態度をとるのかが解らない。
「……わかりません。
何故、そんな言い方をするんですか?
あなたは、まるでコウヤのことを知っているような口ぶりですよね。
あなたの方こそ、コウヤとは、一体どういう関係なんですか?」
口にしてからしまったと思ったが、もう遅い。
私は、次の瞬間、耳を塞ぎたくなるような言葉を告げられる。
「私は…………私は、彼の【運命の女神】よ」
10
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる