【R18】拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~

風雅ありす

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【本編】

ウサギ小屋

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闇雲に探しても効率が悪い、と言うコウヤの提案で、私たちは、いなくなる前の百合の動向を探ることにした。
そこで、一旦、大学の正門で純也と合流し、詳しい事情を聞くことにする。

「それじゃあ、百合とは、この正門前で別れたのね」

私が訊ねると、純也が暗い顔で頷いた。

「ああ……あいつ、意外とさっぱりした顔で笑ってたんだ。
 だから、まさか自殺なんて言い出すとは思わなかったよ」

「チャットには何て?」

「〝あなたが私のものになってくれないのなら、
 もう私に生きる意味は無い。
 生まれ変わったら、愛してくれますか?
 さようなら。〟…………って」

「………………なんて言うか…………ふざけて言ってるわけじゃないのよね?」

「俺だって! 最初は何言ってるんだ、こいつって思ったよ!
 でも、そのあとやっぱ気になって返信してみたたけど既読にならないし、
 電話掛けても電源が入ってないって繋がらなかったから、心配になって家に行ってみたんだ。
 そしたら、まだ帰っ来てないって言われて……
 知り合いにも聞いてみたけど、誰も知らないって言うし……って言うか、
 あいつ、親しい友達って、ほとんどいないんだ。
 いつも俺といるか、一人でいる事が多くて……だから、
 もしかしたら、お前のところかもって思って……」

「どうして私なの?」

「だって、あいつ、よくお前の話してたから。
 尊敬してる先輩だって、自分の憧れなんだって言ってた……だから」

「百合が? そんなこと……言われたこともなかった……」

「俺には、よくそう言ってたよ。
 嘘をついてるようには見えなかった。
 人の中身をちゃんと見てくれる人だって、自分も西野先輩みたいになりたいって」

「知らなかった…………」

純也の言っていることが本当だとすれば、
私は、そこまで信頼されていた後輩を裏切ったことになる。
彼女が想いを寄せている相手と付き合っていて、それを隠していたのだから。
今更ながらに後悔の念で胸が痛む。

「とにかく、急いで探そう。
 話は、会って本人に直接聞いてみればいい。
 …………こっちだ」

そう言って、コウヤが先陣を切って走り出す。
どうやら百合の匂いを嗅ぎ当てたようだ。

「おい、一体どこに行くんだ?」
「いいから、ここはコウヤに任せて着いてきて!」

純也にコウヤの正体を明かす訳には行かない。
以前、純也の腕に噛み付いた犬がコウヤだと知られたら、それこそ面倒なことになる。
私は、訳が分からないといった風の純也を追い立てて、コウヤの後を追った。

(百合……とにかく早まらないで!)


コウヤは、時折立ち止まって匂いを嗅ぐような仕草を見せながらも、
迷うことなく目的の場所へと私たちを案内してくれた。
百合は、とある学校の敷地内にあるウサギ小屋の中に居た。
どうやって入ったのか、扉には鍵がかかっていて、中には入れそうにない。
百合は、膝を抱えて縮こまっていたが、私たちの気配に気が付くと、
顔を上げて、驚いた顔を見せた。

「先輩、どうして……」

「百合! 良かった。無事だったのね。
 純也に連絡をもらって、探したのよ」

百合が私の背後へと恨めしそうな視線をやる。

「純也さん……」

「百合……お前、こんな所で何やってるんだよ!
 あんなメッセージを送ってきて、本気でも冗談でも、俺は、怒るからな!」

純也が乱暴にウサギ小屋の扉を開けようと激しく音を立てる。

「純也、ちょっと落ち着いて。
 とにかく百合は無事だったんだから。
 ……百合、とにかく、そこから出て来て、話をしましょう」

「…………話って、一体何を話すって言うんですか?」

百合が自嘲するかのように暗い笑みを浮かべる。

「百合……?」

「話なら、もう純也さんから聞きました。
 私とはもう付き合えないって。
 これからは、友達としてって……散々気を持たせるようなことをしておいて、
 ふざけるなって感じですよね。ほんと、最低の男ですよ、その人」

「……っ! それは……本当に悪かったと思っている。
 俺は、西野にフラれて、当てつけの気持ちで君を利用してた。
 許してくれとは言わない。
 でも、自分を傷つけるようなことはするなよっ……!」

「ああ……あれ、本気にしちゃいました?
 私が自殺するって?
 本気で死ぬつもりなんて、ありませんよ。
 ……まぁ、もうわかってると思いますけど。
 そうです、最後に純也さんの気を惹こうとしたんです。
 まさか先輩まで連れて来るとは思ってなかったですけど」

「百合、あなた……」
「嘘だ」

それまでじっと黙って成り行きを見守っていたコウヤが突然、口を開いた。
私も純也も、百合までもが驚いてコウヤへと視線を向ける。

「コウヤ……?」

「死ぬつもりがない、っていうのは、嘘だ。
 君は、本気で死ぬつもりだった」
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