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竜騎士になったよ
フィリックス挽回なるか
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フィリックスが全快した。原因は風邪だったのだろうかと想うけど、咳も喉も痛くなくて、ただ熱が出て体力を消耗したので少しだけ痩せている。それはそれでセクシーになったかもしれない。熱が出ていたフィリックスはアンニュイな雰囲気を出していて、俺はそれが見たくて看病を頑張ってしまった。
「シンには移らなかったな、よかった」
フィリックスが俺の額に自身の額を当てて熱を確かめる。
「風邪だったのかなぁ…熱だけでしょ?」
「うん…ここんところずっとモヤモヤと解消しきれてなかったものが今はスッキリしてな」
「そう、よかった」
フィリックスが俺の脇に手を伸ばして背中を持って引き寄せた。フィリックスの胸にダイブさせられる。
「ずっとこうしたかったのを我慢したんだ、今夜は離さないからな。ずーっと抱く」
聞きようによっちゃものすごいセリフなんだけど。フィリックスの匂いがする。温かい、優しい瞳が俺を見て、吸い込まれるように見つめてしまうと、彼の唇が静かに俺のに触れた。
ゆっくり押し付けるようなキス。少し離して角度を変えてまた何度も触れる。フィリックスはいつも、密やかでいながらも情熱のこもったキスをくれる。
「オリオンが怪我したとき、側で支えてくれてありがとうな。モンスターに遭うとはな…」
フィリックスが額にキスをしながら礼を言ってくれた。俺は何も出来ず困っていただけだ。
「大怪我だったから治せなくて、通りがかったハンターが治してくれたの…」
「へえ?」
「エリアスから聞いてないの?」
初めて聞くような顔をするフィリックスに俺は驚いた。エリアスから報告が行くだろうからとそれまで黙っていたのに。エリアスは俺の名誉を守ってくれているのだろうか、それともダリウスの存在を知られたくないのか…。
「ハンターって?」
「すごく腕の良さそうなハンターだったよ。あ、ドラゴン狩りはしないんだって」
ハンターと聞いて眉間が険しくなったフィリックスに慌てて訂正する。
「ドラゴン狩りをしないハンター…珍しいから噂には聞いたことがある。銀のダリウスっていう…」
「さあ…すぐに別れたからよく覚えてないんだ、ごめん」
あ、それですね、まさしくその人です。俺はどうはぐらかそうかと必死に頭をめぐらせていた。
「その人の焼きごてが何故かオリオン号の脇の下についてるんだよな…牧場からはオリオン号はその人にオークションで買われてここへ預けられたって言われただけだったから…目利きだなぁとは思ってたけど」
あのですね、あなたのドラゴンほんとは伝説…とは言えないチキンな俺です。ズルいよね、ほんとはこんな大切なこと、絶対伝えなければいけないんだけど。
「あの、フィリックスはいつオリオン号と出会ったの?」
「俺は竜騎士試験に合格してなっただろ?そのあと竜騎士用の候補のドラゴンに会いに牧場を回るんだけど、その時に特にお勧めのドラゴンがいますって」
「それがオリオン号だったんだ?」
「ううん」
うええ?えっ?違うの?話の流れぶった切ったよ?肩透かしを食らわせられた気分になった。
「そのドラゴンの向こうにひっそりと大人しくしてたドラゴンがいて、気になって仕方なかったんだ。それがオリオン号。汎用竜だったんだけど、俺と目があった次の日、茶色かったのがいきなり赤くなったって連絡が入って。そんな不思議なことがあるんだなって即決した。候補でもなかったから力量は劣るけど俺はこいつだって思ったんだ」
だってオリオン号、元々赤かったもん…。
「一目惚れってやつかな…オリオン号は俺の大切なドラゴンだ。俺はずっと赤いドラゴンの竜騎士になりたかったから…」
俺を抱き上げて近くにあったベッドに腰かける。俺はフィリックスの膝に甘えてもたれかかった。
「何で赤いドラゴンに?」
俺の質問にフィリックスが少し黙った。
悲しげに俯いて言いづらそうだ。ごめん、何かダメな質問だったね。
「あっ、無理に話さなくていいよ」
慌ててそう言う俺にフィリックスがぎゅっと抱き寄せた。
「昔、大好きな憧れのドラゴンがいて…そいつが赤かったんだ。いつも一緒で…」
えっ?
いつも一緒で?
俺の心拍が上がる。
「俺と…ラースみたいに?小さい頃から?」
まさか。フィリックスは微かに頷いた。それが本当なら…。
「死んだんだ。目の前でハンターに狩られた」
……!。俺は絶句した。
「俺がまだ10歳くらいかな…一緒にいたところを生まれつき赤い、美しい姿を狙われて、狩られて無惨に殺されて連れ去られた。コレクター用に剥製にでもする気だったんだろうな…俺は無力で守れなかったんだ…」
ダリウスからは剥製職人のところへ持ち込まれるところを助けたって聞いたよ…。
「そ、それ、その話、エリアスは知ってるの?」
「これはシンにだけ今初めて話してる。なんで?」
だって、それ、もう一人の伝説の竜騎士って、フィリックスだったんだ…!死んだはずの伝説のドラゴンは生きてるよ、記憶を失くしてるけど、ちゃんとフィリックスの側にいるんだよ!
きっと、フィリックスに牧場で出会った時に何かの作用があって伝説のドラゴンと伝説の竜騎士がひかれあって赤い姿に戻ったんだ…。
俺は泣きそうになった。これはとても良かった、いい話なんだ。オリオン号とフィリックスは離れなくてすむね。運命で結ばれた二人は何があっても一緒なんだ。
俺の胸にぽっかりと穴が開くような気持ちと、フィリックスの幸せを願う気持ちとが交錯する。
この優しい胸が、もう俺の居場所ではなくなる。不意にエリアスとのキスと抱擁も思い出された。優しい二人にも、俺を庇ってくれる陛下にも、竜騎士のみんなのことも。
どうしたらいいのかな?
俺は所詮、偽物の伝説の竜騎士だから。
今すぐラースに会いたい。ラースを抱き締めて、ラースと飛びたい。
ラースに抱きついて…空で誰にも見られずに泣きたいな。
今は、我慢だ。俺は俯いたまま、震える唇を止めるためにぐっと噛んだ。
今は、フィリックスの腕の中にもいたい。俺はフィリックスの体温をできるだけ感じようと目を閉じた。
「シンには移らなかったな、よかった」
フィリックスが俺の額に自身の額を当てて熱を確かめる。
「風邪だったのかなぁ…熱だけでしょ?」
「うん…ここんところずっとモヤモヤと解消しきれてなかったものが今はスッキリしてな」
「そう、よかった」
フィリックスが俺の脇に手を伸ばして背中を持って引き寄せた。フィリックスの胸にダイブさせられる。
「ずっとこうしたかったのを我慢したんだ、今夜は離さないからな。ずーっと抱く」
聞きようによっちゃものすごいセリフなんだけど。フィリックスの匂いがする。温かい、優しい瞳が俺を見て、吸い込まれるように見つめてしまうと、彼の唇が静かに俺のに触れた。
ゆっくり押し付けるようなキス。少し離して角度を変えてまた何度も触れる。フィリックスはいつも、密やかでいながらも情熱のこもったキスをくれる。
「オリオンが怪我したとき、側で支えてくれてありがとうな。モンスターに遭うとはな…」
フィリックスが額にキスをしながら礼を言ってくれた。俺は何も出来ず困っていただけだ。
「大怪我だったから治せなくて、通りがかったハンターが治してくれたの…」
「へえ?」
「エリアスから聞いてないの?」
初めて聞くような顔をするフィリックスに俺は驚いた。エリアスから報告が行くだろうからとそれまで黙っていたのに。エリアスは俺の名誉を守ってくれているのだろうか、それともダリウスの存在を知られたくないのか…。
「ハンターって?」
「すごく腕の良さそうなハンターだったよ。あ、ドラゴン狩りはしないんだって」
ハンターと聞いて眉間が険しくなったフィリックスに慌てて訂正する。
「ドラゴン狩りをしないハンター…珍しいから噂には聞いたことがある。銀のダリウスっていう…」
「さあ…すぐに別れたからよく覚えてないんだ、ごめん」
あ、それですね、まさしくその人です。俺はどうはぐらかそうかと必死に頭をめぐらせていた。
「その人の焼きごてが何故かオリオン号の脇の下についてるんだよな…牧場からはオリオン号はその人にオークションで買われてここへ預けられたって言われただけだったから…目利きだなぁとは思ってたけど」
あのですね、あなたのドラゴンほんとは伝説…とは言えないチキンな俺です。ズルいよね、ほんとはこんな大切なこと、絶対伝えなければいけないんだけど。
「あの、フィリックスはいつオリオン号と出会ったの?」
「俺は竜騎士試験に合格してなっただろ?そのあと竜騎士用の候補のドラゴンに会いに牧場を回るんだけど、その時に特にお勧めのドラゴンがいますって」
「それがオリオン号だったんだ?」
「ううん」
うええ?えっ?違うの?話の流れぶった切ったよ?肩透かしを食らわせられた気分になった。
「そのドラゴンの向こうにひっそりと大人しくしてたドラゴンがいて、気になって仕方なかったんだ。それがオリオン号。汎用竜だったんだけど、俺と目があった次の日、茶色かったのがいきなり赤くなったって連絡が入って。そんな不思議なことがあるんだなって即決した。候補でもなかったから力量は劣るけど俺はこいつだって思ったんだ」
だってオリオン号、元々赤かったもん…。
「一目惚れってやつかな…オリオン号は俺の大切なドラゴンだ。俺はずっと赤いドラゴンの竜騎士になりたかったから…」
俺を抱き上げて近くにあったベッドに腰かける。俺はフィリックスの膝に甘えてもたれかかった。
「何で赤いドラゴンに?」
俺の質問にフィリックスが少し黙った。
悲しげに俯いて言いづらそうだ。ごめん、何かダメな質問だったね。
「あっ、無理に話さなくていいよ」
慌ててそう言う俺にフィリックスがぎゅっと抱き寄せた。
「昔、大好きな憧れのドラゴンがいて…そいつが赤かったんだ。いつも一緒で…」
えっ?
いつも一緒で?
俺の心拍が上がる。
「俺と…ラースみたいに?小さい頃から?」
まさか。フィリックスは微かに頷いた。それが本当なら…。
「死んだんだ。目の前でハンターに狩られた」
……!。俺は絶句した。
「俺がまだ10歳くらいかな…一緒にいたところを生まれつき赤い、美しい姿を狙われて、狩られて無惨に殺されて連れ去られた。コレクター用に剥製にでもする気だったんだろうな…俺は無力で守れなかったんだ…」
ダリウスからは剥製職人のところへ持ち込まれるところを助けたって聞いたよ…。
「そ、それ、その話、エリアスは知ってるの?」
「これはシンにだけ今初めて話してる。なんで?」
だって、それ、もう一人の伝説の竜騎士って、フィリックスだったんだ…!死んだはずの伝説のドラゴンは生きてるよ、記憶を失くしてるけど、ちゃんとフィリックスの側にいるんだよ!
きっと、フィリックスに牧場で出会った時に何かの作用があって伝説のドラゴンと伝説の竜騎士がひかれあって赤い姿に戻ったんだ…。
俺は泣きそうになった。これはとても良かった、いい話なんだ。オリオン号とフィリックスは離れなくてすむね。運命で結ばれた二人は何があっても一緒なんだ。
俺の胸にぽっかりと穴が開くような気持ちと、フィリックスの幸せを願う気持ちとが交錯する。
この優しい胸が、もう俺の居場所ではなくなる。不意にエリアスとのキスと抱擁も思い出された。優しい二人にも、俺を庇ってくれる陛下にも、竜騎士のみんなのことも。
どうしたらいいのかな?
俺は所詮、偽物の伝説の竜騎士だから。
今すぐラースに会いたい。ラースを抱き締めて、ラースと飛びたい。
ラースに抱きついて…空で誰にも見られずに泣きたいな。
今は、我慢だ。俺は俯いたまま、震える唇を止めるためにぐっと噛んだ。
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