異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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異国での決意

シンくん行方不明

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俺はふらふらと一人で森を歩いていた。あてもなくとにかく歩く。

もう、数時間も歩いているけれど、深い山々に囲まれたこの国の森はなかなか抜けることができない。ここがどこかもわからない。多少の魔力が使えるから、夜目はきくし歩くのには困らないけれど。

寂しいけど、おかしくなるくらい寂しいけど、フィリックスとエリアスの命を脅かし続ける人生よりはいい。

俺といると、幸せになんてなれないだろう。俺のために、俺を庇って生きていくだけなんて、あの優れた二人にはとてもさせられない。竜騎士として華々しい人生を送ってほしいんだもん。
ラースだって、三匹のドラゴンに愛されて幸せそうだ。


みんな、俺といたら不幸になる。


誰にも頼らず地味に生きていくんだ。今までが幸せすぎた。

ふと、道が途切れた。見ると下は崖で真っ暗だ。

落ちたら生きていられない…か。

ラースに乗って、山の上に昇ってよくこんな景色を見たなあ。高所恐怖症でもない俺は崖っぷちの岩に座って夜の景色を眺めた。もうすぐ夜が明ける、遥か向こうの方が紫色に染まり初めていた。

俺は目を疑った。


空に、銀色に輝くドラゴンが翼を広げて飛んでいる。こちらにまっすぐ向かって。隣には緑のドラゴンと赤いドラゴンを従えるように飛んでいる。その三匹はどんどん近づいて、俺の真上を飛び、その大きな影に圧倒されるばかりだった。

崖の少し手前の大きな岩に飛び降りた三匹は真っ直ぐに俺を見つめて頭の中に話しかけた。

「ハーフドラゴン…か。まだ覚醒はしていない。その蒼はアイリスの…忘れ形見、何故こんなところに…」

白銀色の鱗を持ったドラゴンが俺を見て言った。確か母ちゃんがそんな名前だった気がする。

それにしてもこんな美しいドラゴンが三匹もいるなんて。ラース達も美しいけれど、圧倒的に皮膚の透明感が違う。

「では、ラルゴ様の…ですか」
「ああ、そうだろうな…」

緑のドラゴンが白銀のドラゴンに尋ねる。

「シン…だな、アイリスによく似ている。その青い髪も瞳も容貌も」

白銀のドラゴンは俺を見て懐かしそうに目を細めてそう言った。

俺は眉間を険しくしてそのドラゴンを見る。

父ちゃん?もしかしてこのドラゴンが俺の父ちゃんなのか?

「我が名はドラゴン族の王ラ…」
「父ちゃん!?」
「と、と?父ちゃ…?」

俺は名乗ろうとする白銀のドラゴンの言葉をぶった切って父ちゃんと呼んでしまった。面食らって固まる白銀のドラゴンに赤と緑のドラゴンが絶句して、そして爆笑した。

「王が!父ちゃんって!父ちゃん…!」

赤いドラゴンがツボってしまってゲラゲラ笑ってのたうち回っていた。

「こら!シーザー!笑いすぎだぞ…父ちゃんて…ラルゴ様がっ…ブっフォ…!」

諌める緑のドラゴンも続いてツボる。真っ赤になった白銀のドラゴンが咳払いをすると、二匹のドラゴンはぷるぷる震えながらも体裁を繕った。

「シン、アイリスの残り香かと思って飛んできてみればまさかのお前に会えた。アイリスが黙って私の元を離れてお前を産んだのは知ってるが、気配を隠されていて今まで消息を掴めなかったのも事実…今までどこにいた?青い使い魔のドラゴンをつけておいただろう?そいつも何処にいる?」

ラースのことか…。気配を隠すって…、ジジイ達が辺境で俺を守っていてくれていたことか。それに王宮にいるときはエリアスとフィリックスが俺を守ってくれていた。魔族に見つからないようにするために、魔法で俺の匂いを消していたんだろうな…。

「丸腰のお前を狙ってそこまで魔物たちが集まって来ていたのに気づいているか?…まだ奴等は離れてお前を狙っているぞ」

えっ?

俺は赤いドラゴンにそう言われて慌てて周囲を見回したけれど、なにも感じない。

「よくもまあ今まで無事でいられたな…シン、アイリスはもういない。治らない病だった彼女を愛してお前が生まれた。ハーフドラゴンが生きていくには相当の覚悟と苦労が必要だ、私はドラゴン族の王、異世界にアイリスとお前をつれていけはしなかった…だがアイリスの命もそう長くはなかったんだ。だから、彼女の命が尽きるまで側にいた…お前を探したがアイリスが隠してしまって見つからなかった。父王は人間が嫌いだったから処刑されるかもしれなかったからだ。ましてや王子だった私の子が人間の血を引いているなど許せなかったのだろうな、アイリスはお前を生んでどこかの村に隠したのだろう…よくも無事でここまで育った」

白銀のドラゴンの俺を見る目が優しい。

「父ちゃんと母ちゃんは、俺を捨てたんじゃなかったの?」

また赤いドラゴンと緑のドラゴンがツボって吹きだす。赤いドラゴンの頭を白銀のドラゴンが軽くスパーンとはたいた。

「シーザー!ジュール!ツボるな!…ああ、シン、私は人間が好きだ。この赤いシーザーも緑のジュールも人間をこよなく愛している。ドラゴン族では異端なのだろうがな…そのせいでお前に苦労をかけてしまった。だが私は先王の跡をついで王になり、誰も咎めるものはいない。時々人間界に来てこうしてアイリスを想って飛んでいたんだ、そこにお前に会えるなんて…」

結局白銀のドラゴン、ラルゴ王は俺の父ちゃんなんだな。母ちゃんはもういなくて。

「あの、一つだけ聞いてもいい?」
「何なりと答えてやろう」

俺な思いあまって質問を口にした。白銀のドラゴン父ちゃんは何でも答えてくれるらしい。


「母ちゃんがヤンキーだったって本当?」


ブフォ!


赤いドラゴンと緑のドラゴンがまた吹いた。

「っ…誰がそんな…」

白銀のドラゴンが険しい顔をした。

「長老だよ、村のジジイたちもみんな言ってたもん」

「アイリスは誰からも愛される可憐な乙女だった!美しくてたおやかで…最高の女性だった。お前にも愛する人がいればそれがどれだけ最高で美しい存在かわかるだろう?」

俺はその返答に黙りこんだ。

エリアスとフィリックスの笑顔が浮かぶ。



今、父ちゃんと奇跡的な出会いをしているのだろうけれど、俺の心はそこまで晴れ晴れとはしなかった。

心の奥にはエリアスとフィリックスと。

ラース…。































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