異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

文字の大きさ
99 / 113
異国での決意

対決

しおりを挟む
「王宮にいながら、ずっとずっと探してたんだ…シン、もう離れるな、もう俺たちは守ってやるって言わない、一緒に生きていこう」

エリアスが俺の耳許でそう囁く。肩をポンと押して剣を抜いた。

フィリックスが頬を撫でて俺の瞼にキスをする。

「シン、頼むぞ」

彼も手に炎を灯し、ドラゴン族3人を睨み付ける。

エリアスが先に仕掛けた。雷撃を纏った彼が剣を振りかぶってジュールに飛びかかる。

ギィン!!!

ジュールが大きな剣を構えて胸の前でそれを凌ぐ。2人ともギリギリと歯を食い縛って力でねじ伏せようとしている。

「っ、く…!人間にしては…!」

ジュールが口角を上げて肩をいからせると剣を弾きかえしてエリアスを撥ね飛ばした。宙に飛ばされたエリアスが膝をついて着地したとたん、またジュールに速攻をかけた。今度は大きな雷撃を剣に纏わせて鞭のように襲いかかる。

「!!」

意表を突かれたジュールが防戦するために咄嗟にシールドの魔法を張る。そこへ赤いドラゴンシーザーが黒い炎の塊となって飛び込んできた。

「はっ!なかなかやるじゃねえか人間!」

シーザーが笑ってエリアスに斬り込み、そこへ先ほどまで戦っていたフィリックスが炎を上げてシーザーに襲いかかる。直撃を受けてシーザーが爆発した。

「おおー…パンチ効いてんな!おもしれぇ」

フィリックスの炎をものともせず、シーザーは傷ひとつ負っていなかった。ジュールも余裕の笑みを浮かべている。エリアスとフィリックスが思い切り2人を睨み付けた。

「よーし、シン!俺が相手だよぉ」

黒いドラゴンユウキが爽やかに笑って俺の前に立つ。

「シン!言っとくがユウキは俺たちの誰より強いから!バケモンだからな!」

と、シーザーが声をかけた。

「バケモンとは失礼な、シーザー」

ユウキが笑う。

ええっ!?このふにゃふにゃしたユウキが一番強いの!?まさか!?俺もエリアスもフィリックスも目を剥いてユウキを見つめた。

「ええーーー!お、お手柔らかにお願いしまぁす!」

俺は冷凍光線をユウキに思い切りぶつけた。

「いいよぉ~」

ユウキがそれを手のひらで受けて凍りついていく。ぶんぶんと手を振るとそれはパキパキと音を立てて表面だけが粉になった。結構威力あると思ったんだけどなぁ。

「おお、なかなかやるね、俺じゃなきゃかなりいけてるかも…シンは氷ならシーザーとやったほうがいいよね?」

にこにことユウキが笑う。

「分かれて戦う時はおのおの属性を見て、ダメージが与えられるのを選んで戦ったほうがいい。金髪くんは俺と戦ったほうがいいね、炎のシーザーはシンと、で、黒髪くんは雷撃のジュールかな?あと、単独でもいいけどコラボの力を三人で練習したら?」

ユウキは俺に戦いかたを教えてくれてるんだな。

「相手の属性がわかんない場合はどうするの!?」

俺は素朴な疑問をユウキに投げる。

「えー!?!その時は潔くやられとく?」

ユウキが笑いながら即答し、ジュールとシーザー、エリアスとフィリックスの首が一斉にコキッと軽くコケた。

「ユウキ!バカなこと言わない!シン、そういうときは一撃与えて様子見てチェンジしろ!コラボや三人いるメリットを考えろ。そこの人間二人はかなりの戦いのプロだろう…手合わせしてわかった、シンの彼氏二人は相当な戦闘力だ、あとはシン」

ジュールが俺に話し始めた。

「もう少し強くしてやりたいが…シンはどうしたい?」

「俺は…」

俺は口ごもった。エリアスとフィリックスと一緒にいたい。でも、王宮には戻りたくない…。俺といることで何も知らない人々が巻き添えになるなんてもう嫌だ。俺はこれからずっとトラブルメーカーなんだから。

「あのな、いいか?」

エリアスがはーいと手をあげた。

「はい金髪彼氏言ってよし!」

シーザーがエリアスに、びしりと指を差す。

「俺達、来週で王宮と騎士の契約が切れるんだ。そっからはフリーのハンターになる予定」

「はっ?ハンター!?」

俺はエリアスの言葉に声が裏返ってしまって全員にささやかに笑われた。恥ずかしくて真っ赤になった。

「くそ、いちいち可愛いなシン…俺の実家はハンター一族、グリーン家だ、そこを拠点にして活動する。ドラゴンも一緒だ。実は、ラースは実家で預かってもらっている」

ラースが!?

「グリーン家か…ダリウスは元気か?」

赤いドラゴンシーザーがエリアスに尋ねた。知り合い…?まあ、業界が似てるもんなぁと俺は少し納得がいった。

「あいつがドラゴンを狩らないのは俺との友情なんだ」
「友情…?」

全員が一斉にシーザーを見る。中でもジュールとエリアスがすごい顔をして懐疑的だった。シーザーが焦って苦しそうに言い訳をする。

「ち、違うぞ!?本当に友情だからな!まあたまに健康チェックとかを体でやるけど、お互い健康チェックだから!」

シーザーがへんな汗をかきはじめ、エリアスはじめ、ドラゴン族3人がギャーギャーやりあっている。

フィリックスが俺の手をそっと握ってきた。見上げると彼の穏やかな紫の瞳が見下ろしている。その吸い込まれそうな綺麗な目に見惚れた。

「フィリックス…」
「もう、どこにも行かせないからな。自分だけで背負うな。俺にも分けてくれよ」

フィリックス…。俺の涙腺は決壊しそうだ。

彼がそっと俺の顎に手をかけて、顔が近づいてきて、そっと唇に重なった。

優しい、フィリックスの柔らかい唇。心の中に愛が溢れてきて、俺から涙が一筋落ちた。

「あーっ!」

ユウキとジュールの声が聞こえた。

「フィリックス!お前…シンっ!」
「お先にいただきました」

エリアスが悔しげに唇をかみ、フィリックスがにこやかに笑う。こちらに猛ダッシュで走ってきたエリアスが俺を奪い取るように抱え込んでそのまま強引に唇を奪った。

「うぉぉすげえなシン…!愛されてんな!もう離れるなよ!俺らが応援してやっから」

シーザーが腕を組んで口笛を吹いて冷やかし、ユウキはうんうんと頷く。

ジュールが、エリアスに抱き締められる俺を見ていた。

その表情はとても満足そうだった。






























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~

槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。 公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。 そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。 アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。 その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。 そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。 義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。 そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。 完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス

オレの番になって──異世界に行って愛猫の番にされる話

まめ
BL
不慮の事故により、異世界に転移することになった神木周。 心残りは、唯一の家族だった愛猫・ネロのことだけだった。 ──目覚めた草原で再会したのは、見覚えのある大きな黒い獣。ネロが追いかけてきてくれたのだ。 わからないことばかりの異世界だけど、ネロがいるからきっと大丈夫。 少しずつ心をほどき、神に招かれた世界で穏やかな毎日を楽しむ周たち。 しかし、そんな彼らに不穏な気配が忍び寄る―― 一人と一匹がいちゃいちゃしながら紡ぐ、ほのぼの異世界BLファンタジー。 こんにちは異世界編 1-9 話 不穏の足音編 10-18話 首都編 19-28話 番──つがい編 29話以降 全32話 執着溺愛猫獣人×気弱男子 他サイトにも掲載しています。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...