国王様は新米騎士を溺愛する

リアン

もうはなれない

「俺は嫉妬してる。」

そう言われて俺は驚いた。拗ねたようなルークの瞳に俺が映っている。

「俺だって…ずっとリアンの側にいたかった。お前が２歳で王宮に来てから５歳までの３年間、どれだけ幸せだったか。毎日一緒にいて、一緒に眠って。離れたくなかった…。そんなお前を10年もジェットはずっと独り占めしてたんだろ？」

独り占め…言われてみるとそうかな？とにかくジェットは優しい父親だったからなー。
ジェットが好きすぎて、俺はファザコンなのかもしれない、とマジで悩んだ時期もあったな。
ジェットが陸に上がる時も死ぬまで絶対一緒にいようと思って俺もついていった。３ヶ月前。死に水もとったし、水葬もした。しばらく落ち込んで立ち直れないかもしれなかったくらいだった。
俺、痛い子だったな…。

そんなことを考えてる間もルークが俺を抱き締めたまま離さない。

ルークの腕に力がこもった。痛いくらいだ。

不思議そうに見つめる俺に言いづらそうにルークが目を伏せた。俺の肩に顔を埋める。

「ルーク…兄さま？」

俺は昔のようにまたルークを呼んだ。
それを聞いて、意を決したように息を吐いて俺を見つめ直したルークが言った。

「リアンがいなくなってから、探したかったけれども王子の俺は色々とあってな…。お前を探したくても探せなかった。俺がやっと即位してからずっと、ずっとリアンを３年間探してたんだ…。可愛い弟がやっと見つかった。」

少しルークの表情が険しくなる。

「今度は絶対離さないからな。俺の10年の念願がやっと叶ったんだから。」

俺の目をじっと見つめるルーク。俺は何だか胸が熱くなった。そんなに俺のことを探してくれたんだ。

「あの、ルーク…。」

俺が言いかけたとき。

ガシャーーーン！

いきなり俺の後ろの窓が勢いよく割れた。