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9 派遣ギルドです

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 結局、手土産を渡した事でニンゲンとの誤解は解けたみたい。

 気を失っていたレギオスさんも目を覚まし、一旦、話を聞いて貰える事となった。

 服が無かったパパは、ギルド長のレギオスさんにギルドローブを貸して貰った。
 ネガティブも治ってすっかり元気になったみたい。

「改めましてオレはガロウだ……そして、この子は娘のリュカ……」

「取り乱してすまなかった。俺はレギオスだ。そして、あの子は息子のロアだ」

 さっきの少年がテーブルにお茶を運んで来る。
 さっきは怖かったけど、落ち着いて見てみると優しそうな少年みたい。

「ロアだ。よろしくな」

「よよ、よろしく、私はリュカだよ」

 目を泳がせながら握手し、ロアくんも椅子に座った。

 ……初めて触るニンゲンの手は細くて冷たい。
 パパのがごつすぎるだけかな。

「早速だが……オレとリュカをギルドの仲間にしてくれ……」

 パパがそうお願いすると、レギオスさんがギルドについて話してくれた。

「知らないみたいだから先に言っておくが、ここは派遣ギルドだ」

「「ハケンギルド?」」

 パパと同時に首を傾げる。
 ハケンギルド……また難しい言葉が……ここって冒険者ギルドじゃないんだ。

「派遣ギルドは冒険者ギルドと違って、国が認めた正式なギルドじゃない。主な仕事は街の中にある冒険者ギルドに人材を派遣する事だ」

 何だろう、違いがよく分からない。

 難しい顔をしていると、ロアくんが投げやりに言葉を付け足す。

「強いやつは冒険者ギルドに入る。つまり、この派遣ギルドに来る奴らはみんな落ちこぼれなんだよ」

 なるほどぉ、色々、事情があるみたい。
 パパは特に興味なさそうに、いつも通りの低い声を響かせた。

「ギルドの事情などどうでも良い……オレはただ、リュカと共にニンゲンの生き方を学びにきただけだ……」

「「はぁ?」」

 今度は、ロアくん親子が同時に首を傾げた。

「初めから思ってたけど変な奴らだなぁ……まぁとにかく契約って事で良いんだよね父さん?」

「ああ、どの道うちは人手不足だからな」

 ロアくんがギルド加入の書類を持って来てくれた。

「世話になる……」

「帰らなくて良かったねパパ!」

 森を出た時はどうなる事かと思ったけど、ついにニンゲンの仲間にして貰えるんだぁ。

 2人とも良い人そうだし、とりあえずここで頑張ってみよう。

 にこやかに書類にサインしていると、ロアくんが立ち上がった。

「よし! それの記入が終わったら、次は2人の実力を計らせて貰う」

 へぇ、実力テストなんてあるんだ。
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