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8 オモテナシです
しおりを挟む騒ぎを聞きつけたニンゲンが、勢い良く部屋の中に突入してきた。
「父さん! しっかりして! 目を覚ましてくれ!」
またニンゲンが増えた! 様子を見た感じ、あの男の子はおじさんの子供みたい。
年は私と同じくらいかな。
いやいや、なんて悠長に観察してる場合じゃなかった。
パパはこんな状態だしどうしよう……。
突入してきた少年は、おじさんの安否を確かめるのに夢中になっている。
逃げるなら今しかないよね。飛行魔法で天井を突き破って脱出しよう!
「ごご、ごめんなさい! お邪魔みたいだし、もう森に帰るね! ほらパパ! 帰るよ!」
「ムリだ……」
「無理じゃないよ!」
パパを引っ張って部屋から飛び出そうと頑張っていると、少年が大きな声で叫んだ。
「待て‼︎ それを見せてくれ!」
表情が豹変し、鬼気迫る顔で私に近づいてくる。
ニンゲンのその目が、私が抱えていた手土産の瓶に釘付けになっていた。
「間違いない……その赤み……それに粘度……これはまさしくエレファントタートルの体液じゃないか!」
「え……うん。そうだよ」
「そ、それを譲ってくれ‼︎ クエストに必要なんだ! 譲ってくれたらなんでもする!」
す、凄い……本当にパパの言った通りだった!
パパと一緒に選んだ手土産にニンゲンが平伏してる。
これがニンゲン族のオモテナシってやつなんだー。
「体液ならあげるよ。その為に採ってきたんだし」
「ほ! 本当か!?」
瓶を差し出すと、今度はニンゲンの男の子がぶつぶつと独り言を言い始める。
「い、いや……やっぱり、こんな高価なものをただで受け取る訳には……」
ニンゲンって変に真面目だ。
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