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【追加】最終話の後【過激表現あり】
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キスの後、「今日は私が!」とはりきり始めたシイは、侃爾の身体をひたすらに舐めていた。侃爾がいつもそうするように、ゆっくりと舌先を伝わせ、あるいは皮膚をちゅうちゅうと吸って。凸凹とした腹筋を気に入り何度も舐め上げていると、侃爾がシイの名を呼んだ。
子どもの戯れのようなそれをもどかしく感じた。顰め面には、僅かな余裕の無さが含まれている。
「もういい。そろそろこの先がしたい。後は俺に任せて横になっていてもらえると助かる」
その機微を敏感に察知したシイが、薄い布団を足元に避けて起き上がり、侃爾の顔に尻を向けて彼の胴を跨いだ。
「私、この先どうするかちゃんと知ってますよ。ルカさんが教えて下さいました。ええと、これを……失礼します」
侃爾の顔を振り向き話してたシイは、言い終えて恐る恐るといった手つきで侃爾の股間に手を伸ばした。触れた先にあったのは硬くなった一物だった。
浴衣の上から敏感な先端を掴まれた侃爾が思わず呻く。同じ時にシイも「ひゃあ」と間の抜けた声を上げた。
「わ、こ、これ、かた…………っ」
「突然触れておいて化け物に会ったみたいな声出すなよ」
「い、いつもこうなんですか?」
「そんなわけないだろう。……ルカめ、説明を省いたな」
侃爾がぼやいていると、シイは月明かりの中でそれを布の上からじっと見つめた。そして掴んだままの丸みを握ったり擦ったりと、まるで実験と観察をするように繰り返した。
その度、侃爾の身体が強張る。
シイの乗っている硬い腹がビクリと跳ねる。
その反応に手ごたえを感じてか、シイは口元を緩めながら休みなく手を動かした。
「可愛いですね」
シイは場違いなほど暢気に声を弾ませる。
侃爾はシイに尻を向けられながらひそかに苦い顔をしていた。
玩具にされるのも悪くない、と思っている己自身がひどく変態的に思えた。
シイが丸い先端から竿のほうへ手を滑らせ、硬く立ち上がった浴衣の胴部分を握り込む。
そして、丁寧に形を確かめながら「松茸みたい……」と呟くので、侃爾は堪えきれず噴き出した。
「何だその例え」
「に、似てませんか? 松茸……?」
くくくと侃爾が声を噛み殺して笑う。
そして「本物見てみるか?」とシイに尋ねると、返事が戻る前に帯を解き、ステテコを脱いでその物とシイの前に披露目た。
予想外にもシイは何も言わなかった。
ただ立ち上がった陰茎をまるで見つめ合っているみたいにじっと見て、大きく息を吸うとしみじみと、
「やっぱり松茸に似ていますね」
と感想を述べたのだった。
侃爾はまた愉快そうに笑い声を上げて、背を向けたままのシイの脇腹を両手で掴み、「この後、ルカはどうしろと言っていたんだ?」と意地悪く口角を上げた。
「え、ええと、確か、松茸を…………」
シイは言いながら上半身を前に倒して、――そして、侃爾の亀頭をぱくりと咥えた。
「…………っ」
突然、温かく濡れた粘膜に包まれて、侃爾は全身の産毛を起立させた。
電撃を受けたような快感が、股間から指先まで一瞬にして伝わる。
シイは口内で飴をそうするように亀頭を転がし、そしてそのまま竿の根本までそれを飲み込んだ。
瞬間、噎せて口の中から吐き出す。
「頼むから無理はするな。もう十分だ」
侃爾がシイの腰を撫でると、シイは涙の滲んだ目で侃爾を見て、「どうしたら気持ちよくして差し上げられますか?」と訊いた。ルカはそれを舐めればいいとひどく大雑把に伝えたらしいが、実物を見てどうすればいいのか分からなくなったと言う。とりあえず全体を口に含んで擦ってもらえれば、……と言葉にしかけたが、口の小さいシイには少々無理がある、と考え直した。
シイは途方に暮れた顔をしている。
侃爾はそんなシイを見て、気まずげに、
「竿のほうは手で扱いて、先の方は咥えてもらえると、……多分いい」
と羞恥に声を掠れさせながら答えた。
シイはうんうんと勢いよく頷いて、再び陰茎と向かい合い、言われた通りに竿に手を、鈴口に開けた口を近付けた。
シイが優しく食む。
柔らかい手がゆるゆると上下する。
時折、舌先が尿道口を擦ると、弱点を突かれたような危機感と強烈な快感を覚えた。
不慣れな所作すら侃爾の興奮を煽った。たまに刺さる犬歯すら心地良く感じる。
すぐに、尿道にせり上がってくるものを感じた。
意識していないと堪えきれなくなりそうだった。
侃爾は羞恥と焦燥感を感じてシイの腹に手を回し、帯の先を引っ張った。解けたそれを抜き取って、彼女の浴衣の前を広げる。湯文字の結び目も解くと、裾を捲るだけでシイの白い肌がよく見えた。そこまでしても、侃爾を喜ばせることに必死なシイは、自分の無防備な姿に気付かなかった。
侃爾はシイの二つの曲線を眺める。
男には無いゆたかな脂肪。
甘く滑らかそうな肌。
そして侃爾はその山の間に、潤沢な泉を見つけた。
夜の暗さの中でもつやつやと濡れている女性器に、侃爾は中指の先を近付ける。
つ、とその窄まりに触れると、シイの身体が激しく揺れた。
亀頭が外気に触れる。
「え、な…………っ」
「そのまま続けていいぞ。俺はこっちを弄ってるから」
今度は浅く指を入れる。擽るように動かすと、シイの腰が引けた。
「あ、それ、……や、です」
「シイも気持ちよくなる練習をしような」
シイの中に侃爾の中指の第一関節までが埋まる。
ゆっくりと慣らすように内壁をなぞり、侃爾は膣内の感触を確かめる。
「やだ、やだ、指回さないで…………っ」
「痛いか?」
「…………っ、い、痛くは無いけど、へんな感じがし――……きゃあっ」
指の挿入が深くなると、シイは増して高い声を上げた。
シイが逃げようとするのを腹に腕を回して制して、侃爾は彼女の抵抗とは裏腹に濡れそぼっていく蕾を丁寧に慣らしていった。一本の指が付け根まで挿入出来るようになるまでは大してかからなかったが、二本に増やすと狭い膣口がその侵入を防いだ。
シイも痛みに引き攣った声を上げるので、侃爾はそれをひどく哀れに思い、
「今日はここまでにするか」
と指を抜いた。――抜こうとしたが、シイがその手を掴んだ。
「もう、嫌じゃないです、から、……まだ、このままして下さい」
「しかし、痛いだろ」
「侃爾さんに任せてればすぐ慣れるって、ルカさんが言ってました」
「…………あいつ、適当なこと言いやがって」
侃爾はルカのアカンベェを思い浮かべながら眉根を寄せた。
そしてシイの中に入れていた二本の指で、腹側の内壁を優しく擦る。指はぬるぬると滑らかに動く。
第二間接までも達していないが、そのままの深さで中指と人差し指をバラバラに動かしたり、膣内を広げているうちに、シイの口から漏れる声に熱が混じってきた。
「気持ちいいか?」
少しずつ指を抜き刺ししながら問う。
シイは「ん……っ」と呻いて、首を何度も縦に振った。
その反応を見て、侃爾はそっと指を抜いた。上半身を起こし、己の上に跨っていたシイを仰向けに寝かせて、彼女の足の間に己の身体を入れ込む。
「今、このまま入れてしまいたい。――が、シイが嫌ならばやめる」
侃爾は余裕の無い目でシイを見下ろした。
浴衣がはだけたままのシイは、侃爾のまっすぐな瞳に小さく身を震わせて、
「私も、してほしいです。痛くても平気です」
と侃爾に両手を伸ばした。
その腕を己の背に回させて、侃爾が苦笑する。
「痛いのは駄目だ。無理はさせたくない」
「でも、知りたいです。愛しい人と繋がるということを」
シイは微笑んで、侃爾を抱き締めた。
そして雛鳥のように口を開いた。
侃爾はそれに誘われたように口づけをした。口内を侵し合い、ただそれだけなのに汗が噴き出た。互いの呼吸と唾液が混じるにつれ、別個体としての輪郭が溶けていく感覚がする。
息が上がってきた頃に唇を離した侃爾は、蕩けた表情のシイの頬にキスをして、次いで肩口にガブリと犬歯を食い込ませた。
「う、…………っ」
シイが声を漏らしても、侃爾は顎の力を弱めなかった。皮膚を、脂肪を、筋肉を突き破るほどに歯を立てて、決して獲物を逃がさない肉食動物のように齧りついたまま、暫くそのままシイに痛みを与え続けた。
我を取り戻したように顔を上げた時、シイの目からは涙が零れていた。
彼女の左の肩には内出血を起こして点々と紅い痕が残っていた。皮膚が破れていないのだけが幸いだった。
「やり過ぎたか」
と侃爾がシイの涙を拭きながら消沈していると、彼女は満足そうに、
「私これ好きです」
と嬉しそうに微笑んだ。
「好きだと言われても、俺は気が引けるがな。……こういうのじゃ駄目なのか?」
侃爾が納得いかないような顔で視線を下げ、シイの胸の先端をに舌先をあてる。「わあっ」とシイがあからさまに驚いたように叫んだ。
しかし侃爾は聞こえなかったふりをして、シイの片方の乳首を上顎と舌の間で軽く潰し、もう片方を指で摘まんだ。
「あ……や…………っ」
「嫌?」
侃爾は言ってすぐに舌でその先端を擽る。
「っ……じゃないけど、は、恥ずかしい…………」
「可愛いな」
侃爾は呟いて、徐々に硬くなっていくそれに刺激を与え続ける。
指で、舌で、つつき、舐め上げる。
ベロリ。
「うう、やだ……ぁ……」
「『やだ』じゃないだろ」
「だって、……どうしたら」
「『気持ちいい』でいいんじゃないか?」
唾液で濡れた突起を指の腹で引っ搔かれた時、一層高い声を上げたシイは上気した顔で、
「――……気持ちいい」
と戸惑いながら言った。
それを聞き、侃爾はひそかに口の端を上げた。
そして今度は彼女の下の突起に手を伸ばと、同じようにそれを撫でた。急速に快感を引き出されたシイが身体を痙攣させる。ヤダヤダと頭を振っても、侃爾はそこを可愛がった。
やがてシイが溺れたように侃爾の胸に縋りついた時、彼は漸く手を止めた。
「まだ、終えないつもりなんだが平気か?」
「平気じゃないです。身体が変です。続きも、……してください」
シイはのぼせた顔で今にも泣き出しそうに言った。
侃爾は彼女の足を開き、屹立したままの陰茎を膣口にあてがった。鈴口がぬるぬると滑る。僅かに力を入れて進めれば、思っていたよりずっと滑らかにそこに飲み込まれた。――が、中は十分に潤っていたがやはり狭く、ぎゅうぎゅうと抱き締められるように性器を圧迫された。
陰茎の半分ほどを埋め、ビクビクと腰を跳ねされるシイの様子を窺うと、彼女は浅い呼吸をしながら「ぜんぶ、はいりましたか?」と涙を一滴零した。
侃爾が気まずそうに、
「まだ半分」
と答える。
シイは恐怖に顔を歪ませたが、一拍置いて覚悟を決めたように「もっと下さい」と催促した。
「痛かったら言えよ」
侃爾が狭い所を押し進む。無理矢理こじ開けていく罪悪感と快感が混じり合い、侃爾のそこはますます硬度を増していった。
陰茎の根本まで入りきった時、シイは自分の腹を撫でて、
「おなかが苦しい」
と濡れた瞳で侃爾を見上げた。
「……抜くか?」
言いながら、侃爾はもう後戻りはさせてやれないとどこかで思っていた。
シイもふるふると頭を左右に振り、続けてほしいと返した。
出来るだけ負担にならないようにと、侃爾は緩慢に腰を動かした。くちゅくちゅと卑猥な音が静寂を騒がせる。シイが上げる泣き声――のような嬌声が部屋の隅まで行き届く。時折上下の尖りを弄るとますます声が高くなった。
侃爾には全く余裕が無かった。
元来、感情を表に出すのが得意な性質ではないことは自覚していたが、この時ばかりは平然としていられなかった。何度もこめかみを汗が伝った。切羽詰まっている。
シイも慣れない感覚に翻弄されているような表情と喘ぎ方をしていた。
負担を掛けたくないのに、昂っていくと抑制が利かず腰の運動が早くなる。己の快感だけを追いかけてしまいそうになる。
「シイ」
侃爾は彼女の名を呼んだ。
「好きだ、シイ」
瞑っていたシイの目が切なそうに侃爾を見る。
「ずっと愛している」
侃爾はシイの唇を奪い、呼吸をする間も与えないほどに口内を貪った。性器が擦れて互いの熱が高まっていく。呼吸困難。浮遊感。くぐもったシイの声。
『侃爾さん、私も――――………』
瞬間、激しく身体が緊張し、そして急速に山を下りるように弛緩した。
侃爾とシイは脱力して、身体を重ねて放心したまま動けなかった。
繋がった喜びが、愛しさが、全身から溢れて止まらなかった。
先に呼吸を整えた侃爾が問う。
シイは目尻の涙を拭いながら、
「気持ちよかったです」
と小声で言って恥ずかしそうに視線を逸らした。
「いつでも練習台になるから」
「う、……私、ちゃんと練習出来てますか?」
「ああ。少なくとも俺はすでに十分な満足感を得ている」
そうですか、とシイは照れたような顔で侃爾を見た。
「私も気持ちいいと思いました」
「それはよかった」
「あの、また、近いうちに……して頂けませんか? 練習」
シイのおねだりに侃爾が柔和に笑う。
「いつでもいい。俺もしたいし、シイのことをもっと愛したい」
うう、とシイは袖で顔を隠して呻いた。
熱い蜜の中に沈んでいたような時間が、初夏の夜の生温い暑さの中に戻っていく。
汗をかいた身体で、甘ったるい気だるさのまま侃爾とシイは眠りについた。繋いだ手は朝まで解けなかった。
障子から差し込む陽に、晩の情事の痕が浮かんでいた。
愛を刻んだように、無数に、残っていた。
子どもの戯れのようなそれをもどかしく感じた。顰め面には、僅かな余裕の無さが含まれている。
「もういい。そろそろこの先がしたい。後は俺に任せて横になっていてもらえると助かる」
その機微を敏感に察知したシイが、薄い布団を足元に避けて起き上がり、侃爾の顔に尻を向けて彼の胴を跨いだ。
「私、この先どうするかちゃんと知ってますよ。ルカさんが教えて下さいました。ええと、これを……失礼します」
侃爾の顔を振り向き話してたシイは、言い終えて恐る恐るといった手つきで侃爾の股間に手を伸ばした。触れた先にあったのは硬くなった一物だった。
浴衣の上から敏感な先端を掴まれた侃爾が思わず呻く。同じ時にシイも「ひゃあ」と間の抜けた声を上げた。
「わ、こ、これ、かた…………っ」
「突然触れておいて化け物に会ったみたいな声出すなよ」
「い、いつもこうなんですか?」
「そんなわけないだろう。……ルカめ、説明を省いたな」
侃爾がぼやいていると、シイは月明かりの中でそれを布の上からじっと見つめた。そして掴んだままの丸みを握ったり擦ったりと、まるで実験と観察をするように繰り返した。
その度、侃爾の身体が強張る。
シイの乗っている硬い腹がビクリと跳ねる。
その反応に手ごたえを感じてか、シイは口元を緩めながら休みなく手を動かした。
「可愛いですね」
シイは場違いなほど暢気に声を弾ませる。
侃爾はシイに尻を向けられながらひそかに苦い顔をしていた。
玩具にされるのも悪くない、と思っている己自身がひどく変態的に思えた。
シイが丸い先端から竿のほうへ手を滑らせ、硬く立ち上がった浴衣の胴部分を握り込む。
そして、丁寧に形を確かめながら「松茸みたい……」と呟くので、侃爾は堪えきれず噴き出した。
「何だその例え」
「に、似てませんか? 松茸……?」
くくくと侃爾が声を噛み殺して笑う。
そして「本物見てみるか?」とシイに尋ねると、返事が戻る前に帯を解き、ステテコを脱いでその物とシイの前に披露目た。
予想外にもシイは何も言わなかった。
ただ立ち上がった陰茎をまるで見つめ合っているみたいにじっと見て、大きく息を吸うとしみじみと、
「やっぱり松茸に似ていますね」
と感想を述べたのだった。
侃爾はまた愉快そうに笑い声を上げて、背を向けたままのシイの脇腹を両手で掴み、「この後、ルカはどうしろと言っていたんだ?」と意地悪く口角を上げた。
「え、ええと、確か、松茸を…………」
シイは言いながら上半身を前に倒して、――そして、侃爾の亀頭をぱくりと咥えた。
「…………っ」
突然、温かく濡れた粘膜に包まれて、侃爾は全身の産毛を起立させた。
電撃を受けたような快感が、股間から指先まで一瞬にして伝わる。
シイは口内で飴をそうするように亀頭を転がし、そしてそのまま竿の根本までそれを飲み込んだ。
瞬間、噎せて口の中から吐き出す。
「頼むから無理はするな。もう十分だ」
侃爾がシイの腰を撫でると、シイは涙の滲んだ目で侃爾を見て、「どうしたら気持ちよくして差し上げられますか?」と訊いた。ルカはそれを舐めればいいとひどく大雑把に伝えたらしいが、実物を見てどうすればいいのか分からなくなったと言う。とりあえず全体を口に含んで擦ってもらえれば、……と言葉にしかけたが、口の小さいシイには少々無理がある、と考え直した。
シイは途方に暮れた顔をしている。
侃爾はそんなシイを見て、気まずげに、
「竿のほうは手で扱いて、先の方は咥えてもらえると、……多分いい」
と羞恥に声を掠れさせながら答えた。
シイはうんうんと勢いよく頷いて、再び陰茎と向かい合い、言われた通りに竿に手を、鈴口に開けた口を近付けた。
シイが優しく食む。
柔らかい手がゆるゆると上下する。
時折、舌先が尿道口を擦ると、弱点を突かれたような危機感と強烈な快感を覚えた。
不慣れな所作すら侃爾の興奮を煽った。たまに刺さる犬歯すら心地良く感じる。
すぐに、尿道にせり上がってくるものを感じた。
意識していないと堪えきれなくなりそうだった。
侃爾は羞恥と焦燥感を感じてシイの腹に手を回し、帯の先を引っ張った。解けたそれを抜き取って、彼女の浴衣の前を広げる。湯文字の結び目も解くと、裾を捲るだけでシイの白い肌がよく見えた。そこまでしても、侃爾を喜ばせることに必死なシイは、自分の無防備な姿に気付かなかった。
侃爾はシイの二つの曲線を眺める。
男には無いゆたかな脂肪。
甘く滑らかそうな肌。
そして侃爾はその山の間に、潤沢な泉を見つけた。
夜の暗さの中でもつやつやと濡れている女性器に、侃爾は中指の先を近付ける。
つ、とその窄まりに触れると、シイの身体が激しく揺れた。
亀頭が外気に触れる。
「え、な…………っ」
「そのまま続けていいぞ。俺はこっちを弄ってるから」
今度は浅く指を入れる。擽るように動かすと、シイの腰が引けた。
「あ、それ、……や、です」
「シイも気持ちよくなる練習をしような」
シイの中に侃爾の中指の第一関節までが埋まる。
ゆっくりと慣らすように内壁をなぞり、侃爾は膣内の感触を確かめる。
「やだ、やだ、指回さないで…………っ」
「痛いか?」
「…………っ、い、痛くは無いけど、へんな感じがし――……きゃあっ」
指の挿入が深くなると、シイは増して高い声を上げた。
シイが逃げようとするのを腹に腕を回して制して、侃爾は彼女の抵抗とは裏腹に濡れそぼっていく蕾を丁寧に慣らしていった。一本の指が付け根まで挿入出来るようになるまでは大してかからなかったが、二本に増やすと狭い膣口がその侵入を防いだ。
シイも痛みに引き攣った声を上げるので、侃爾はそれをひどく哀れに思い、
「今日はここまでにするか」
と指を抜いた。――抜こうとしたが、シイがその手を掴んだ。
「もう、嫌じゃないです、から、……まだ、このままして下さい」
「しかし、痛いだろ」
「侃爾さんに任せてればすぐ慣れるって、ルカさんが言ってました」
「…………あいつ、適当なこと言いやがって」
侃爾はルカのアカンベェを思い浮かべながら眉根を寄せた。
そしてシイの中に入れていた二本の指で、腹側の内壁を優しく擦る。指はぬるぬると滑らかに動く。
第二間接までも達していないが、そのままの深さで中指と人差し指をバラバラに動かしたり、膣内を広げているうちに、シイの口から漏れる声に熱が混じってきた。
「気持ちいいか?」
少しずつ指を抜き刺ししながら問う。
シイは「ん……っ」と呻いて、首を何度も縦に振った。
その反応を見て、侃爾はそっと指を抜いた。上半身を起こし、己の上に跨っていたシイを仰向けに寝かせて、彼女の足の間に己の身体を入れ込む。
「今、このまま入れてしまいたい。――が、シイが嫌ならばやめる」
侃爾は余裕の無い目でシイを見下ろした。
浴衣がはだけたままのシイは、侃爾のまっすぐな瞳に小さく身を震わせて、
「私も、してほしいです。痛くても平気です」
と侃爾に両手を伸ばした。
その腕を己の背に回させて、侃爾が苦笑する。
「痛いのは駄目だ。無理はさせたくない」
「でも、知りたいです。愛しい人と繋がるということを」
シイは微笑んで、侃爾を抱き締めた。
そして雛鳥のように口を開いた。
侃爾はそれに誘われたように口づけをした。口内を侵し合い、ただそれだけなのに汗が噴き出た。互いの呼吸と唾液が混じるにつれ、別個体としての輪郭が溶けていく感覚がする。
息が上がってきた頃に唇を離した侃爾は、蕩けた表情のシイの頬にキスをして、次いで肩口にガブリと犬歯を食い込ませた。
「う、…………っ」
シイが声を漏らしても、侃爾は顎の力を弱めなかった。皮膚を、脂肪を、筋肉を突き破るほどに歯を立てて、決して獲物を逃がさない肉食動物のように齧りついたまま、暫くそのままシイに痛みを与え続けた。
我を取り戻したように顔を上げた時、シイの目からは涙が零れていた。
彼女の左の肩には内出血を起こして点々と紅い痕が残っていた。皮膚が破れていないのだけが幸いだった。
「やり過ぎたか」
と侃爾がシイの涙を拭きながら消沈していると、彼女は満足そうに、
「私これ好きです」
と嬉しそうに微笑んだ。
「好きだと言われても、俺は気が引けるがな。……こういうのじゃ駄目なのか?」
侃爾が納得いかないような顔で視線を下げ、シイの胸の先端をに舌先をあてる。「わあっ」とシイがあからさまに驚いたように叫んだ。
しかし侃爾は聞こえなかったふりをして、シイの片方の乳首を上顎と舌の間で軽く潰し、もう片方を指で摘まんだ。
「あ……や…………っ」
「嫌?」
侃爾は言ってすぐに舌でその先端を擽る。
「っ……じゃないけど、は、恥ずかしい…………」
「可愛いな」
侃爾は呟いて、徐々に硬くなっていくそれに刺激を与え続ける。
指で、舌で、つつき、舐め上げる。
ベロリ。
「うう、やだ……ぁ……」
「『やだ』じゃないだろ」
「だって、……どうしたら」
「『気持ちいい』でいいんじゃないか?」
唾液で濡れた突起を指の腹で引っ搔かれた時、一層高い声を上げたシイは上気した顔で、
「――……気持ちいい」
と戸惑いながら言った。
それを聞き、侃爾はひそかに口の端を上げた。
そして今度は彼女の下の突起に手を伸ばと、同じようにそれを撫でた。急速に快感を引き出されたシイが身体を痙攣させる。ヤダヤダと頭を振っても、侃爾はそこを可愛がった。
やがてシイが溺れたように侃爾の胸に縋りついた時、彼は漸く手を止めた。
「まだ、終えないつもりなんだが平気か?」
「平気じゃないです。身体が変です。続きも、……してください」
シイはのぼせた顔で今にも泣き出しそうに言った。
侃爾は彼女の足を開き、屹立したままの陰茎を膣口にあてがった。鈴口がぬるぬると滑る。僅かに力を入れて進めれば、思っていたよりずっと滑らかにそこに飲み込まれた。――が、中は十分に潤っていたがやはり狭く、ぎゅうぎゅうと抱き締められるように性器を圧迫された。
陰茎の半分ほどを埋め、ビクビクと腰を跳ねされるシイの様子を窺うと、彼女は浅い呼吸をしながら「ぜんぶ、はいりましたか?」と涙を一滴零した。
侃爾が気まずそうに、
「まだ半分」
と答える。
シイは恐怖に顔を歪ませたが、一拍置いて覚悟を決めたように「もっと下さい」と催促した。
「痛かったら言えよ」
侃爾が狭い所を押し進む。無理矢理こじ開けていく罪悪感と快感が混じり合い、侃爾のそこはますます硬度を増していった。
陰茎の根本まで入りきった時、シイは自分の腹を撫でて、
「おなかが苦しい」
と濡れた瞳で侃爾を見上げた。
「……抜くか?」
言いながら、侃爾はもう後戻りはさせてやれないとどこかで思っていた。
シイもふるふると頭を左右に振り、続けてほしいと返した。
出来るだけ負担にならないようにと、侃爾は緩慢に腰を動かした。くちゅくちゅと卑猥な音が静寂を騒がせる。シイが上げる泣き声――のような嬌声が部屋の隅まで行き届く。時折上下の尖りを弄るとますます声が高くなった。
侃爾には全く余裕が無かった。
元来、感情を表に出すのが得意な性質ではないことは自覚していたが、この時ばかりは平然としていられなかった。何度もこめかみを汗が伝った。切羽詰まっている。
シイも慣れない感覚に翻弄されているような表情と喘ぎ方をしていた。
負担を掛けたくないのに、昂っていくと抑制が利かず腰の運動が早くなる。己の快感だけを追いかけてしまいそうになる。
「シイ」
侃爾は彼女の名を呼んだ。
「好きだ、シイ」
瞑っていたシイの目が切なそうに侃爾を見る。
「ずっと愛している」
侃爾はシイの唇を奪い、呼吸をする間も与えないほどに口内を貪った。性器が擦れて互いの熱が高まっていく。呼吸困難。浮遊感。くぐもったシイの声。
『侃爾さん、私も――――………』
瞬間、激しく身体が緊張し、そして急速に山を下りるように弛緩した。
侃爾とシイは脱力して、身体を重ねて放心したまま動けなかった。
繋がった喜びが、愛しさが、全身から溢れて止まらなかった。
先に呼吸を整えた侃爾が問う。
シイは目尻の涙を拭いながら、
「気持ちよかったです」
と小声で言って恥ずかしそうに視線を逸らした。
「いつでも練習台になるから」
「う、……私、ちゃんと練習出来てますか?」
「ああ。少なくとも俺はすでに十分な満足感を得ている」
そうですか、とシイは照れたような顔で侃爾を見た。
「私も気持ちいいと思いました」
「それはよかった」
「あの、また、近いうちに……して頂けませんか? 練習」
シイのおねだりに侃爾が柔和に笑う。
「いつでもいい。俺もしたいし、シイのことをもっと愛したい」
うう、とシイは袖で顔を隠して呻いた。
熱い蜜の中に沈んでいたような時間が、初夏の夜の生温い暑さの中に戻っていく。
汗をかいた身体で、甘ったるい気だるさのまま侃爾とシイは眠りについた。繋いだ手は朝まで解けなかった。
障子から差し込む陽に、晩の情事の痕が浮かんでいた。
愛を刻んだように、無数に、残っていた。
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