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第四話 「陰凝りて衰へるといふ事 ~陰陽道と吉原」
しおりを挟む陰陽師、陰陽道というと、十数年前大ブームになった事があります。
その独特の世界観と、呪術や占いといったオカルトチックな性格から、特に女性の間で人気だった気がします。
(映画「陰陽師」の野村萬斎さんの影響も当然あるでしょう(笑))
その陰陽道に関するお話。
根岸鎮衛著「耳嚢」巻之五
「陰凝て衰へるといふ事」より
駒込に住んでいた藤田元寿という医者が出会った不思議な尼から聞いた話。
近年、吉原が次第に衰えて繁盛しなくなってきたのには当然の理由があるという。
吉原町がある場所は江戸の北方に当たり、陰陽道では「陰」の地に当たる。
その「陰」の地に沢山の女性・・・これも陰陽道では「陰」である・・・を集めて商売をしている故、「陰に陰を重ねる」ことになり、それを熟知していた元吉原の基礎を作った庄司勘左衛門は、廓の中に井戸を作ることを許さなかった。
水も「陰」の物であるからなのだが、その為吉原では毎日廓の外から水を汲んで運んでいた。
いつの頃からか丁子屋という遊女屋が、それではあんまり不便だという事で掘り抜き井戸を作ったのに他の店も倣い、次々と井戸が掘られた。
その結果、土地の「陰」が凝り固まり、吉原自体が衰えてしまったのだという。
・・・・陰陽道の世界観が良く分る話だと思いました。
何の本か忘れましたが、あの吉原の大火も、陰に陰を重ね過ぎて、転じて陽・・・つまり「火」となったのだ、という説を読んだことがあります。
また余談ながら、吉原の花魁の「高下駄」も、廓の外から水を運んでいた時代の名残で、いつも廓の中の道路が水溜まりとなっている為、着物を汚さないように・・・という理由からだったとか。
また「幽霊画」というと、たいてい背景に柳の木が書かれていますが、これも陰陽道に則ったことで、枝が垂れ下がってどこか陰気な感じの柳の木、実はあれでも「陽木」なのだとか。
幽霊の「陰」と柳の「陽」で「陰陽」となってバランスが取れているという事らしいです。
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